odd_hatchの読書ノート

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2017-01-27から1日間の記事一覧

大江健三郎「叫び声」(講談社文庫) 「人間みなが遅すぎる救助をまちこがれている恐怖の時代には、誰かひとり遥かな救いをもとめて」あげえる叫び声を作家は自分事として聴こうとする。

冒頭に「人間みなが遅すぎる救助をまちこがれている恐怖の時代には、誰かひとり遥かな救いをもとめて叫び声をあげる時、それを聞く者はみな、その叫びが自分自身の声でなかったかと、わが耳を疑う」とあって、小説の主題が提示される。高度経済成長があって…