2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
2016/03/29 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨーロッパ中世」(河出文庫)-1 2016/03/30 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨーロッパ中世」(河出文庫)-2 の続き。 中世後期になると、都市ができる。この成立過程も重要。都市もいくつかの類型に分かれる。 その前に商人に…
2016/03/29 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨーロッパ中世」(河出文庫)-1 の続き。 そういう「発展途上国」だったヨーロッパが変わるのは、9-10世紀に農業革命が起きてから。鉄製農具が使われ(中国に2-3000年遅れ、この国とは数百年遅れ)、家畜にひかせて深耕…
クラシック音楽と科学史の興味からヨーロッパ中世は気になっていた。とはいえ、読書は散発的だったので、しっかりした通史を読むことにする。著者はこの国の1950-60年代の西洋中世史の泰斗。高校の世界史の教師に著者の本を読めといわれたのに、そのときは重…
ギリシャが世界史に登場するのは、紀元前3000年ころから紀元前200年くらいまで。最初の1000年くらいは記録が少ないので、わからないことだらけ。最盛期は紀元前4-500年ころで、ギリシャ悲劇の黄金時代。ソクラテス、プラトンにアリストテレスの哲学の巨匠は…
中学や高校の歴史の授業がつまらなかったせいか、古代史には興味を持たなかった。成人後は、せいぜいウィルヘルム・フルトヴェングラーの祖父やアガサ・クリスティの夫が考古学者であるとか、旧約聖書の時代が重なるとかそれくらい。知識として、ナポレオン…
19世紀は主に科学の時代であるが、経済学とともに民族学や考古学も研究されるようになる。ギリシャ、ローマ以来のヨーロッパ以外の文化、文明、民族などを「発見」して、より古い、昔の社会や生産のシステムがわかるようになってきた。1884年初版1891年改版…
2016/03/17 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫) 2016/03/18 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫)-2 2016/03/21 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫)-3 2016/03/22 ジャレド・ダイア…
2016/03/17 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫) 2016/03/18 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫)-2 2016/03/21 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫)-3 の続き。 第3部ではヒトの集団…
2016/03/17 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫) 2016/03/18 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫)-2 の続き。 社会システムや病原菌に対する免疫、技術などの差異がどこから現れたかを検討する。第2部では、…
2016/03/17 ジャレド・ダイアモンド「鉄・病原菌・銃 上」(草思社文庫) の続き。 著者による歴史の形式化によると、ある集団がほかの地域を圧倒し征服できる要因は「鉄・病原菌・銃」のみにあるのではない。さまざまな要因の因果連鎖で、上巻153ページの図…
科学史を少し読むと、近代の科学技術は西洋でたまたまうまれたものという説明がよく出てくる。14-15世紀の天文学の革命から科学は始まったのだが、革命の前提にはアラビアの知識や道具の伝来などがあり、なるほどあの時期のあの時代に誕生したのは偶然である…
1960年代に出版社は叢書や通史などの巨大な書物をつくることが多かった。その象徴が平凡社の百科事典で、販売の成功(百科事典のセールスマンが団地に営業をかけるというくらい。イギリスの成功例を導入したもの。この国では1980年代頭まであった)にあった…
2016/03/14 笠井潔「天啓の器」(双葉社文庫)-1 の続き このような「探偵小説」の謎解きに同時進行するのが、「ザ・ヒヌマ・マーダー」というテキストの話。読者は物理現実にある中井英夫「虚無への供物」を読んでいて、乱歩賞に前半2章で応募され最終審査…
まず諸言で、「ザ・ヒヌマ・マーダー」「尾を食らう蛇(ウロボロス)I」「尾を食らう蛇(ウロボロス)II」に相当する読者の物理現実に存在する本を読んでおくといいとすすめられる。それぞれ、中井英夫「虚無への供物」1964年、竹本健治「ウロボロスの偽書」…
2016/03/10 笠井潔「天啓の宴」(双葉文庫)-1の続き。 こういう惑わしというのは、作者名のあいまいさにくわえてもうひとつ。とりあえず第2の影山真沙彦版「天啓の宴」は、奇数章と偶数章の語り手がそれぞれ別にいるのだが、それぞれが自分の作品ないし小説…
「天啓の宴」は失われたテキストである「天啓の宴」を探索する物語。かつて「作者」を除くと5人しか読まれたことのない「天啓の宴」は、おそるべき影響力を持ち、読者の文学的生命を失わせるにいたった。そして、この因縁深い「天啓の宴」を読みたいと欲望す…
私立探偵・飛鳥井の第2短編集。当初の構想では、もうひとつ中編が加わるはずだったが、大きくなりすぎて長編にするつもり。ということだったが、2015年末現在で続編はでていない。 追跡の魔 ・・・ 解説に初出情報がないが、背景にペルー日本公邸占拠事件が…
私立探偵・飛鳥井の第1短編集。出版は長編「三匹の猿」がはやいが、短編のいくつかは先にでていて、「硝子の指輪」では飛鳥井の過去が詳しい。 硝子の指輪 1993.05 ・・・ 飛鳥井の初登場作。アメリカでの結婚生活と破綻が詳しく語られる。私立探偵の不安定…
私立探偵・飛鳥井シリーズ。現在(2015年)までの唯一の長編。1995年初出。 飛鳥井は1940年半ばの生まれと想像できて、20歳前後の若いころにアメリカにわたり、私立探偵の仕事をする。現地の女性と結婚したが、折り合いが悪く、エイズで亡くなった後、帰国し…
2016/02/24 横溝正史「恐ろしき四月馬鹿」(角川文庫) 2016/02/23 横溝正史「山名耕作の不思議な生活」(角川文庫) 2011/01/18 横溝正史「悪魔の家」(角川文庫) 2016/02/22 横溝正史「翻訳コレクション」(扶桑社文庫)「二輪馬車の秘密」 2016/02/19 横…
2016/02/25 J・G・バラード「時の声」(創元推理文庫) 1962年刊行の作者の第1短編集。異常な事態に遭遇したら間違っているのは世界ではなく〈この私〉と懐疑する人たち。 1962年 2016/02/26 J・G・バラード「時間都市」(創元推理文庫) 1962年刊行の作者…
1990年初出のバラードの短編集。10番目になるらしい。 War Fever ウォー・フィーバー (1989) ・・・ ベイルートではずっと戦闘・内乱が続いていた。叔母と姉と暮らすライアンは国連平和維持軍の医師と行動を共にするうちに、みなが国連軍のブルーヘルメット…
西洋で成功することのなかった医師マロリーは砂漠化の進む中央アフリカに国連の一員として派遣されていた。任務は井戸を掘って周囲を農地化すること。彼の試みを拒否するように、採掘しても水源にぶつかることはない。その土地は、軍事政権の政府軍と独立を…
1960年代のバラードでは、世界の終末は人やその集団の外からやってくるものだった。その暴力的なふるまい、物理学的ないかんともしがたさを前に、人やその集団は降参して、事態が推移するのを緩慢に、無気力に眺めるものだった。そして世界が熱的死で凍りつ…
1966年の第5短編集。第4短編集の「時間の墓標」は未読。 The Drowned Giant 溺れた巨人 (1965) ・・・ ギリシャ風の風貌を持った巨人が砂浜に打ち上げられた。撤去されないまま次第に朽ちて、破壊され、持ち去られる。これがSFだとホーガン「星を継ぐもの…