2025/10/15 佐々木力「科学論入門」(岩波新書)-1 古典科学、17世紀の科学革命、フランス革命以後の科学でみる科学の特性と発展 1996年の続き

第3章 技術とはなにか、それは科学とどう関係するか? ・・・ 日本では「科学技術」と一緒くたにされやすい「技術」を検討する。一緒くたにされやすいのは、技術は道具や手段であるとみなされやすいので。でも社会にインパクトを直接与えるのは技術である。そうすると技術は道具以上の要素を持つが、実体として自立しているわけではない。社会に構成されるものではあるが、技術自体が自己構成的でもある。科学以上に政治や経済に影響を与えるので、どう取り扱うかは科学以上に慎重であるべき。章の前半は技術の歴史。なぜ西洋の技術開発は急成長で、その他の地域はゆるやかだったのか。政治的理由(軍事革命で国家が奨励)や社会制度(大学が職人と科学者を結びつけたとか官僚制が阻害したとか)や思想(キリスト教が勤労を奨励したとか)などの原因がある。西洋ではエンジニアの社会的地位が向上したが、いっぽうで社会的モラルに欠く開発者が問題を起こしている。
〈参考エントリー〉
第4章 数学・自然科学・医学―科学の三つの典型 ・・・ 数学と医学は科学とみなされにくいけど、どの文化共同体にもあった。それが西洋ではどちらも科学に含まれるようになったが、そこには分析と総合という方法が社会にあったことが理由。数学は無矛盾な体形と思われたが、20世紀そうではないことが論理的に証明された。でもそれは古代の論理学で言われていたことを精密に言っただけという批判がある。あと自然科学も完全性があると思われているが、そうではない。経験的言明を個々に重ねていってもそれだけでは自然科学の心理性は決定できない(決定不全性)。論がなくても証拠があれば実用するのが、技術や非西洋科学。こういう態度は自然科学でも大事。
第5章 転換期の現代科学技術 ・・・ 20世紀末の科学とテクノロジーのディレンマは、その発展により社会の存続を危うくすること。たとえば、核兵器、原子力利用、環境破壊(と異常気象)、脳死と臓器移植など。
(1996年当時の記述は古いので、サマリーは作らない。)
勉強用にするには歯ごたえがありすぎて、とても参考になる指摘がありながら、サマリーに入れなかったことがたくさんあった。申し訳ない。その理由は詰め込みすぎにある。新書一冊に収めるには情報量が多しぐ。有斐閣の政治学や経済学の大学教科書シリーズくらいのサイズで、もっとゆっくりした記述になればよかった。
(ざっとネット検索したもが、本書の延長にあるような「科学論」の教科書はなさそう。科学哲学に傾くか、特定分野の科学史にこだわるかするようなもの。古代ギリシャから中世・ルネサンスの哲学を参照し、中国と日本の技術史を振り返り、政治学や経済学とのかかわりを見るようなものはなかった。自分が読みたい科学論は、クーンの「科学哲学の構造、廣重徹「科学の社会史」、マルクス「資本論」、世界システム論も。
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