odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

ジョン・ディクスン・カー INDEX

2010/11/27 ジョン・ディクスン・カー「夜歩く」(ハヤカワ文庫) 1930
2010/11/30 ジョン・ディクスン・カー「絞首台の謎」(創元推理文庫) 1931
2010/11/26 ジョン・ディクスン・カー「髑髏城」(創元推理文庫) 1931
2010/11/14 ジョン・ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」(ハヤカワポケットミステリ) 1932
2014/10/01 ジョン・ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」(ハヤカワポケットミステリ)-2 1932
2014/09/30 ジョン・ディクスン・カー「毒のたわむれ」(ハヤカワポケットミステリ) 1932
2010/12/01 ジョン・ディクスン・カー「魔女の隠れ家」(創元推理文庫) 1933
2010/12/02 ジョン・ディクスン・カー「帽子収集狂事件」(創元推理文庫) 1933
2010/12/06 ジョン・ディクスン・カー「剣の八」(ハヤカワ文庫) 1934
2010/12/09 ジョン・ディクスン・カー「死時計」(創元推理文庫) 1934
2010/12/11 ジョン・ディクスン・カー「盲目の理髪師」(創元推理文庫) 1934
2014/09/26 カーター・ディクスン「白い僧院の殺人」(創元推理文庫) 1934
2014/09/29 カーター・ディクスン「プレーグコートの殺人」(ハヤカワ文庫) 1934
2010/11/25 カーター・ディクスン「赤後家の殺人」(創元推理文庫) 1935
2014/09/24 ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-1 1935
2014/09/25 ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-2 1935
2010/11/16 カーター・ディクスン「パンチとジュディ」(ハヤカワ文庫) 1936
2014/09/23 ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」(創元推理文庫) 1936
2014/09/19 ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」(ハヤカワポケットミステリ) 1937
2014/09/22 ジョン・ディクスン・カー「火刑法廷」(ハヤカワ文庫) 1937
2010/12/03 ジョン・ディクスン・カー「曲った蝶番」(創元推理文庫) 1938
2014/09/17 カーター・ディクスン「ユダの窓」(ハヤカワポケットミステリ) 1938
2014/09/18 ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」(創元推理文庫) 1938
2010/11/28 ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」(創元推理文庫) 1939
2014/09/15 カーター・ディクスン「読者よ欺かれるなかれ」(ハヤカワポケットミステリ) 1939
2014/09/16 カーター・ディクスン「五つの箱の死」(ハヤカワポケットミステリ) 1939
2010/11/22 ジョン・ディクスン・カー「震えない男」(ハヤカワポケットミステリ) 1940
2010/11/20 ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 1」(創元推理文庫) 1940
2010/11/15 ジョン・ディクスン・カー「猫と鼠の殺人」(創元推理文庫) 1941
2010/11/29 ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」(創元推理文庫) 1941
2010/12/08 ジョン・ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」(創元推理文庫) 1942
2010/12/07 カーター・ディクスン「貴婦人として死す」(ハヤカワ文庫) 1943
2010/12/10 カーター・ディクスン「爬虫類館の殺人」(創元推理文庫) 1944
2014/09/11 カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」(ハヤカワ文庫) 1946
2014/09/12 ジョン・ディクスン・カー「囁く影」(ハヤカワ文庫) 1946
2010/11/19 ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 2」(創元推理文庫) 1947
2014/09/10 ジョン・ディクスン・カー「眠れるスフィンクス」(ハヤカワ文庫) 1947
2010/12/12 ジョン・ディクスン・カー「疑惑の影」(ハヤカワ文庫) 1949
2014/09/09 カーター・ディクスン「墓場貸します」(ハヤカワ文庫) 1949
2014/09/08 ジョン・ディクスン・カー「ニューゲイトの花嫁」(ハヤカワ文庫) 1950
2010/11/17 カーター・ディクスン「赤い鎧戸の影で」(ハヤカワ文庫) 1952
2014/09/05 ジョン・ディクスン・カー「九つの答」(ハヤカワポケットミステリ) 1952
2014/09/04 カーター・ディクスン「騎士の盃」(ハヤカワ文庫) 1953
2010/11/21 ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 3」(創元推理文庫) 1954
2014/09/03 ジョン・ディクスン・カー「喉切り隊長」(ハヤカワポケットミステリ) 1955
2010/11/24 ジョン・ディクスン・カー「バトラー弁護に立つ」(ハヤカワポケットミステリ) 1956
2014/09/02 ジョン・ディクスン・カー「火よ! 燃えろ」(ハヤカワ文庫) 1957
2010/11/18 ジョン・ディクスン・カー「死者のノック」(ハヤカワ文庫) 1958
2014/08/29 ジョン・ディクスン・カー「ハイチムニー荘の醜聞」(ハヤカワ文庫) 1959
2014/09/01 ジョン・ディクスン・カー「ビロードの悪魔」(ハヤカワポケットミステリ) 1959
2010/11/23 ジョン・ディクスン・カー「ロンドン橋が落ちる」(ハヤカワポケットミステリ) 1962
2010/12/05 ジョン・ディクスン・カー「死の館の謎」(創元推理文庫) 1972


 カーは長い作家生活で何度か作風を変えている。おおざっぱにいうと、
1.怪奇小説の枠組みで探偵小説を書いている時期: デビューから3-4年。
2.冒険小説の枠組みで探偵小説を書いている時期: そのあとから1950年くらいまで。
3.探偵小説の枠組みで歴史小説、冒険小説を書いている時期: 1950年以降。
 都筑道夫がどこかのエッセーで「カーの小説は冒険小説」と書いていて、それに気をよくした「ぼくのさいきょうのぶんるい」です。
 この10年をかけてカーのミステリーを50冊以上再読しました。1と2の時期では「火刑法廷」が抜群の傑作。不可能犯罪やオカルティズムやファーズの味付けをしたものだと、これはというのが思い当たらない。多くの人は奇抜なトリックに興味をひかれ、そこに評価の軸を置くようだが、そこは今は評価しないほうがよいのではないか。むしろ複雑なプロットが事件を錯綜させ、断片的な情報を一枚の絵にまとめる手腕のほうがすぐれていると思う。「プレーグコートの殺人」「三つの棺」「囁く影」あたり。
(追記2023/6/3 再再読して「帽子収集狂事件」が傑作であることを確認しました。「火刑法廷」の次が帽子で、その次が上の3つです。)
 あと、肩の力が抜けた1940年代のが印象深い。「貴婦人として死す」「皇帝のかぎ煙草入れ」「爬虫類館の殺人」あたり。
 3の歴史冒険小説は1960年までは筆が踊っていて、とても面白い。なかでも「ビロードの悪魔」「火よ! 燃えろ」。
 とはいえ、これらは最初に読むにはお勧めしない。別エントリーに書いたように「絞首台の謎」「魔女の隠れ家」「赤後家の殺人」あたりからどうぞ。
 まあ、はやいうちに「連続殺人事件」を読んで、「カーならなんでもあり、すべてよし」とおおらかな気分になるのもよし。そうすると、全作を集めたくなる。自分がそうだった。


<追記2021/2/1> 探偵作家によるカーのおすすめ
2020/12/18 二階堂黎人「名探偵の肖像」(講談社文庫) 1999年

参考2022/11/26
odd-hatch.hatenablog.jp