odd_hatchの読書ノート

エントリーは2400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2020/10/13

音楽

諸井三郎「ベートーベン」(新潮文庫)

「ベートーヴェンは、一生を通じて貧困、失恋、耳疾、肉親の問題などさまざまな苦しみと戦いながら、音楽史上に燦然と輝く数多くの傑作を創造した。苦渋の生涯から生まれたそれらの音楽は、人々の心に生きる勇気を与える。本書は、作曲家として、また教育者…

チャールズ・ローゼン「シェーンベルク」(岩波現代選書)

シェーンベルクは聞かれるよりも語られるほうが多い作曲家、になるのかな。彼の生涯を概観すると、1)神童、2)ウィーンでの無視、3)ベルリンからの追放、4)ハリウッドの疎外、みたいなストーリーを描ける。彼の作品を概観すると、1)表現主義、2)…

中島健蔵「証言・現代音楽の歩み」(講談社文庫)

「昭和時代」岩波新書がかかれたのは1957年で敗戦まで。こちらは1977年で、1974年くらいまでのことを書いている。 これによると、著者の活動は、文学・音楽・政治の3つの分野にあるという。そのうち、音楽に関する証言がここに書かれている。なぜ、証言かと…

堀内敬三「音楽五十年史 上」(講談社学術文庫)

昭和17年刊行(!)の洋楽受容史。この種の歴史を記述した本は少ない(と思う)ので非常に貴重。とりわけ、明治初頭のころはこの本以外で読んだことはない。なので、クラシック音楽愛好家には必携なのだが、ずっと品切れ中。 乱暴にいえば、この国と洋楽のか…

堀内敬三「音楽五十年史 下」(講談社学術文庫)

2012/08/09 堀内敬三「音楽五十年史 上」(講談社学術文庫) 続いて明治の終わりから昭和の始めにかけて。ここになると、洋楽の普及めざましく、出来事はいっぱい。なので記述も総花的になるがしかたない。 ・日清戦争から日露戦争にかけてのトピックは、軍…

林光「日本オペラの夢」(岩波新書)

林光の音楽を聴いたことはそれほど多くない。大河ドラマ「国盗り物語」テーマ音楽とか、NHK教育TVで放送された「セロ弾きのゴーシュ」上演番組録画とか、2枚のCD(ソングと交響曲)くらい。 www.youtube.com 1931年生まれは岩城宏之、外山雄三などが同世代。…

諸井誠「音楽の現代史」(岩波新書)

「十九世紀末以降,西洋古典音楽は調性の崩壊,民族的素材の見直しなどにより今世紀前半に多彩な発展をとげた.一九一〇年代のバレエ音楽,二〇―三〇年代のオペラ,三〇年代のバイオリン協奏曲など各時期の代表的作品の検討を通して,歴史の激動とともに音楽…

フリーダ・ナイト「ベートーヴェンと変革の時代」(法政大学出版局)

訳者あとがきによると、たとえばロマン・ロランのような過去の一時代にあったベートーヴェンの伝記と比較すると偉大ではない、ということだ。もちろんこれがいいがかりなのは、作者はそのような偉大で巨大な天才の人物像を描こうという気持ちはさらさらないこ…

ロマン・ロラン「ベートーヴェンの生涯」(岩波文庫)

1902年に書かれたベートーヴェンの伝記、というかベートーヴェンに関するエッセイ。このとき録音機器は発明されていたものの商業化はまだまだであって、音楽はコンサートホールで聞くか、譜面を読むか、自分で演奏するか、という時代。交響曲第7番を実際の音…

ドナルド・ミッチェル「マーラー 角笛交響曲の時代」(音楽之友社)

1980年代後半に、マーラーの作品が「ブーム」と呼ばれる現象になった。CM(ウィスキー)の音楽に使われ、ある年の同じ月に3つの外国オーケストラが交響曲第5番を東京で演奏し、TVで特集番組が持たれた。その頂点が、シノーポリとフィルハーモニア管によ…

高辻知義「ワーグナー」(岩波新書)

作曲家としては勿論のこと、劇作家、思想家、美学者として、ワーグナーほど多彩な役割を演じた音楽家は他に例を見ない。同時に、ワーグナーほど毀誉褒貶の振幅の激しい作曲家もいない。稀代の風雲児の複雑に織りなされた生涯を底流するものは何であったか?創…

堀内修「ワーグナー」(講談社現代新書) <追記2011/4/21>

出版されたのと同時に購入したと思う。1980年代後半、バブル経済に入ると、ワーグナーの楽劇上演が相次いだ。1986年ウィーン歌劇場の「トリスタンとイゾルデ」、2年後の「パルジファル」。バイエルン歌劇場の「マイスタージンガー」。渋谷オーチャードホール…