2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
1990年代に完了したヒトゲノム解析、ES細胞などによって、人体の交配や臓器提供などが実現できる見通しができた。しかしこれは人間の人体観・死生観に大きな影響を及ぼす。一方で、企業は商用化に向けて研究を加速し、南北や国内の経済格差はマイノリティや…
2021/10/29 米本昌平「バイオポリティクス」(中公新書)-1 2006年の続き 後半はより政治に近い問題になる。人体のパーツが商品化されて(輸血や角膜移植などで古くから使われていた)、グローバルな経済圏を作っていることと経済格差を原因とする人体棄損が…
生物人類学、進化生物学、行動進化学など1990年以降に生まれた科学の新分野の紹介。かつてはおおざっぱに動物行動学とでもされていた研究を細分化すると同時に、「動物行動学」が内包していた差別や蔑視などをのぞこうとする(どこかで読んだが、「動物行動…
以前ピグミーチンパンジーと呼ばれていた類人猿は今ボノボと呼ばれる。体格はチンパンジーに似ているが、詳細にみると違いがあるし、行動がとても異なる。この類人猿がほとんど知られていないのは、生息域はコンゴ(旧ザイール)の一部に限られ、秘境にある…
カリブ海の島にある漁村。WW2のころは活気があったが、大資本の沿岸漁業がでるようになって、小舟による漁はさびれるばかり。若者は島を出ていき、中年以上の漁師しか残っていない。そこにいる老人は84日の不漁に出会っていた。あまりの運のなさに、手伝いの…
マキャモンの出版第3作長編(書かれたのは2番目)。 カリブ海のコキーナ島。戦時中は造船と修理で儲かったものだが、今(1970年代後半)は仕事がない。観光客も来ない。心に傷を負ったアメリカ人がつぶれそうなホテルを居抜きで買って経営しているが、心は晴…
大富豪で資産家に最近雇われたメイドがおかしなことを口にした。「主人が飛行機に乗るのをやめるように」。実際に予約していた飛行機が墜落した(当時はさまざまな技術不足などで、墜落事故が頻発していた)。しかし、搭乗直前にとどいた電報で思いとどまっ…
ワイルドが1940年代に書いた連作短編集。「エラリー・クイーン」の片割れダネイの寄与もあったという(エラリー・クイーン「クイーン談話室」(国書刊行会) で言及されていたと解説にあったが、全然記憶にないや)。単行本になったのは1947年。 田舎町のお…
おお、面白かった。さて、感想を書こうかとおもって、前作のエントリーをみてみたら、すでに言いたいことが書いてある。これは困った。パーシヴァル・ワイルド「検死審問」(創元推理文庫) コネティカットの田舎町トーントンのさらに町はずれにある古い家を…
ニューヨークの演劇プロデューサーはあるパーティで作家志望の若い娘に引かれる。数回断られた後、デートに成功すると、彼女の境遇が惨めだったので、妻が旅行で不在になる間自宅を仕事場に使うように進めた。仕事は順調に進んでいるようだった。妻の帰国を…
高校の歴史教師をしていた男が探偵小説のアイデアをEQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン)に送ったら、ぜひ買いたいと返事があった。一つ発表したら幸い好評だったので、10編を書いた。それをまとめた短編集。 歴史上の人物が探偵になるという…
家政婦は探偵なのだという妄想を小川洋子「博士の愛した数式」、筒井康隆「家族八景」で得た。その系譜に載るような小説を見つけた。バーバラ・ニーリイ「怯える屋敷」(ハヤカワ文庫)1992年。そして、自分の妄想はそのままでは通用しないということに気づ…
金曜日の朝、ラビは寝坊した。起きたときには、ラビの車のそばで絞殺された女性の死体が発見されていた。彼女の持ち物であるハンドバックがラビの車の中に見つかった(ということは、ラビに限らずボストンからほど近い小さな町の住民は車に鍵をかける習慣が…
安楽椅子探偵の古典。刑事になったジェイムズが週末にママの家に行く。ママの手料理を賞味するのが目的だが、ママは息子の仕事を聞きたがる。話を聞いていくつか質問すると、ママは難事件を見事に解決する。15年間にわずか8編がかかれただけだが、80年代に…