odd_hatchの読書ノート

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カール・セーガン「コスモス」(朝日文庫) 初期のCGを使用したTV番組は大きな反響を獲得。

 カール・セーガンはミラーの弟子。ミラーは原始地球の大気を想定した気体に長期間の放電を行うことにより、有機物質を合成する実験をした人。セーガンは、この実験に協力していたとの由。直前に生命の起源に関する新書を読んでいたので、共時性に少し驚くことになった。
 まあ、博学な人で、もともと天文学の本としか思っていなかったのに、生命の起源・進化、気象その他惑星をマクロでみるときに必要な学問分野をほぼ網羅している。そのうえに、ガリレイコペルニクスニュートンらの物理学・力学の学問史も入っていて、しかも平易な文章でつづられているとなると、これは学問に興味を向けるにはふさわしい。とはいえ、この種の情報は映像が付いていたほうがよりわかりやすいのであって、初期のCGを使用したTV番組は大きな反響を獲得したのだった(1980年前後にNHKで放送された、らしい。TVを持っていなかった自分は見ていない)。
天文学、力学史はこれが参考になる)
2011/08/06 荒俣宏/金子務「アインシュタインの天使」(哲学書房)

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 著者の強い主張をいくつかまとめると
1.アレクサンドリア図書館のような「知」の蓄えを作り、有効利用しよう。(逆に言うと、「知」に対する政治の関与はなしのほうがよい。「知」が自由に研究開発できる環境は、世界に利益をもたらす(利益かな福祉かな)
2.地球外生命体の研究を推進しよう。地球外生命からの視点をもつと、地上で起こる様々な諍いのほとんどは意味がなくなって、対立が解消するだろう。(でも、地球外生命体と最初にコンタクトするのは西欧人だよ、というのが別の本での主張になるのかな)
3.核兵器を廃絶しよう。核兵器は人間の愚かさの象徴。(1970年代後半に書かれたので、当時の米ソ冷戦を反映して、核戦争勃発に対する危機感が大きい)
4.科学リテラシーに注目し、教育や啓蒙を推進しよう。ニセ科学、オカルトの蔓延は多くの人に不利益をもたらす。

    

<参考エントリー:ニセ科学関連>
2016/12/21 ロバート・S・メンチン「奇妙な遺言100」(ちくま文庫)
2014/01/30 サイモン・シン「代替医療解剖」(新潮文庫)-1
2014/01/31 サイモン・シン「代替医療解剖」(新潮文庫)-2
2014/02/01 サイモン・シン「代替医療解剖」(新潮文庫)-3