odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・ディクスン・カー「絞首台の謎」(創元推理文庫)

夜霧のロンドンを、喉を切られた黒人運転手の死体がハンドルを握る自動車が滑る! 十七世紀イギリスの首切役人〈ジャック・ケッチ〉と幻の町〈ルイネーション街〉が現代のロンドンによみがえった。魔術と怪談と残虐恐怖を、ガラス絵のような色彩で描いたカー…

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」(創元推理文庫)

35年前の中学生時代に読んだときは、途中はとても面白かったのに、解決が判然としなくて後味が悪かった。再読したら、そのとおりの読み方でOKというのがわかった。1970年代だと探偵小説風味のユーモア小説というジャンルがなくて、あったとしてもカーは「本…

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」(創元推理文庫)

ブレンダは愕然とした。雨上がりのテニスコートには被害者と発見者である自分自身の足跡しか残ってはいなかったのだ。犯人にされることを恐れた彼女は、友人と共にこの事実を隠し通して切り抜けようとするのだが……。主人公達と犯人と警察の三つ巴の混乱の中…

ジョン・ディクスン・カー「夜歩く」(ハヤカワ文庫)

刑事たちが見張るクラブの中で、新婚初夜の公爵が無惨な首なし死体となって発見された。しかも、現場からは犯人の姿が忽然と消えていた! 夜歩く人狼がパリの街中に出現したかの如きこの怪事件に挑戦するは、パリ警視庁を一手に握る名探偵アンリ・バンコラン…

ジョン・ディクスン・カー「髑髏城」(創元推理文庫)

くだらないことを備忘のために。カーのミステリでは、タイトルに数字の付いたものがある。どれくらい並べられるかな。 1・・・「一角獣の怪」(一角獣が「ユニコーン」なので) 2・・・「死が二人をわかつまで」(短編に「二つの死」というのがあるらしい…

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」(創元推理文庫)

その部屋で眠れば必ず毒死するという、血を吸う後家ギロチンの間で、またもや新しい犠牲者が出た。フランス革命当時の首斬人一家の財宝をねらうくわだてに、ヘンリ・メリヴェル卿独特の推理が縦横にはたらく。カーター・ディクスンの本領が十二分に発揮され…

ジョン・ディクスン・カー「バトラー弁護に立つ」(ハヤカワポケットミステリ)

白い幽霊のような霧が、リンカンズ・イン・フィールズの辺りに立ち込めていた。十一月も下旬の午後四時半、空も町も、もう暗かった。 四階にあるプランティス弁護士事務所はひどく暗くてがらんとしていた。奥の事務所だけに明りがついていて、副所長のヒュー…

ジョン・ディクスン・カー「ロンドン橋が落ちる」(ハヤカワポケットミステリ)

このミステリは、中学生か高校生のときに図書館で借りて読んだ。なんだかよくわからなかった。よくわからなさは、クリスティ「復讐の女神」、P・D・ジェイムズ「女には向かない職業 」でもおなじだった。まあ、ミステリを読み始めたばかりの少年には、そんな…

ジョン・ディクスン・カー「震えない男」(ハヤカワポケットミステリ)

幽霊のでるという屋敷が競売にだされた。資産家クラークはさっそく購入し、友人知人7名を招待して幽霊パーティー(交霊会みたいなことか)を開くことにする。5月の休日に屋敷に集ったところ、資産家が銃で撃たれ死亡した。そこには、彼の妻しかいない。彼女…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 3 パリから来た紳士」(創元推理文庫)

1945年戦後の短編を集めたもの。「パリから来た紳士」は本格的な歴史ミステリの「ニューゲイトの花嫁」と同じ年。このあたりから歴史上の人物を主人公にするという趣向が出てきたのかしら。シオドー・マシスン「名探偵群像」は初出が不明(初訳は1961年)。…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 1 不可能犯罪捜査課」(創元推理文庫)

1940年刊行のたぶんカーの第一短編集。探偵役はフェル博士でもメリヴェル卿でもなく、マーチ大佐。カーにしろクイーンにしろデビューからしばらくは長編を書いて、短編を書くようになったのは1930年代の後ろのほう。出版業界になにかあったのかしら。新透明…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 2  妖魔の森の家」(創元推理文庫)

奥付の発行年は1976年になっていて、なるほどそういう年齢と時代に読んだのだと、感慨深い。それから数十年。内容を思い出すことはなかったのだが、読み返すと、細部はそれぞれ記憶の底にあって、確かに読んだという記憶が残っていた。あのときは2週間くらい…

ジョン・ディクスン・カー「死者のノック」(ハヤカワ文庫)

英文学教授ルースベンは呆然と立ち尽くした。女が胸に短剣を突き立てて死んでいたのだ。彼がこの女ローズを訪れたのには理由があった。彼女との仲が原因で妻に逃げられたルースベンに、ローズの家に行くようにという謎の電話があったのだ。他殺の疑いが濃か…

カーター・ディクスン「赤い鎧戸の影で」(ハヤカワ文庫)

お忍びで海外休暇中のH・Mがタンジールに到着すると、のぼりやら歓声やらで派手な出向かいを受ける。そのまま現地の警察に行くと、神出鬼没の怪盗を捕まえてくれとの要請。ブリティッシュ・ビューティのおきゃんぴー(死語!)な娘が私設秘書になってくれ…

カーター・ディクスン「パンチとジュディ」(ハヤカワ文庫)

パンチとジュディ (ハヤカワ・ミステリ文庫 クラシック・セレクション)作者: カーター・ディクスン,白須清美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/03/24メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見る2005/01/02記 イギリスとドイツの仲…

ジョン・ディクスン・カー「猫と鼠の殺人」(創元推理文庫)

猫が鼠をなぶるように、冷酷に人を裁くことで知られた高等法院の判事の別荘で判事の娘の婚約者が殺された。現場にいたのは判事ただ一人。法の鬼ともいうべき判事自身にふりかかった殺人容疑。判事は黒なのか白なのか? そこへ登場したのが犯罪捜査の天才とい…

ジョン・ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」(ハヤカワポケットミステリ)

蝋人形館の殺人 (Hayakawa pocket mystery books (166))作者: ディクスン・カー,妹尾アキ夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1954/11/30メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る 元大臣の娘オデット・デュシェーヌが死体となってセ…

阿刀田高 他「密室殺人事件」(角川文庫) 1980年代の国産密室トリック短編集。

収録されているのは 阿刀田高「天国に一番近いプール」 折原一「不透明な密室」◆ 栗本薫「袋小路の死神」◆ 黒崎緑「洋書騒動」 清水義範「モルグ街の殺人」◆ 法月綸太郎「緑の扉は危険」◆ 羽場博行「虚像の殺意」 連城三城彦「ある東京の扉」 ちょっと古い本…

ドナルド・J・ソボル「2分間ミステリー」(ハヤカワ文庫) 400-500語のなかに2、3語のトリックが仕掛けられている。その語句を探せ。

60−70年代に小学館の出していた「小学○年生」という雑誌では高学年向けになると、ミステリーの問題集を付録にすることがあった。たとえば断片的な目撃証言から容疑者を特定せよというものであったり、理髪店の鏡に映った時計からアリバイをくずせというもの…

アーネスト・ブラマ「マックス・カラドスの事件簿」(創元推理文庫) ホームズのライバルだった盲目探偵の事件簿。あまりにいい人すぎて感情移入できない。

福永武彦の「深夜の散歩」だったか「加田伶太郎全集」の序文だったかで盲目探偵の話があったので、マックス・カラドスを知ってはいたのだが、実作を読む機会はなかった。それ以来だから実に25年ぶりの邂逅ということになる。 1 ディオニュシオスの銀貨 (T…

中島河太郎編「日本ミステリベスト集成1戦前編」(徳間文庫) 乱歩を除いた戦前探偵小説の優秀短編をいいとこどりした入門書(もう入手困難だが)

横溝正史「面影双紙」1933 ・・・ 大阪弁と標準語のちゃんぽんで語られた商家の奇談。商い一筋の夫と若い妻。妻は歌舞伎役者と不倫していて、それが発覚したとき夫は失踪する。語りのあとのあざやかな落しで、恐怖が倍増。久生十蘭「海豹島」1939 ・・・ オ…

押川曠 編纂・翻訳「シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1」(ハヤカワ文庫) 1890~1920ころまでの泡沫名探偵の冒険。

最初にタイトル、次は作者、あとに探偵の名前、最後は発表年。 1 スタッドリー荘園の恐怖 (L・T・ミード)(ハリファックス博士)1893 ・・・ ハリファックス博士の元に若い夫人が訪れる。毎晩幽霊をみて神経衰弱気味の夫を助けてくれというのだ。博士が…

江戸川乱歩「世界短編傑作集 5」(創元推理文庫) 1960年にみた短編探偵小説の最新作。探偵小説はさらに多様化している。

ベイリー「黄色いなめくじ」1935 ・・・ 小学生低学年の男の子が幼児の妹といっしょに沼に入って死のうとする(日本人だと心中だが、欧米だと心中という概念がないので、殺人と自殺とみなされる)。この子供たちに興味を持ったフォーチュン探偵は、二人の幼…

江戸川乱歩「世界短編傑作集 4」(創元推理文庫) 30年代の短編探偵小説。謎解きだけからハードボイルドやサスペンスなどに探偵小説が多様化。

ヘミングウェイ「殺人者」1927 ・・・ 放浪者ニック・アダムスの冒険(作者は彼を主人公にした短編を複数書いている)。都会の安い飯屋で働いている。二人の不思議な男がくる。彼は大男のスウェーデン人を探している。ニックたちは監禁されそうになるが男たち…

江戸川乱歩「世界短編傑作集 3」(創元推理文庫) 20年代の短編探偵小説。デビュー時の乱歩が意識したのはこれらの最新作。

アントニー・ウイン「キプロスの蜂」The Cyprian Bees 1925年 ・・・ 車中で女性が頓死した。猛毒のハチに刺されたあとが見つかる。ヘンリー博士が謎を追う。小説の作法はすぐれていない。最初に「アナフィラキー」が概説されて、そこから逸脱する解釈にはな…

江戸川乱歩「世界短編傑作集 2」(創元推理文庫) 20世紀ゼロ年代の短編探偵小説。近代化された生活と警察の科学捜査があることが探偵小説の前提。

ルブラン「赤い絹の肩かけ」1907 ・・・ おかしな挙動を示す二人つれ。尾行したガニマール警部はリュパンに不思議な事件の解決を持ちかけられる。果たして、彼のいうとおりに犯人を上げることができたが、決定的な証拠がない。そこで、ガニマール警部はリュ…

江戸川乱歩「世界短編傑作集 1」(創元推理文庫) 19世紀の短編探偵小説アンソロジー。古典こそ探偵小説の醍醐味。

「短編は推理小説の粋である。その中から珠玉の傑作を年代順に集成したアンソロジー。1には、巻頭に編者江戸川乱歩の「序」を配し、まず1860年のコリンズ「人を呪わば」に始まり、チエホフ「安全マッチ」、モリスン「レントン館盗難事件」、グリーン「医師と…

オットー・ペンズラー編「魔術ミステリ傑作選」(創元推理文庫) エリン「決断の時」は大傑作。「アモンティリアードの樽」と読み比べよう。

絶賛、絶版中なのか。所有しているのは初版でしおりひも付き(一時期の創元推理文庫は、初版のみしおり紐を付けていた)。収録作は以下のとおり。 1 この世の外から (クレイトン・ロースン) 2 スドゥーの邸で (ラドヤード・キプリング) ・・「ジャング…

H.S.サンテッスン「密室殺人傑作選」(ハヤカワポケットミステリ) 人の出入りが不可能な状況で起きた犯罪に魅了される人々のための好アンソロジー。

収録作品を備忘のために記しておく。◆は印象深かったもの。どちらかというとパロディ風のほうを好んだらしい。 ある密室(ジョン・ディクスン・カー) クリスマスと人形(エラリイ・クイーン) 世に不可能事なし(クレイトン・ロースン) うぶな心が張り裂け…

ジャック・フットレル「思考機械の事件簿III」(創元推理文庫) マッドサイエンティストみたいな史上最も風采の上がらない探偵。

「思考機械」という詩的なことば(シュールリアリズムかダダの詩人が使いそうじゃないか!)に引かれて、「ブラウン神父」譚のような人工的な短編であるだろうと10代のときに考えていた。そのために、ずっと手を付けていなかった。最近100円で入手。 驚い…