1949年初版。マルクス、フォイエルバッハ、ラッサール、スターリンの4人を収録。10年後に、レーニンとトロツキーを加えて増刷。1969年に、チトー、アジアの共産主義、スターリンとフレシチョフを加える。1984年に角川文庫に収録されたときに、ローザ・ルクセンブルクとグラムシを追加(ユーロ・コミュニズムの紹介のため)。
内容はそれぞれの人にフォーカスをあてて、生涯・思想・行動・影響を記述。マルクス以前の空想社会主義や1848年革命のアナーキズムや組合主義などは割愛。あくまで「マルクス・エンゲルス・レーニン主義、毛沢東思想」が共産主義の正当な系譜であるという視点で人物を取り上げることになる。ひとりあたりの記述は50-80ページ。全体の厚みは大きいけれど、中身はあくまで入門書ないし概要書。
スターリンや毛沢東が政権を掌握している時期に書かれていたので、評価は甘い。それはあとから読んだときの視点であって、同時期にこのような「現代」的な批判をすでに行っていたことに注意したほうがよい。ある種の「先見性」を見る人もいるかもしれない。ポイントは、共産主義を批判するために、十分彼らの中に入って批判しているということかな。彼らの議論の方法を使って批判すると言うのは、ある種のディコンストラクションになり、かつ彼らへの根源的な批判になるだろうから。
もう入手難かな。