イギリス幻想文学
これより「ゴーメンガースト」三部作が始まる。「ゴーメンガースト」とはどれほど昔ともわからぬ古に誰が定めたとも知れぬ、城の外に住むものが城のなかに住むものにする挨拶である。これを言っても何もわからぬであろうが、グローン家が代々住むゴーメンガ…
2026/03/02 マーヴィン・ピーク「タイタス・グローン」(創元推理文庫)-1 1500年も続くグローン家。誰もが憂鬱と倦怠のデカダンスにある。 1948年の続き 邦訳で650ページの大長編。でもストーリーはなかなか進まない。 十数年ぶり(フューシャの誕生以来…
2026/02/27 マーヴィン・ピーク「タイタス・グローン」(創元推理文庫)-2 折檻される少年は頭脳と舌先三寸で権力を奪取しようとし、77代当主になるべく運命付けられた幼児は権威の象徴を湖に捨てる。 1948年の続き 「ゴーメンガースト」シリーズ第2巻はタ…
2026/02/26 マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-1 城の伝統から脱出したいタイタスは〈外〉への抜け道を発見し、城の伝統を乗っ取りたいスティアパイクは顔にスティグマをつける。 1950年の続き さてすでにゴーメンガースト城は異変続…
2026/02/25 マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-2 城が水没しそうな洪水に襲われ、城が築いてきたヒエラルキーが破壊され、タイタスは自由と独立を求める。 1950年の続き ゴーメンガースト城から降りたタイタスは長い湿地や草原を抜け…
2026/02/24 マーヴィン・ピーク「タイタス・アローン」(創元推理文庫)-1 脱出した先の社会は無機質で無関心で、ゴーメンガースト城を誰も知らない。注目されないタイタスは不満。 1959年の続き 再び地上に出たタイタスは〈科学者の娘〉チータァと出会い、…
リチャード・マーシュの生没年は1867-1915。本作は1897年出版。すでに読んでいたものでは、ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」1897、ウィリアムソン夫人「灰色の女」1899年、コナン・ドイル「バスカヴィル家の犬」1902年が同時期の作。この国は1980年代の邦訳が…
2024/01/16 リチャード・マーシェ「黄金虫」(創元推理文庫)-1 イギリスホラーの古典。闇バイトに応じた青年は動物や異生物による人体侵襲に恐怖する。 1897年の続き 異教の神、昆虫の恐怖(イギリスにはあまり昆虫はいないのではなかったかな)、催眠術、…
モンタギュー・ロード(ローズ)・ジェイムズは1862年生まれ1926年没。古文書学や聖書学の研究者で、職業作家にはならなかった。生涯に書いた小説は短編31編に長編童話が1編という寡作。その代わり納得いくまで手を入れられたのだろう。完成度は高い。この傑…
2024/01/12 M.R.ジェイムズ「短編集」(創元推理文庫)-1 「消えた心臓」「銅版画」「秦皮(とねりこ)の木」「十三号室」 の続き ジェイムズの短編のサマリーで何度もディクスン・カーの名前をだしているが、カーの作品(ことに1930年代)はM・R・ジェイム…
10年ぶりの再読。1765年の作品で、会話と地を区別する「」(”)がないから、だれがどこでなにをしているかを把握するのが大変になる。そこで前回読んだ時のメモが本に挟んであったので重宝した。 2012/01/12 ホーレス・ウォルポール「オトラントの城」(国書…
このホラーの古典がつくられた事情は有名なので省略。なんにせよ、この傑作が若干19歳の女性によって1816年に作られたとは信じがたい気がする。書こうと言い出した男連中は途中で筆を投げたのに、誘われた女性一人が完成したというのは痛快なできごと。 家に…
最初に読んだのは小学館のカラー版名作全集「少年少女 世界の文学」イギリス編で。スティーブンソン「宝島」と「ベオウルフ」も載っていた。たぶん小学1年の5歳の時(早生まれなので)。子供のころから理屈っぽいのが好きで、論理や合理がしっかりしている…
2020/05/08 ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」(旺文社文庫) 1865年の続き 「不思議の国のアリス(1865年)」から6年たって、「鏡の国のアリス(1871年)」が書かれた。アリスは7歳半(作中で自身がいっている)になった。前作で子猫だったダイナが…
著者名はよく知っているのに、不思議なタイトルになっているのは、1910年に丸山英觀が翻訳した版だから。この国の「不思議の国のアリス」の初訳ではないが、とても古いもの。当然、21世紀に本を入手できるわけもなく、青空文庫に復刊されたもので読んだ。 ww…
最初に読んだのは小学館のカラー版名作全集「少年少女 世界の文学」イギリス編で。キャロル「不思議の国のアリス」と「ベオウルフ」も載っていた。 病気がちの父が経営している「ベンボ―提督亭」にフリント船長と名乗る船乗りがやってきた。そのときから15歳…
尾之上浩司編「ホラー・ガイドブック」(角川文庫)は、19世紀の怪奇小説で「フランケンシュタイン」「ジキル博士とハイド氏」「吸血鬼ドラキュラ」をあげている。その選択はまことにその通りで(ポオとホフマンとディケンズに挨拶くらいはしてほしいけど)…
ルリタリア王国はドイツとチェコの間に位置する(表紙の地図を参照)。若き国王ルドルフ5世が戴冠することになり、ローマ法王が首都を訪れていた(ヨーロッパの王権は神権に承認されないといけないのだ)。しかし、異母兄弟のストレルサウ大公は王位簒奪を…
2020/04/23 アントニー・ホープ「ゼンダ城の虜」(創元推理文庫) 1894年 あれ(「ゼンダ城の虜 The Prisoner of Zenda」事件)から3年。ルドルフ5世は戴冠し、フラビアと結婚した。しかしフラビアはラッセンディルを忘れられずうつうつとした日々を過ごす…
ウェルズの中編と短編。どれもSFのサブジャンルの始祖であって、SFでやれることの多くはウェルズがやってしまったという感じがする。そのうえ、人類や地球の未来に対する無力感となにもすることがないという諦めが漂う。読後、余韻は深いが、気分はすっきり…
旺文社文庫版。角川文庫の収録作品と一部重複。すでになくなってしまった旺文社文庫は訳者などによる解説が充実していた。当時の若手の文学研究者に多くのページを渡して、長い解説を書かせていたとみえる。そこには研究者らしい文献調査や社会学的な知識が…
今回読んだのは海野十三訳の青空文庫版。たぶん戦前訳だと思う(海野は敗戦後断筆)。ジュブナイル向けらしいので、どの程度原作に忠実なのかは不明。戦前訳では都合にあわせてストーリーを変えたりするのはよくあることなので。 イギリスの田舎にあるアイピ…
吸血鬼小説の古典にして代表作。もっとも古い吸血鬼小説ではないが、本書に書かれたアイコンやシンボルが吸血鬼のイメージを決定づけた。1897年初出なので、ホームズと同時期(なのでのちのパロディやパスティーシュでときどき共演する)。 映画が出来たら、…
2020/04/13 ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(創元推理文庫)-1 1897年 セワード医師はメモを書く代わりに蝋管蓄音機に吹き込み、ミナは速記術で記録をとってタイプライターで打ち直す。いずれも19世紀末の発明品。記録をとることはとても重要でその…
2020/04/13 ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(創元推理文庫)-1 1897年2020/04/10 ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(創元推理文庫)-2 1897年 教授一行といい加減にかいていたが、改めてメンバーを紹介すると、ヴァン・ヘルシング教授、ジョ…
イギリスの小説はリアリズムの伝統がある(例えばほとんどの探偵小説)が、一方で幻想を志向し、この世ならぬものへのヴィジョンを物語る系譜もある。このファンタジーの系譜は英国文学史にはあまり重要に扱われないが、少数の愛好家により広められ、この国…
2020/04/07 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリオSF文庫)-1 1920年 タイドミン ・・・ マスカルは夫の死に動じないオウシアックスに呆れて別れるつもりであったが、旅をつづけることにする。オウシアックス「私たちはクリスタルマン…
2020/04/07 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリオSF文庫)-1 1920年2020/04/06 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリオSF文庫)-2 1920年 リーホールフィー ・・・ 植物動物(両方の性質をもつ生物)に乗って、…
2020/04/07 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリオSF文庫)-1 1920年2020/04/06 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリオSF文庫)-2 1920年2020/04/03 デイヴィッド・リンゼイ「アルクトゥールスへの旅」(サンリ…
サセックスの森林に囲まれたランヒル・コート館。そこにはウルフの塔の伝説があり、中世には最上階がトロール(ヨーロッパの伝承などに登場する妖精)の手で運び去られたという伝説がある。失われた部屋の階下は「イースト・ルーム」と呼ばれている。この館…