odd_hatchの読書ノート

エントリーは3200を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2024/11/5

モーリス・ルブラン

モーリス・ルブラン「ルパンの告白」(旺文社文庫) ルブランは、デュマ、ユゴー、ガボリオに続く新聞小説の大家

前回と版と訳を変えて再読。短編は1911年から1912年にかけて雑誌に発表された。前回の感想は下記。サマリーはリンクをみてください。 odd-hatch.hatenablog.jp 「太陽のたわむれ」 ・・・ ルパンと語り手が見たのは太陽光を鏡で反射させたあいず。逃げ出そう…

モーリス・ルブラン INDEX

2011/02/19 モーリス・ルブラン「怪盗紳士リュパン」(創元推理文庫) 2011/02/18 モーリス・ルブラン「リュパンの冒険」(創元推理文庫) 2011/02/17 モーリス・ルブラン「リュパンの告白」(創元推理文庫) 2011/02/16 モーリス・ルブラン「リュパン対ホー…

モーリス・ルブラン「怪盗紳士リュパン」(創元推理文庫) リュパン初登場。失敗もするし、女には振られるし、敵の罠に簡単にひっかかるが、若いリュパンは落ち込まない。

名探偵シャーロック・ホームズとならぶ推理小説史上の巨人、アルセーヌ・リュパンは世界中の老若男女から親しまれている不滅の人間像である。つかまらない神出鬼没の怪盗、城館やサロンしか荒さぬ謎の男、変装の名人、ダンディでエスプリにあふれた怪盗紳士…

モーリス・ルブラン「リュパンの冒険」(創元推理文庫) 大人気になったリュパンは早速舞台に登場。ソーニアはリュパンがほれるのも当然と思える魅力的な女性。

過去10年間フランス警察を手こずらせてきたリュパンは、いまや一種の国民的英雄の観を呈するに至った。シャーロック・ホームズも名刑事ガニマールも、ことごとくリュパンの前に敗北を喫している。そのリュパンが、今度はシャルムラース公爵の居城にある古美…

モーリス・ルブラン「リュパンの告白」(創元推理文庫) 駆け出しの青二才が持つ若さと初心さがリュパンの魅力。

リュパンは長編のみならず数々の短編でも活躍して、豊富なトリックがミステリ・ファンを楽しませてくれる。本書はリュパン・シリーズの中でも最高の評価を受けている短編集であり、名作「赤い絹の肩掛け」を含め、「太陽の戯れ」「結婚の指輪」等全8編を収録…

モーリス・ルブラン「リュパン対ホームズ」(創元推理文庫) イギリス人ホームズとフランス人リュパンがテーブルをはさんで見栄の張り合い、推理比べ。

百万フラン当選の宝くじの紛失と、フランス王冠にまつわる伝奇的な青ダイヤの盗難に端を発した、一連の怪事件解明に乗り出す名探偵シャーロック・ホームズ。フランス対イギリス、ホームズかリュパンか? トラファルガーの復讐戦を自負するリュパンの活躍。フ…

モーリス・ルブラン「奇巌城」(創元推理文庫) 悪を体現したリュパンはすべての宝を失い悲劇の王をなる。棚ボタで勝利を得たボールトレは二度と登場しない。

ル・アーブルの海岸にそびえ立つ、無気味な古城、その中に千古の歴史と伝説を秘めて眠る巨万の財宝! フランス大革命に断頭台の露と消えた王妃マリー・アントワネットが書き残した紙片の謎は、とめどもなく拡がって、リュパンと17歳の少年との暗号解読の競争…

モーリス・ルブラン「水晶の栓」(創元推理文庫) タイムリミットテーマに証拠品の意外な隠し場所に魅力的な悪役。ルパンの恋心と失恋がテーマになった最初の作品。

水晶の栓〉とは何か? 謎は謎を生んで、複雑怪奇な様相を呈するに至る。6か月にわたるリュパンの不運・過失・模索・敗北は何を意味するのか? 運河事件に端を発し、部下の裏切りと謎の人物、剛毅、果断、沈着、明哲、大胆洒脱な怪人との対決が始まる。水晶の…

モーリス・ルブラン「続813」(新潮文庫)

「謎の人物LMの手によって刑務所に放り込まれたルパンは、持ち前の沈着果敢さで警察陣を翻弄して脱獄に成功。全ヨーロッパの運命を握る秘密を解く鍵が必ずあるに違いない。が、またしてもLMの恐るべき刃は先回りしていた。LMとはいったい何者なのか? ルパン…

モーリス・ルブラン「813」(新潮文庫)

<ダイヤモンド王>と呼ばれる大富豪ケッセルバック氏は、全ヨーロッパの運命を賭けた重大秘密を握ってパリに出た。その全貌を明らかにすべく、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが会見したその夜、氏は何者かに刺殺されてしまった。現場に残されたレッテル”813”と…

モーリス・ルブラン「水晶の栓」(創元推理文庫) タイムリミットテーマに証拠品の意外な隠し場所に魅力的な悪役。ルパンの恋心と失恋がテーマになった最初の作品。

昭和初期の雑誌「新青年」で当時の探偵小説作家に「あなたのもっとも好む探偵小説は?」というアンケートが行われた。当時のこととて、ヴァン・ダインとかポオとかルルーとかがあがるなか、小栗虫太郎は「三十棺桶島」を選択したのだった。ほかにひとり「813…

モーリス・ルブラン「虎の牙」(創元推理文庫)

2億フランの遺産をめぐって殺された父子。その怪死の秘密の一端をつかんだ刑事は無残にも毒殺され、その手には“虎の牙”に似た歯形のついたチョコレートが握られていた。遺産相続をめぐって奸策緻密な犯人の驚嘆すべき犯罪計画の前に、窮地に立たされる不死身…

モーリス・ルブラン「八点鐘」(新潮文庫) ルパン「八回鐘がなったとき、オルタンスさん、あなたに約束をかなえましょう」

怪盗アルセーヌ・ルパンがレニーヌ公爵の名で、若くて美しい婦人オルタンス・ダニエルと共に、8つの冒険に挑戦する。怪紳士レニーヌは、生得の天才的な閃きと、過去の強盗の体験から身につけた豊富な知識で、虐げられた人達、無実に泣く人達に手を貸す。3ヶ…

モーリス・ルブラン「バーネット探偵社」(新潮文庫) 警察の手に負えない不可能犯罪を解決するけど、ちゃっかり余禄をいただいちゃいます。

1928年作。ジム・バーネットというイギリス人が「無料調査」の看板で探偵事務所を開いている。そこには貴族の末裔とか資産家とか資産運用の代理人などが訪れて(ときには警察官も)、事件の解決を依頼する。バーネットはスタイリッシュに活躍し、事件を解決…

モーリス・ルブラン「金三角」(創元推理文庫)

篤志看護婦の危機を救ったパトリス大尉は、彼女の夫が殺され、その手に握っていた紫水晶のメダルと“金三角”という走り書きから、奇怪な事件に巻き込まれた。“金三角”とは? フランス金貨10億フランの謎とは? 二人の男女と国家的機密とが交錯する怪事件。大…

モーリス・ルブラン「カリオストロの復讐」(創元推理文庫) ひとかどの男になったラウール(ルパン)は母性が命じた「父を打倒しろ」を実行する実の息子と対峙することになる。

パリ近郊の冬の別荘地で、大金を保管する老人の動向をうかがっていたラウールことリュパンは、老人の姪が殺され、狙っていた大金も消え去るという事件に巻き込まれた。しかし、目に見えぬ運命の糸に翻弄される息子と覚しき青年とリュパンの苦闘の前に立ちふ…

モーリス・ルブラン「カリオストロ伯爵夫人」(創元推理文庫) 母を知らないラウール(ルパン)は母性に飢えているが、母性が自分を束縛するようになると打倒する対象に代わる。

ラウール・ダンドレジーは、二つの組織が追う莫大な宝石のありかをめぐる抗争に巻きこまれた。天性の美貌と才智に長けた悪の華、妖しい魅力をもつカリオストロ伯爵夫人とは何者か? そして中世の修道院の財産の行方は? クラリスへの思慕を胸に秘め、若きア…

モーリス・ルブラン「二つの微笑を持つ女」(創元推理文庫) 侯爵とギャングと警察とリュパンが美女を追いかける。全員が二つの名前と顔を持っていて、正体が暴かれたら別の仮面をかぶる。

ジャン・デルルモン侯爵邸に忍び込んだラウールは、未解決のまま謎とされている15年前の惨劇――凶弾に倒れた歌姫の死に、侯爵がかかわっていることを知った。果たして事件の裏に潜むものは何か。瓜二つの金髪の美女。ギャングの親分を追うゴルジュレ警部。い…

モーリス・ルブラン「オルヌカン城の謎」(創元推理文庫) リュパンは国家や共同体のモラルに抵触する犯罪者だから反独プロパガンダ小説には幻としてしか登場できない。

新妻の母親の肖像画を前にして、ポール・デルローズの血は凍った。画中の女性こそ、16年前に彼の父親を刺し殺した犯人ではないか! これは運命か、それとも宿命か……。妻が残していった日記を手がかりに、怪盗紳士アルセーヌ・リュパンの助力を得て、義弟とと…

モーリス・ルブラン「特捜班ヴィクトール」(創元推理文庫)

リュパンが逮捕される。神出鬼没、天下無敵の怪盗紳士が豚箱入りとは。債券の盗難事件を発端として展開する波瀾万丈の大絵巻のなかで浮きつ沈みつする美女、こそ泥、えせ貴族たち……それを押しのけ、ヴィクトールは遂にめざすリュパンをしとめる。しとめるこ…

モーリス・ルブラン「赤い数珠」(創元推理文庫)

パリ近郊の城館で開かれた野遊会の日、突然発生した殺人事件と盗難事件。乗り出したのは、リュパンのよき理解者であるルースランの予審判事。彼は安楽椅子に腰をかけたままご馳走をたらふく詰めこみ、微笑しながら、みごとに難事件を解決する。著者最晩年の…

モーリス・ルブラン「ジェリコ公爵」(創元推理文庫) 記憶をなくした男のアイデンティティ捜索+「モンテ・クリスト伯」の傑作冒険小説

海賊ジェリコと、剛勇侠気のエレン・ロックの誇り高い美女と、謎のメダルをめぐっての死闘を中心に、ルブランならではの活劇、悲劇、喜劇が、地中海、パリ、ブルターニュの海と街と田園を背景に展開する。それにしても、海賊王が公爵とは? 失われた記憶をた…

モーリス・ルブラン「謎の家」(創元推理文庫) デビューから30年たった中年紳士リュパンの求愛に18歳の娘は躊躇する。

素晴らしい宝石をつけた女優が誘拐され、宝石を奪われた事件に端を発して、お針子がまた誘拐された。しかも、連れ去った者も、連れ去られた場所も同じ。この怪事件を結びつけるものは何もない。だが、デンヌリことリュパンが首を突っ込んだことから、意外な…

モーリス・ルブラン「緑の目の令嬢」(創元推理文庫) 中年紳士リュパンが発行の謎めいた少女に恋する。「カリ城」ラストシーンの先取り。

サファイヤのように澄んだ瞳をもつ令嬢、街角で心ひかれた女性のために、たちまち怪事件に巻き込まれたラウール。彼は相つぐ事件の謎と、緑の目の女性の陰に隠された恐ろしい秘密をかぎつけた。ラウールことリュパンは、敢然とその渦中にとび込んで謎を究明…

モーリス・ルブラン「バール・イ・ヴァ荘」(創元推理文庫)

ラウール・ダヴナック子爵が深夜自宅に帰ると、一人の美しい女性が待っていた。そこに、ラウールをリュパンと知る青年刑事ベシゥーから電話がかかる。難事件解決のための援助を懇請してきたのだ。不可解な事件、美しい女性、そして〈バール・イ・ヴァ荘〉の…