odd_hatchの読書ノート

エントリーは2400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2020/10/13

アガサ・クリスティ「三幕殺人事件」(新潮文庫)-2

 前回読んだとき(アガサ・クリスティ「三幕の悲劇」(創元推理文庫))、どうもよくわからない話だなあと思った。そこで、翻訳を変えて読むことにする。新潮文庫版を選ぶ。

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 だめだった。3分の2の直前の210ページあたりでギブアップ。サー・チャールズ(俳優)とサタースウェイト氏に若い美人エッグが加わった素人捜査と冗長な会話、いつまでたってもはっきりしない現場の状況に読むのを断念。3人目の被害者が出たことを知らずに、解決編を読むというケチなやり方をとることになった。もちろん、クリスティの常として解決編では瞠目。なるほど意外な犯人をよく隠していたものだと感心。そこにおいてみれば、この作をクリスティの代表作に加えるのもなるほどと思う。でもねえ、・・・まあ、おれとこの小説が合わなかっただけだ、とつぶやくことにしよう。
 さて、本作はクリスティの重要な作品。すなわち、本書が1万部を超える販売数になり、40代のクリスティは名実ともにようやく人気探偵作家になった。その後の活躍は誰もが知る通りで、本作がヒットしなければマイナーな作家としてさびしい晩年をおくったかもしれない。 

    


 くわえて、クリスティ作は英米で出版されたが、ときに異同がある。ことにこの「三幕の悲劇」において著しい。
 その次第を紹介しているサイトがあったので、引用する。

「問題は、“Three-Act Tragedy”だ。これも、米初版が1934年、英初版が1935年に出た、米版先行作品の一つなのだが、英米両版に重要な異同がある。
 それは、犯人が明らかになる大団円の場面。米版ではポアロは犯人をスコットランド・ヤードに引き渡すが、英版では犯人が捨て台詞を残して部屋を出ていくに任せている。これはおそらく、場面設定の変更というより、犯人の造形に関わることと思われ、犯行の動機を不可解な狂気に近いものとみなすか、全く合理的で首尾一貫したものとみなすかの違いによるものだろう。
 勧善懲悪を好んだクリスティの傾向からすると、米版のほうが裁きがはっきりしていて分かりやすい。しかし、単なる狂気で片づけてしまうことに抵抗があったがゆえに英版で変更を加えたとも考えられる。いずれにしても、どちらがベターかは、これまたにわかに判断し難い。
 なお、邦訳では、創元文庫の『三幕の悲劇』(西脇順三郎訳)が米版に基づいており、早川文庫や新潮文庫は英版に基づいているので、その異同は邦訳を見比べるだけでも分かる。」

fuhchin.blog27.fc2.com

 こちらは異同をもっと詳しく説明。ネタバレになるので、ここでは引用しない。

yuseum.blog.so-net.ne.jp


 みなさん、すごい熱意ですばらしいです。