odd_hatchの読書ノート

エントリーは2400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2020/10/13

都筑道夫

都筑道夫「阿蘭陀すてれん」(角川文庫)

1977年初出のショートショート集。1985年に新潮文庫で出たときは収録短編を4編減らし、総タイトルも「25階の窓」に改題された(収録作品が25編だったので総タイトルに25がついたとのこと)。このあと同じタイトルで「都筑道夫恐怖短篇集成〈2〉」ちくま文庫…

都筑道夫「雪崩連太郎幻視行」(集英社文庫)

雪崩連太郎は旅行雑誌に主に怪奇譚を発表しているルポライター。1970年代に反知性・反理性のムーブメントがあって、オカルトがずいぶん流行った。映画「エクソシスト」とかユリ・ゲラーとかスプーン曲げ少年など。そういう傾向が旅行雑誌にも反映したので、…

都筑道夫「雪崩連太郎怨霊行」(集英社文庫)

2015/06/08 都筑道夫「雪崩連太郎幻視行」(集英社文庫) すごいどうでもいい話をすると、この本の最初のタイトルは「雪崩連太郎幻視行/怨霊紀行」だった。マンガ家たがみよしひさがこの作家のファンらしく、最初に刊行された短編マンガ集のタイトルは「怨霊…

都筑道夫「黒い招き猫」(角川文庫)

怪談ショートショート集。1978年角川文庫初出。 黒い招き猫*/目のない賽*/腕時計*/幽霊屋敷*/新世代語辞典/夜のオルフェウス/粘土の人形*/過疎地帯/呪法/静かな夜/小鳥たち*/ひどい熱/狐つき/壁の影*/宙づりの女/心霊現象/百物語/ベランダの眺め/もういや!/…

都筑道夫「翔び去りしものの伝説」(徳間文庫)

その世界は、西洋中世の騎士小説みたいな場所。ひとつの王国が周辺地域を収めているが、王位継承者が不在だった。老臣、重臣らは無能。そこで二人の魔術師が暗躍を開始。ひとりの黒魔術師ルンツ博士は地球で事故にあった男をこの世界に呼び寄せ、誘拐してお…

「都筑道夫スリラーハウス」(角川文庫)

1979年初出のショートショート集。文庫になったのは1984年。 安定の品質。アイデアも、落ちも、文章も。どの一編でも付け足しがいらないくらいに練られている。名人芸。 物語の主人公の多くは、著者とおなじ50歳前後。暮らしに不満はないが、なんとなく物足…

都筑道夫「銀河盗賊ビリイ・アレグロ」(集英社文庫)

いつともしれない遥か未来。それともむかしむかしか。主人公は、ビリィ・アレグロ・ラトロデクトス・ナルセ。銀河をまたにかけるその名を知らぬ者のいない大盗賊。一人で行動するのを常として、あいぼうは高速宇宙船「ブラック・ウィドウ」。そこにつまれた…

都筑道夫「びっくり博覧会」(集英社文庫)

1982年初版のショートショート集。主には1979-80年にでたものを集めていて、ところどころにずっと古いのが載っている。読んでいる間は、古い時に書かれたもの(1965−75年の間)であるとは思わせない。そういう安定した力量の持ち主。ここらの書き方は、読者…

都筑道夫「暗殺心」(徳間文庫)

中世中国らしき地名と人名であり、いくらかアラビア風、日本風の風俗のある国ではあるが、読者の現実世界には存在しない国。夢迦(ムカ)国。その王女・真晝(マヒル)は簒奪者の手により親兄弟を殺され、ようようの思いで逃げ出してきた。そして当代随一の…

都筑道夫「くわえ煙草で死にたい」(新潮文庫)

私立探偵・西連寺剛を主人公とするシリーズ第一作。1978年刊行。西蓮寺は元プロボクサー。試合中のハードパンチで対戦相手を死なせてしまった経験を持つ。ボクサー廃業後は、知り合いのつてで私立探偵事務所の仕事を回してもらうフリーの私立探偵になった。…

都筑道夫「脅迫者によろしく」(新潮文庫)

私立探偵・西連寺剛を主人公とするシリーズ第二作。1979年刊行。前作から一年後にまとまったとなると、筆が乗っていたのだね。 表紙のとれた詩集 ・・・ 自費出版の詩集をみて、失踪した女性の行方を探すことになった。奇妙なのは詩集の表紙がちぎれているこ…

都筑道夫「ダウンタウンの通り雨」(角川文庫)

私立探偵・西連寺剛を主人公とするシリーズ第三作。1981年刊行。個々の作品がいつの発表かは書いていない。 ダウンタウンの通り雨 ・・・ ハワイを舞台にした中編。ハワイに語学留学中の娘が行方不明になった。自分で言ってもいいが専門家の方が早く解決する…

都筑道夫「苦くて甘い心臓」(角川文庫)

私立探偵・西連寺剛を主人公とするシリーズ第四作。1981年刊行。個々の作品がいつの発表かは書いていない。 苦くて甘い心臓 ・・・ 父違いの弟が「殺してやる」と言い捨てて出ていったきりもう3日、というので探してくれと、若い女に依頼される。教えられた…

都筑道夫「死体置場の舞踏会」(光文社文庫)

私立探偵・西連寺剛を主人公とするシリーズ第五作。1986年刊行。個々の作品がいつの発表かは書いていない。前作からしばらくたったので、西連寺の料金が1日2万円から3万円に増額。インフレ進行中の時代でした。 海猫千羽 ・・・ 兄を連れ戻してほしいと会社…

都筑道夫「妖精悪女解剖図」(角川文庫)

角川文庫の初出は1980年だが、その前の単行本は1974年。内容をみると書かれたのは1960年代後半。 霧をつむぐ指 ・・・ 翻訳の下請けや英語の試験問題作成で食べている佐久間啓子。自称画家の若い沼江(ヌエ)という男と知り合う。ヌエはそのまま啓子のアパー…

都筑道夫「はだか川心中」(剄文社文庫)

1976年に作者自身によって編まれた「自選傑作集」。1986年にケイブンシャ文庫になった。 退職刑事「写真うつりのよい女」「四十分間の女」 ・・・ 別に書いたので省略。十七人目の死神「はだか川心中」 ・・・ 山間のひなびた温泉宿で一年前に心中が…

都筑道夫「猫の目が変るように」(集英社文庫)

もともとは匿名で雑誌に連載したエロティック・コメディ。1977年に単行本にしたときに、本名(?)を明かした。この文庫では、匿名の時に使ったペンネームで解説を書いて、本名に文句を言っているという凝った仕掛けになっている。 海からきた女 ・・・ 上野…

都筑道夫「狼は月に吠えるか」(文春文庫)

1979年単行本、1987年文庫化。個々の短編の発表年と初出誌は記載なし。 狼は月に吠えるか ・・・ 身の周りの女性が次々と殺されていく。その夜はぐっすり寝ているはずなのに。自分は狼男ではないかという疑いが消えない。イタリアに旅行にいったときロマの女…

都筑道夫「殺されたい人 この指とまれ」(集英社文庫)

1980年前後に書かれた短編を集めたもの。怪奇、ミステリ、ハードボイルドなど多彩な内容。 見知らぬ妻1982.05 ・・・ テレビで知らない女が「おれ」を探していた。サラ金(このころにはあったのだね)の追い立てで失踪したので戻ってきてくれ、子供が死にそ…

都筑道夫「蓋のとれたビックリ箱」(集英社文庫)

元本は1983年で、82-83年にかかれたもの。例外がふたつあるらしい(と解説に書いてあった)。 銀座の児雷也 ・・・ 昭和11年。コロムビアの日本支社はハリウッドの脚本家を招いて、ロケハンをすることになった。案内の哲夫は銀座の縁日で射殺事件に遭遇する…

都筑道夫「証拠写真が三十四枚」(光文社文庫)

1987年に文庫化されたショートショート集。 収録されたのは以下の通り。気になったのにはいくつか注釈をつけた。★をつけたのは、2分間ミステリのような謎解き。 金平糖の赤い壺/月のある坂道/妄想図/間もなく四時/つめたい先輩/つかい道 ・・・ 結婚詐欺の話…

都筑道夫「秘密箱からくり箱」(光文社文庫)

1980年代半ばの短編と中編を収録。1987年に単行本になり、1990年にこの文庫になった。タイトルにもなった秘密箱は、簡単には開かない仕掛けをもった仕掛け箱のこと。貴重品の盗難防止目的で18世紀ころから作られたという。からくり箱は、この国の寄木の技法…

都筑道夫「血のスープ」(光文社文庫)

1980年代にはセンセーの文庫がたくさんあったのだが、消費税導入後、急速に姿を消してしまった。21世紀になって、光文社文庫がテーマ別に編集して、10冊の選集を編んだ。その中の怪談編を読む。収録されている「血のスープ」は文庫化されたことがなかった。…

都筑道夫「グロテスクな夜景」(光文社文庫)

昭和の終わりから平成の初めにかけた短編小説とショートショートを集めたもの。1990年に文庫初出。 五十二枚の幻燈たね板 ・・・ 1988.6.1から1989.6.28まで、「大阪産経新聞」に週一で連載されたショートショート。なのでちょうど52編。ミステリ風、SF風も…

都筑道夫「デスマスク展示会」(光文社文庫)

昭和の終わりから平成の頭にかけて書かれた短編を集めたもの。1991年に文庫初出。 手のひらの夜1988.秋 ・・・ 見知らぬ女が突然あらわれ、裸体をさらす。そこに恋人が来て、兄からは妻は失踪したと創団がある。恋人によると見知らぬ女は兄嫁だというが、心…

都筑道夫「袋小路」(徳間文庫)

昭和の終わりから平成の頭にかけて書かれた短編を集めたもの。1993年に文庫初出。 袋小路1989.06 ・・・ 「怪談を書いているが霊魂を信じていないだろう」という電話の主が、最近書いた袋小路の話と同じ場所に案内する。そこで怪奇現象を見、部屋に帰ると「…

都筑道夫「骸骨」(徳間文庫)

昭和の終わりから平成の頭にかけて書かれた短編を集めたもの。1994年に文庫初出。 手首1987.08 ・・・ 自分の一部が切断される夢を夜ごと見る。今度はたぶん首が転がっているのを見るだろう。ただ、手掛かりがあって、夢に出てくるドアとそっくりのスナック…

都筑道夫「目撃者は月」(光文社文庫)

1998年の短編集。文庫オリジナル。作家は、ここに収録されたような小説を「ふしぎ小説」と名付ける。江戸川乱歩の「奇妙な味」とも違う「ふしぎ小説」とはどんなものなのか。 偽家族1994.01 ・・・ 「私」は死んだ友人の息子をマンションに引き取り、面倒を…

都筑道夫「退職刑事」(徳間文庫)

元刑事の父親に現職刑事が手がけている事件の話をする。話を聞いているだけで、事件の奇妙なところや現職刑事の見落としているところを見つけて、事件を解決してしまう。この国では珍しい安楽椅子(いや安楽ざぶとん)探偵。 1973年から雑誌連載が開始され、…

都筑道夫「退職刑事2」(徳間文庫)

1976年初出のシリーズ第2作。その後、版元を変えては再販され、未だに入手が可能。退職した刑事が息子の現役警官を訪れ、進行中の事件の話を聞いて、推理すると言う趣向。 「遺書の意匠」(1975) ・・・ 翌日の歌舞伎の一等席のチケットを買った若い実業家が…