相対性理論から超ひも理論までの物理学詩の平易な解説。ここでのポイントは「統合」かな。アインシュタインは時間と空間を統合した。マクスウェルは電力と磁力を統合した。量子力学は電磁力と弱い力を統合した。アインシュタインは4つの力を統合する理論を夢想したが、失敗した。いつか(著者自身が研究した「超ひも理論」によって)統合されるときが来るだろう。そのとき、物理学が「終焉」するに違いない。というのが著者の意見。
超ひも理論は、1964年、74年に提唱されていて、すぐに無視された。忘却された理論が復活したのは1984年。以来、ほとんどすべての理論物理学者はこの理論の完成に携わっている。だれかによる批判では、物理学者のリソースが超ひも理論に使われているので、他の可能性を捜査していない(超ひも理論がダメだったとき、次の理論の構築に取り掛かれない)、実験が極めて巨大(アメリカ一国で断念、EUもやろうとしない)で検証が困難、理論が完成しても応用可能性が低い(投資に対するリターンが低い)、あたりが問題とされている。
著者の夢は大きく、科学による世界の政治的な統一あたりをもくろんでいる。こういうナイーブな科学主義は、自分はスルー。
ミチオ・カクは日系三世の理論物理学者。この本にも見られるように科学啓蒙もさかんに行っていて、ディスカバリーチャンネルの宇宙論の番組に登場する姿をよくみることができる。