日本の教育制度をみるために、まず江戸時代を探る。辻達也「江戸時代を考える」(中公新書)によると、江戸時代の初期に列島に住む人々に教育熱、学問熱が高まったという。詳細はわからなかったので、本書を参照する。江戸の人びとは会読会という読書会を開…
2026/09/07 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-1 会読会は身分制や共同体の規制から解放された自由と平等の言論空間。儒書、蘭書、漢文古典を共同で読み討論する。 2012年の続き 徳川幕府が作った身分制による格式維持と戦争準備態勢を継続する…
2026/09/07 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-1 会読会は身分制や共同体の規制から解放された自由と平等の言論空間。儒書、蘭書、漢文古典を共同で読み討論する。 2012年2026/09/04 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-2 19世紀、儒…
日本思想としての平田篤胤にはぜんぜん関心はない。本書を読む理由は、神道平田派がなぜ「幕府倒壊の一つの力(和辻哲郎)」になったかということと、国家神道成立にどうかかわったかということだけ。あいにく本書にはその説明はなかった。その点では残念。 …
本書の惹句を書店のページから引用する。 「「尊王攘夷vs.公武合体」という幕末史の定説は、事の実相を捉えていない。当時の日本人の対外認識はみな攘夷であり、即刻それを為すか否かの相違こそが、あの血で血を洗う政争を生んだ。これまであまり顧みられ…
2026/09/01 町田明広「攘夷の幕末史」(講談社学術文庫)-1 日本人はほぼ全員が攘夷である。公武合体でも一致していた。しかしその方法と時期で対立していた。 2010年の続き 司馬遼太郎「竜馬が行く」はそれこそ文春文庫各巻を百回以上読んだのであって、細…
サブタイトルが「維新前夜の群像1」とある。1965年に本書が出た後、シリーズになった。すでに読んだ「大久保利通」「坂本龍馬」などもそれ。維新百年の記念事業が進んでいたとか、司馬遼太郎「竜馬が行く」の連載開始などがあって、維新を振り返る企画がた…
通常、福沢諭吉は幕末維新の数少ない開明派で洋学派で、のちの明治政府の政策に大きな影響を与えた人とされる。実業でも成功したし、明治4年1872年にでた本書「学問のすすめ」も当時のベストセラーになった。日本国の紙幣に肖像が使われた。そんな人であれ…
秩禄処分は、華族(江戸時代のもの)と士族の家禄を廃止する措置。1876年(明治9年)までに完了した。対象になったのは公家、神官、郷士、大名、藩士など。この処分のあと、公職に復帰できたのは全体の3割くらいで、残りは失業した(なるほどなので、失業…
民俗学者による各地で行われた廃仏毀釈の掘り起こし。きわめて多数の地域で寺社が破壊され、仏像・仏具・その他が廃棄された。きっかけは1867年の神仏分離令。神仏習合の寺社に神社か寺社はか判然せよという指示だったが、政府の役人、地元の国学者、煽られ…
日本に住む人はどのように自分の名前を名乗ってきたか。 よくある誤解は、「江戸時代に武士と貴族以外の庶民は苗字をもっていなかった。明治4年の戸籍法で庶民に名字がつけられた」というもの。現代の歴史学では否定されている。 正しくは、古代から日本に…
奥富敬之「名字の歴史学」(講談社学術文庫)の続き。奥富書は江戸時代より前の名に詳しかったが、そのあとは端折り気味だった。本書は江戸時代の名について詳しい。 その江戸時代の人名だがとてもわかりにくい。奥富書にあるように氏名・姓名が使われ、さら…
大日本帝国に、教育機関は天皇・天皇制の国家理念を普及させるための機関になった。その国家理念は「国体」(元は国学由来)の優越性を示すことだった。国体の中身は、万世一系の天皇が日本を統治すること、古代から永続する日本固有の仕組みであること。こ…
2026/08/19 小野雅章「教育勅語と御真影 近代天皇制と教育」(講談社現代新書)-1 日本人の仏教信仰は、国体思想教育で上書き消去され、天皇の臣民として生きることを人生の目的にされた。 2023年の続き アジア太平洋戦争の敗戦後。占領軍は国体思想を教育や…
本書が出た1956年ころは国歌「君が代」に対する批判が強かった。いわく「元は恋の歌である」「民主主義に反する」(だから国歌にふさわしくない)。国学者にして、アジア太平洋戦争中は国策協力者となり、戦後公職追放された著者が「君が代の歴史」を書く。 …
君が代の歴史を知りたいので、山田孝雄「君が代の歴史」(講談社学術文庫)1956を読んだ。国学者が書いたものだけあって、江戸以前は詳しい。でも、明治政府になってからは情報が錯綜している。はっきりしない。そこで、より新しい君が代史を読む。著者は辻…
大日本帝国期(1868~1945)でもっとも日本人が愛好し消費した音楽は軍歌だった。民謡でも邦楽でもないし、まして輸入したジャズやクラシックなどでは断じてない。男女老若こぞって軍歌を愛好し、愛唱し、合唱したのだった。俺の個人的なみたてでは、日本人…
高校の「倫理社会」教科書をみて、岩波文庫を買った。旧字旧かなだったので、全く歯が立たなかった。昭和が終わってから新字新かなになったので、約半世紀を経て再挑戦。今度は読めた。 とても失望。同時に危険だとも思った。・俺は哲学の存在論も認識論も社…
俺くらいの年齢になると、1970年代の内風呂普及率は30~50%で、毎日入浴できるわけではないのを知っている。洗髪する頻度もそんなに高くない。なにしろ若い女性向けのシャンプーCMのコピーは「フケ、いやいや」だったのだ。若い女性が毎晩と毎朝洗髪するよ…
日清戦争1894が日本人にどのような影響を及ぼしたかを当時の資料を使って検証する。なので、戦争の原因、戦況推移、講和とその後という政治と外交と軍事の話は一切出てこない。それは別書で補完しよう。 日本の近代戦争史の研究者によると、日清戦争は重要な…
ことばはたいてい翻訳可能性をもっているけど、あまりにナショナリティに関わっているものだと、適切な訳語がないよね。ことに民族性の根幹にかかわることばほど、別の言語ではいいかえられないものだ。たとえば、ドイツのガイストだし、フランスのエスプリ…
初出の1910年にはすでにネトウヨがいたのだなあ。今のネトウヨがいいそうなことは明治の終わりにはすでに型ができていたのだなあ。今のネトウヨはその型をコピーしているだけ。今のネトウヨは知識と論理に弱いから、コピーは劣化するだけ。100年以上前のこの…
226事件の影の首謀者とかいわれ、実行者ともども死刑になったことしかしらない。彼の思想書とされる「日本改造法案大綱」をよむ。カタカナ書きはどうにも読みずらいので、青空文庫にあるテキストをひらがな書きに替えた。読みやすくなった。おかげで、この人…
杉本五郎は1901年生まれの陸軍軍人。1937年に中国山西省の戦いで戦死した。最終階級は中佐。彼は自分の思想をノートに書き溜めた。最後の戦いの直前にノートを家族に残した。それを整理して1938年に出版した。大ベストセラーになった。 中身は、軍人による国…
満州事変を起こしたときの関東軍の作戦部長。板垣征四郎らと共謀して、柳条湖事件などを起こし、満州での戦端を開き、全土を占領した。1933年に満州国を建国(世界中が承認しなかった)。国際連盟から脱退する理由を作った。アジア太平洋戦争開始の責任者で…
帝国日本の思想を知るには、官学や在野の人が書いたものを読んでもらちが明かない。そこで、政府や文部省その他が出した以下の文書を読む。書籍で入手するのは困難だが、著作権保護期間をすぎているので、ネットに転がっています。軍人勅諭(明治天皇)1882…
「帝国日本」は聞き慣れない言葉。ここでは、1890年の大日本帝国憲法発布から1947年の失効までの期間を指す。小野雅章「教育勅語と御真影 近代天皇制と教育」(講談社現代新書)を見ると、帝国の方針はそれ以前からできていたと思える。一方で文化史ではこの…
21世紀になって「日本スゴイ」言説が大量に現れてきた。書籍、テレビ番組。そしてSNS。これらの「日本スゴイ」は驚くほど画一的で、同じことを繰り返しているだけ。すでにパターン化しているので、反論も容易になってしまった。 この「日本スゴイ」ブームは…
稀代の悪法とされる「治安維持法」。具体的にどこが問題だったのかを検挙者達の事例を追うことで明らかにする。 治安維持法が成立したのは1925年。そこに至るまでの概要を記すと、教育勅語と大日本帝国天保制定によって、この国は天皇が全権を持ち臣民は天皇…
元は2014年に中公新書ででていたが、出版元を変えて2019年に電子書籍になった。 戦前の言論抑圧事件はおもにマルクス主義研究者に向けられていた。1935年までに共産党は壊滅したので、ターゲットは自由主義や個人主義を主張する研究者に向けられる。マルクス…