odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

科学史

柴谷篤弘「私にとって科学批判とは何か」(サイエンスハウス)

「私にとって科学とは何か」で発生生物学にターゲットを変えた著者。この本では科学批判、自己変革、社会変革をどのように実践するかを考える。あわせて、実践例を提示し、批判を仰ごうという意図の本。 第1部 批判の論理 私にとって「科学批判」とは何か …

吉岡斉「科学者は変わるか」(社会思想社) 廣重徹-中山茂らを継ぐ「科学の体制化」研究。この後著者は日本の原子力研究に移った。

この本は著者の第2作にあたり1984年に刊行された。当時和歌山大学講師であったが、31歳。浅田彰「構造と力」の26歳にもびっくりしたが、この著者の年齢にも驚いた。まあ、なんとたくさんの本を読んでいること、それにびしびしと評価を与え、明晰な論理を展開…

吉岡斉「科学革命の政治学」(中公新書) 科学研究システムは新陳代謝(人の交換、設備の投資など)を行わないと生産性を失う。企業・軍・国家の研究者囲い込みはもろ刃の剣

1987年の新書。筑波科学博などというイベントがあったり、日本的経営システムが優秀だと論じられたり、超伝導や遺伝子組換、PCなど科学技術が社会をばら色に変革するという夢が語られたりした時代の著作。200ページちょっとの小冊子でありながら、中身の濃い…

中村禎里「日本のルイセンコ論争」(みすず書房) 1950年代にニセ学問が日本の科学者を席巻していた。党派的なイデオロギー談義で学問的な批判が抑圧された。

ソ連の「科学者」ルイセンコは1930年代にスターリンの知己を得て、国家的な遺伝学ならびに育種学の中心となり、彼の学説に基づく品種改良や農業生産がおこなわれた。彼の主張する遺伝学は、(1)獲得形質の遺伝、(2)細胞全体が遺伝体である、(3)進化…