落語に興味を覚えることはなかったが、この種の小話は大好きだ。たぶん、短時間で一気にオチをつけるそのスピード感と知的インスピレーションに惹かれるからだろう。長時間のコメディよりも連続するコントのほうが好きなのだ。長尺のコメディ映画はあんまり集めていないのに、モンティ・パイソンや「全員集合」のDVDを購入するのだし。
小話集を買うようになったのは、高校時代に購入した「ユダヤ笑話集」(現代教養文庫)からだと思うが、それより前に三浦一郎「世界史こぼれ話」(角川文庫)をずいぶん面白がって読んでいたのが始まりかもしれない。以来、いろいろと小話集を集めている。たぶん20冊以上になって、本棚の一角にまとまっている。際立って面白かったのは、「スターリン・ジョーク」(河出文庫)とボブ・ウォード「宇宙はジョークでいっぱい」(角川文庫)。国別だと上記と河盛好蔵「ふらんす小咄大全」(ちくま文庫)。思いがけない収穫は「「中世なぞなぞ集」(岩波文庫)。室町時代の武家や公家はこんな言葉遊びをしていたのだと感心し、彼らの使う言葉が今の自分にはわからないというのにも驚ける。この種の本はトイレで読むのに最適なのだ。あるいは自炊PDF化してスマートフォンで読むのにも最適(15分くらいの空き時間ができたとき)。
問題は、この種の小話を集めた本が激減していること。数年に1冊ずつは刊行されているみたいなのだが、自分のようなすれっからしにはレベルが落ちていて(と見えて)、かつて読んだものと同じものを読まされるということ。まあ、新作ばかりを編集することはできないだろうが、編者が以前に出版されたものに関する情報を持っていないようなのが困ったことになる。なにかクレジットを入れてほしいのだ。それよりもこういう笑いが流通しなくなることのほうが問題かな。
このポケットジョーク集は全部で20冊くらいあると思う。一応自慢しておくと、全部古本屋で購入した。たぶん5年×10店舗くらいかかったと思う。よく言われるけど、欲しいと願う本は必ず入手できるというのはおおむね正しい。ただ念ずるだけでは不十分であって、古本屋を10店舗以上は馴染みにしていて、数カ月おきに全店舗を訪れること、また出張や旅行ででかけたときには観光地をあとまわしにしても古本屋を覘くこと。つまりは足を使った行動が必要なわけだ。ネットで気軽に探せるようになったとしても、店頭で思わぬ出会いをすることは楽しみなのだよ。思っているだけでは不足、行動が物事を変えるのだよ、とオジサンの説教をしてしまおう。
- 作者: 植松黎
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- 発売日: 1979/10
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宇宙はジョークでいっぱい―宇宙開発ちょっといい話 (角川文庫 (5943))
- 作者: ボブ・ウォード,野田昌宏
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- 作者: 平井吉夫
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- 作者: 鈴木棠三
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購入支援。ボブ・ウォード「宇宙はジョークでいっぱい」(角川文庫)の外観。
あと「ポケットジョーク」を集めた証拠。
ハトロン紙が焼けているのは、「笑府(上・下)」(岩波文庫)。