日清戦争1894が日本人にどのような影響を及ぼしたかを当時の資料を使って検証する。なので、戦争の原因、戦況推移、講和とその後という政治と外交と軍事の話は一切出てこない。それは別書で補完しよう。 日本の近代戦争史の研究者によると、日清戦争は重要な…
ことばはたいてい翻訳可能性をもっているけど、あまりにナショナリティに関わっているものだと、適切な訳語がないよね。ことに民族性の根幹にかかわることばほど、別の言語ではいいかえられないものだ。たとえば、ドイツのガイストだし、フランスのエスプリ…
初出の1910年にはすでにネトウヨがいたのだなあ。今のネトウヨがいいそうなことは明治の終わりにはすでに型ができていたのだなあ。今のネトウヨはその型をコピーしているだけ。今のネトウヨは知識と論理に弱いから、コピーは劣化するだけ。100年以上前のこの…
226事件の影の首謀者とかいわれ、実行者ともども死刑になったことしかしらない。彼の思想書とされる「日本改造法案大綱」をよむ。カタカナ書きはどうにも読みずらいので、青空文庫にあるテキストをひらがな書きに替えた。読みやすくなった。おかげで、この人…
杉本五郎は1901年生まれの陸軍軍人。1937年に中国山西省の戦いで戦死した。最終階級は中佐。彼は自分の思想をノートに書き溜めた。最後の戦いの直前にノートを家族に残した。それを整理して1938年に出版した。大ベストセラーになった。 中身は、軍人による国…
満州事変を起こしたときの関東軍の作戦部長。板垣征四郎らと共謀して、柳条湖事件などを起こし、満州での戦端を開き、全土を占領した。1933年に満州国を建国(世界中が承認しなかった)。国際連盟から脱退する理由を作った。アジア太平洋戦争開始の責任者で…
帝国日本の思想を知るには、官学や在野の人が書いたものを読んでもらちが明かない。そこで、政府や文部省その他が出した以下の文書を読む。書籍で入手するのは困難だが、著作権保護期間をすぎているので、ネットに転がっています。軍人勅諭(明治天皇)1882…
「帝国日本」は聞き慣れない言葉。ここでは、1890年の大日本帝国憲法発布から1947年の失効までの期間を指す。小野雅章「教育勅語と御真影 近代天皇制と教育」(講談社現代新書)を見ると、帝国の方針はそれ以前からできていたと思える。一方で文化史ではこの…
21世紀になって「日本スゴイ」言説が大量に現れてきた。書籍、テレビ番組。そしてSNS。これらの「日本スゴイ」は驚くほど画一的で、同じことを繰り返しているだけ。すでにパターン化しているので、反論も容易になってしまった。 この「日本スゴイ」ブームは…
稀代の悪法とされる「治安維持法」。具体的にどこが問題だったのかを検挙者達の事例を追うことで明らかにする。 治安維持法が成立したのは1925年。そこに至るまでの概要を記すと、教育勅語と大日本帝国天保制定によって、この国は天皇が全権を持ち臣民は天皇…
元は2014年に中公新書ででていたが、出版元を変えて2019年に電子書籍になった。 戦前の言論抑圧事件はおもにマルクス主義研究者に向けられていた。1935年までに共産党は壊滅したので、ターゲットは自由主義や個人主義を主張する研究者に向けられる。マルクス…
1940年に大政翼賛会ができたが、そこに至るまでの経緯を丹念に追う。初出の1983年には、大政翼賛会の研究はあまりなかったらしい。なので、関係者の証言を大量に引用する。そのあとの研究資料集にした趣き。 貴重な証言であることはわかるが、素人からすると…
昭和の日本陸軍の動きを描く3部作の第1作。元号改正から昭和10年ころまで。陸軍内部の抗争と政党政治への関与。大きな出来事は満州事変。関東軍と参謀本部の対立、軍部の独断専行を処罰できない内閣。などが書かれる。俺は軍人の名前になど興味がないので…
2026/07/16 川田稔「昭和陸軍全史 1 満州事変」(講談社現代新書) 日本陸軍は戦争状態を継続することで、国家による統制を強化し、臣民に犠牲的奉公を強要する。 2014年の続き 昭和の日本陸軍の動きを描く3部作の第2作。 226事件から対英米開戦直前ま…
2026/07/16 川田稔「昭和陸軍全史 1 満州事変」(講談社現代新書) 日本陸軍は戦争状態を継続することで、国家による統制を強化し、臣民に犠牲的奉公を強要する。 2014年2026/07/15 川田稔「昭和陸軍全史 2 日中戦争」(講談社現代新書) 対中戦争が膠着化…
名著。傑作。大日本帝国を終末においやった対中と対英米、その他の戦争を把握するのにとてもよい。もとは大学の教養学部(1~2年生)向けの講義をもとにしていて、義務教育ではほとんど触れられないために日本の近代史(維新以降)を知らない人向けに書か…
ネットで検索すると「東京裁判」関連本は、極右や歴史捏造者による否定本だらけという惨状になっている。東京裁判が勝者に取る政治的な懲罰であって、日本人を恥辱するものだという感情と、些細な出来事を誇張し都合の悪い事実や主張は隠すという悪質な内容…
戦後昭和の精神史。この間の最も大きな事件は「大東亜戦争」の敗戦。この敗戦をどのように認識してきたかを半世紀にわたって観察する。 まとめを先取りすると、日本人は敗戦に沈黙し、矮小化し、被害者意識を持つようになり、責任問題を「終わった」ことにし…
平成が皇室典範の規定を逸脱した(特例法で対応)終わり方をした。30年は思いのほか長かった。平成は平らかに成ることを意味する元号だったが、そうなったのかと問う。俺は平成の3分の2を「社畜」として過ごしてきたので、ほとんど社会のできごとを覚えてい…
NHKFMで吉田秀和が長年MCをしていた「名曲の楽しみ」。40年も続いたが死去に伴い、片山杜秀がMCになった「クラシックの迷宮」が2013年1月に始まった。しばらく気づかなかったが、聞いてみると面白かったので、2013年の夏ごろからずっとエアチェックしている…
「世界〇大オーケストラ」を選出する企画は昔からある。それこそ1939年のあらえびす「名曲決定盤」には聞くべきオーケストラとしてして6つのオーケストラと指揮者が挙げられている。戦後の雑誌「レコード芸術」のような音楽メディアもなんども×nそうした企…
朝比奈隆の「わが回想」(中公新書)と「交響楽の世界」(早稲田出版)を再読。 ・この明治人(1909年生まれ)は自分のことを「楽隊」と呼ぶ。そのことが不思議だったが、彼の経歴をみてわかった。この人にとって関西にゼロからオーケストラを作り、半世紀近…
たぶん最初の朝比奈隆(1908-2001)の評伝。すでに彼の半生は自身の口によって語られてきた。朝比奈隆「わが回想」(中公新書)「交響楽の世界」(早稲田出版) など。ここでは、本人のインタビューと関係者の聞き取りによって、補足していく。 俺のような音…
秋山和慶(1941-2025)は日本の指揮者。個人的な思い出だと、本書にも登場する1986年と1990年のシェーンベルクの大作「グレの歌」を聞いたこと。日本では1960年代の若杉宏指揮の初演以来20年ぶりの再演だった。そのパンフに書かれていたが、大曲で難曲なので…
ヘルベルト・ブロムシュテットの名を知ったのは1980年ころ。シュターツカペレ・ドレスデンとの一連の録音(ブルックナーとリヒャルト・シュトラウス)が評判だったのと、NHK交響楽団の定期公演に呼ばれて演奏がテレビで聞けたこと。当時のNHK響にはサヴァリ…
「奇才」「鬼才」ピアニスト。最初に知ったのは1985年ECM録音のシューベルト「ピアノソナタ第21番」。あの長大なソナタを尋常でない緊張感で引ききって、視聴者のドギモをぬいた。以後ブラームスのピアノ曲や「展覧会の絵」などが評判になる。来日したらシュ…
和暦を時代区分の指標に使うのは困難。和暦の時間がまちまち。日本国内にしか通じない。グローバルな出来事との関連性をみることができない。なので、和暦と年号は時代区分に使えない。「音楽史」を明治、大正、昭和で区分することはできない。 でも「平成」…
1954年から55年をクラシック音楽の特異点としてみる。事件が集中し、名演奏が続出し、レコードの仕様が大きく変わり、演奏家が入れ替わり、聴衆の嗜好が変化した。それは以下の点が反映しているとみえる。 ・独伊日のファシズム国家の敗戦処理が一段落して、…
えっ、音楽書は奇書、トンデモ本ばかりなの? こんなぶっ飛んだ考えを書いたものばかりなの? と驚きの声をあげてしまう短文集。 文芸評論では、対象のテキストを切り取って、そこに注釈をつけるように考えを書いていくからそう簡単にはぶっ飛んだ考えにはな…
著作権保護期間が30年だったころ、亡くなって30年以上経過している指揮者の録音がさまざまなレーベルから大量に販売された。とくに人気があったのは、ブルーノ・ワルターとヴィルヘルム・フルトヴェングラー。ともにスタジオ録音が大量にあったが、その数倍…