odd_hatchの読書ノート

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小田実

小田実 INDEX

2011/12/07 小田実「何でも見てやろう」(河出書房新社) 2015/09/07 小田実「日本の知識人」(講談社文庫)-1 2015/09/04 小田実「日本の知識人」(講談社文庫)-2 2013/08/01 小田実/開高健「世界カタコト辞典」(文春文庫) 2015/09/03 小田実「「物」の…

小田実「日本の知識人」(講談社文庫)-1

1964年刊行。 「知識人」という言葉がどのような人たちを指すのか。大体わかったような気分になるけど、その内実を見ると、けっこうあいまい。実際に、歴史や社会によって異なっている。18世紀のイギリスと19世紀のロシアと20世紀の日本(それも前半と後半は…

小田実「日本の知識人」(講談社文庫)-2

承前 2015/09/07 小田実「日本の知識人」(講談社文庫)-1 この本の主題は知識人であるが、同時に高等教育と学生にも言及する。著者は知識人をできるだけ広くとらえるようにしていて、学生もふくまれるという立場をとっているので。1960年代は、下記にあるよ…

小田実「「物」の思想、「人間」の思想」(講談社文庫)-1

「何でも見てやろう」のあとの大きな出来事は、ベトナム戦争が始まったこと。著者は市民によるベトナム戦争反対の運動体「ベトナムに平和を!市民連合」をつくる。「ワシントンポスト」に反戦広告(岡本太郎の「殺すな」の文字が印象的)を出したり、米軍脱走兵…

小田実「「物」の思想、「人間」の思想」(講談社文庫)-2

続けて歴史と現実について。 人間のなかの歴史 1969.1 ・・・ 人間の中にある、人間に食い込む「歴史」を考える。それは時間の体積ではない。時間の堆積は切れ目折れ目のないのっぺらぼうなものだが、歴史は切れ目折れ目があって、人間の中を変える。たとえ…

小田実「義務としての旅」(岩波新書)

「何でも見てやろう」から5年後、新たな旅に出る。世界を眺めることを目的としていた前回の旅と異なるのは、さまざまな国のベトナム反戦運動の連携を探る明確なミッションがあったこと。まずこの国で「ベトナムに平和を!反戦連合」の運動を始めた後、作家…

小田実「ベ平連」(三一新書)

これは1969年秋に出版されたべ平連の途中経過報告。冒頭は、吉川勇一、小田実、鶴見良行の論文。次は、事務局のひとたちの座談会。後半は各地のべ平連の活動報告。最後の報告を書いているのは、高校生だったり、主婦だったり、学生だったりさまざま(なぜか…

小中陽太郎「私のなかのベトナム戦争」(サンケイ新聞社)

「ベトナムに平和を!市民連合」通称べ平連の活動の記録。1970年当時にはずいぶん資料があったと思うが、1980年代初頭においてはこれと三一新書「べ平連」くらい。 ちなみに、自分のもっている一冊の見返しには、ある政治家にあてた著者献辞が書いてある。そ…

小田実「「政治」の原理、「運動」の論理」(講談社文庫)

ここには1967-70年の文章を収録。政治、運動、文学の3つの章に分かれていて、「『物』の思想、『人間』の思想」の理論を現場で試すフィールドワーク、ルポルタージュの趣き。こちらでは文章に余裕が出てきて、具体に即して書いているので読みやすい。 I 政治…

小田実「世直しの倫理と論理 上」(岩波新書)

1972年初出。すでにべ平連の運動が数年間継続。その間に、定例デモ、雑誌の刊行、さまざまな集会、雑誌新聞への反戦広告、アメリカ脱走兵支援などいろいろやってきた。病気で入院したので、そのときにまとめたのがこの本。 運動すること、社会の不正をただす…

小田実「世直しの倫理と論理 下」(岩波新書)

つづいて下巻へ。 「しくみ」のなかの人間・人間のなかの「しくみ」 ・・・ 「しくみ」を無数のひとりの人々がつくると、しくみはそれ自体が個々の人間の意図とは別の動きをするようになる。人間を取り込むことと締め出すこと、そして「しくみ」の論理と倫理…

小田実「状況から」(岩波書店)

1973年に雑誌「世界」に連載された論文集(この人の書いた文章は、つねに講談とか漫談のような軽い口調がでているので、堅苦しい印象をもつ「論文」と呼ぶのはふさわしくない。それに論文というほどがっちりとした構成があるわけでもないし)。同時期に大江…

小田実「地図をつくる旅」(文春文庫)

月刊「文芸春秋」に1973-75年にかけて連載された。元になる旅は1960年代後半なのだろう。 自分の記憶を加えて書くとすれば、昭和40年代とくくれるこの時代(1965-1974年)は、「外国」がとても狭かった。大きな理由は渡航制限がしばらく続いたことと、固定相…

小田実「民の論理、軍の論理」(岩波新書)

民の論理は、その土地に生きるちょぼちょぼの人の暮らしから生まれる論理。まあ、協力とか贈与とかで補い合いながら個人を優先しようとする。軍の論理は、組織や集団のルールや利益を優先する論理。個人の権利や利害と衝突したら、組織や集団を優先する。と…

小田実「世界が語りかける」(集英社文庫)

1979年初出。収録のうち「90日間世界を翔ぶ」は週刊プレイボーイに連載されたのではないかなあ、確かな記憶ではないのでまともに受け取られると困るけど。 さて主題は例によって、世界各地の旅だ。1977-79年にかけて、いろいろ経巡った。通り一編の、あるい…

小田実「旅は道連れ、世は情け」(角川書店)

1976から1978年にかけて「野生時代」に連載されたエッセイをまとめたもの。 作者はひとところに落ち着くことができなくて、ちょっと家にいついたら旅に出たくてうずうすする。旅が大好き。旅といってもパック旅行やツアーではない。自分の場所を持ち歩いてい…

小田実「天下大乱を行く」(集英社文庫)

もとは週刊プレイボーイの1979年7月から9月にかけて連載されたレポート。その直前にアラブ世界を旅していて、その時の記録と人々との会話がのっている。 背景にあるのは、第4次中東戦争の和平とイランの革命と「石油ショック」。このレポートの旅を見ながら…

小田実「歴史の転換のなかで」(岩波新書)

1980年初出。1970年代の大きな運動であったベトナム戦争と文化大革命が終了し、社会主義国家のいがみ合いや強権がみられるようになった。アラブ諸国ではアメリカやソ連の支配から離れ、自力更生の国家や集団をつくる試みが始まっていた。国内では、「ヨーロ…

小田実「小田実の受験教育」(講談社文庫)

もとは1965年の発表。文庫版には1983年の英語教師(?)との対談が追加されている。対象とする時代は古い。そのうえ、自分はすでに受験は遠い過去のできごとで、受験を控える子供をもっているわけではないので、著者の想定するターゲットにはあたらない読者…

小田実「「問題」としての人生」(講談社現代新書)

オーウェルの予言した陰鬱な1984年に出版された本。あいにく、その年のこの国は陰鬱どころか、好景気で消費は盛況、対外的な問題はなさそう。ソ連とポーランドは大変そうだなあ、韓国は内情はよくわからないが安定しているみたい。気になるのはレーガンの経…

小田実「われ=われの哲学」(岩波新書)

1986年初出。1960年代初めからさまざまな市民運動に取り組んできた著者の考えをまとめたもの。とはいえ、網羅するには枚数が少なく、岩波新書のほかの本も読んでおいた上で、この本に取り組むのがよい。21世紀にほとんどの著書は入手困難か高額になってしま…

小田実「「ベトナム以後」を歩く」(岩波新書)

1982年10月に2週間ほどヴェトナムとカンボジアを取材したのをベースに、1984年に出版した。この年にはまだ「社会主義諸国」があって、なんとかしよう/なんとかなるだろうという希望を持っていた時代だった。 1 「ふつうの国」としてのベトナム ・・・ 戦争の…

小田実/開高健「世界カタコト辞典」(文春文庫)

1965年初出。海外渡航が自由になってから、積極的にいろいろな国を訪問してきたふたり。小田実は「何でも見てやろう」にあるように貧乏旅行で世界一周をして、そのあと平和運動などにかかわるうちに外に出ていくことが多かった。開高健は文学者の集まりが各…

小田実「何でも見てやろう」(河出書房新社)

終わりのところに、この国のインテリが外国とどのように向き合ってきたのかのをある種世代論的に語っている。分かりやすい図式なので、それを書くと、大雑把に明治維新から現在(1960年)までを第1、2、3の3つの世代にわける。最初の世代は、まあ、明治生…