2026-06-01から1ヶ月間の記事一覧
秋山和慶(1941-2025)は日本の指揮者。個人的な思い出だと、本書にも登場する1986年と1990年のシェーンベルクの大作「グレの歌」を聞いたこと。日本では1960年代の若杉宏指揮の初演以来20年ぶりの再演だった。そのパンフに書かれていたが、大曲で難曲なので…
ヘルベルト・ブロムシュテットの名を知ったのは1980年ころ。シュターツカペレ・ドレスデンとの一連の録音(ブルックナーとリヒャルト・シュトラウス)が評判だったのと、NHK交響楽団の定期公演に呼ばれて演奏がテレビで聞けたこと。当時のNHK響にはサヴァリ…
「奇才」「鬼才」ピアニスト。最初に知ったのは1985年ECM録音のシューベルト「ピアノソナタ第21番」。あの長大なソナタを尋常でない緊張感で引ききって、視聴者のドギモをぬいた。以後ブラームスのピアノ曲や「展覧会の絵」などが評判になる。来日したらシュ…
和暦を時代区分の指標に使うのは困難。和暦の時間がまちまち。日本国内にしか通じない。グローバルな出来事との関連性をみることができない。なので、和暦と年号は時代区分に使えない。「音楽史」を明治、大正、昭和で区分することはできない。 でも「平成」…
1954年から55年をクラシック音楽の特異点としてみる。事件が集中し、名演奏が続出し、レコードの仕様が大きく変わり、演奏家が入れ替わり、聴衆の嗜好が変化した。それは以下の点が反映しているとみえる。 ・独伊日のファシズム国家の敗戦処理が一段落して、…
えっ、音楽書は奇書、トンデモ本ばかりなの? こんなぶっ飛んだ考えを書いたものばかりなの? と驚きの声をあげてしまう短文集。 文芸評論では、対象のテキストを切り取って、そこに注釈をつけるように考えを書いていくからそう簡単にはぶっ飛んだ考えにはな…
著作権保護期間が30年だったころ、亡くなって30年以上経過している指揮者の録音がさまざまなレーベルから大量に販売された。とくに人気があったのは、ブルーノ・ワルターとヴィルヘルム・フルトヴェングラー。ともにスタジオ録音が大量にあったが、その数倍…
著者は美術史の研究者(1920-2010)。幼少期から西洋音楽を聴いている。1940年の紀元二千六百年奉祝演奏会をラジオで聞いていたという。この話はもっと聞きたかったな。青年がどう思ったかだけでなく、周囲の人たちの受け止め方なんか。 この人の不満は、音…
AmazonKindleで販売している私家版。 2024年で廃刊した雑誌「レコード芸術」は名曲名盤〇〇選という企画を何度も行い、別冊を作って販売していた。クラシック初心者で、クラシック音楽と演奏家の全貌がつかめなかったとき、たいそうお世話になりました。繰り…
1968年の本放送かその直後の再放送かで、ウルトラセブンの最終回に心奪われた子供がいる。彼はその音楽の美しさと画面の異様さに魅了され、それが何だったかを調査する。子どものことなので、調査ははかばかしくない。でもテレビで流れる音楽からそれがシュ…
2016/08/12 江戸川乱歩「江戸川乱歩集」(新潮文庫) 1920年 2016/08/10 江戸川乱歩「パノラマ島綺譚/一寸法師」(講談社文庫) 1925年 2016/08/11 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」(講談社文庫) 1925年 2016/08/9 江戸川乱歩「陰獣」(講談社文庫) 1925年 2…
江戸川乱歩の小説を再読する。ここではデビューからしばらくの間のものをレビューする。明智小五郎の冒険譚は別にエントリーを立てたので、ここではそれ以外の中短編を読む。比較的推理趣味のあるものを選んだ。俺は乱歩の幻想趣味は好きではないので、「人…
江戸川乱歩の小説を再読する。ここでは初期中短編のうち、妄想や願望を実現しようとした妄執の人たちを描いたものを読む。ほとんどの小説は妄想や願望を実現しようとする人を描いているのだが、とくに金に糸目をつけず、孤島や僻地に人工ユートピアをつくり…
江戸川乱歩が創造した名探偵・明智小五郎の全冒険を一冊にまとめた電子書籍をみつけた。最初期の短編から戦前昭和の通俗小説に、戦後の探偵小説まで。総ページ数3100という大規模なものだった。 まずは初期短編から読む。 D坂の殺人事件1925 ・・・ 独身男が…
2026/06/12 江戸川乱歩「名探偵明智小五郎全集」-1「D坂の殺人事件」「心理試験」「屋根裏の散歩者」ほか 高等遊民の探偵が幽霊のような生活感のない存在になるまで。 1925年の続き 明智小五郎全集の2。とうとう長編に登場する。「屋根裏の散歩者」から2年…
ほぼ10年ぶりの再読。あらすじと前回の感想は以下のリンク先。 odd-hatch.hatenablog.jp 1930年初出。ほぼ同時期に連載出版された明智小五郎が出演する通俗長編にはうんざりしていた。同じ話を同じキャラが繰り返すのに飽きてしまうのだ。そこで明智が出てこ…
2026/06/11 江戸川乱歩「名探偵明智小五郎全集」-2「一寸法師」「蜘蛛男」「何者」 1920年代後半に外遊していた明智小五郎は庶民の味方をやめて上流層の利害を守るようになる。 1927年の続き 明智小五郎全集の3。幾多の怪事件を解決した明智は有名人になり…
2026/06/09 江戸川乱歩「名探偵明智小五郎全集」-3「魔術師」「吸血鬼」 明智はお茶の水の開化アパートで疑似家族を営むようになる。他人に無関心な明智はすぐに飽き飽きする。 1930年の続き 幾多の事件を解決したので悪党世界では明智小五郎の名はとどろい…
九州S市出身の大牟田敏清。彼は大名家の生まれであるが、今は終身懲役の咎についている。いったい何が起きたのか。1870年前後の生まれと思える大牟田は大学で洋画の川村義雄と出会い、帰郷してから一緒に住むようになる。地元の評判の美女・瑠璃子に惚れ、結…
2026/06/08 江戸川乱歩「名探偵明智小五郎全集」-4「黄金仮面」「黒蜥蜴」 異色のライバル二人。ロマンスの有無が読後の印象を大きく変える。 1931年の続き 昭和10年代の明智小五郎冒険譚。吉川英治や山本周五郎のような翼賛大衆小説は奨励される。乱歩のよ…
戦後に「エンジェル家の殺人」を翻案した「三角館の恐怖」を再読。発表の1951年は占領期で、外国語書籍の翻訳は困難。長編の依頼を受けた江戸川乱歩はオリジナルはダメだが、翻案ならできると、出版社に著者の許諾を取るよう依頼して実現したらしい。それぞ…
2026/06/04 江戸川乱歩「名探偵明智小五郎全集」-5「人間豹」「悪魔の紋章」「暗黒星」「地獄の道化師」 ファシズム下の「健康」な社会では明智に対抗する悪役はもういない。犯罪捜査に当たる探偵は精彩を失う。 1934年の続き 敗戦後の明智小五郎冒険譚。お…
もとは中央公論社が1974年に出版した「歴史としての学問」。2013年に講談社学術文庫入りにするにあたり改題して、補章をつけた。自分は中央公論社版を40年前に読んだ。全く記憶から失せていたので再読。 中山茂(1928~2013)は、50年代にトーマス・クーンの…