odd_hatchの読書ノート

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三島憲一「現代ドイツ 統一後の知的軌跡」(岩波新書)-2

前半が広義の国内問題であり、後半は国際問題や外交問題。 第5章 新たな国際情勢の中で ・・・ 90年代にヨーロッパの周辺で戦争や内戦があった。アメリカとイランの湾岸戦争、旧ユーゴスラヴィアの内戦。アメリカやロシアが介入し、EU内では支援するところ…

清水弟「フランスの憂鬱」(岩波新書)

ミッテラン政権(1981-1995)まで長期政権になったフランスの1980年代をみる。この10年間は、国家主導型経済に対する自由主義のバックラッシュがあり、民営化や規制緩和が進んだ。ではフランスはどうだったか。ヤーギン/スタニスロー「市場対国家 上下」(日…

郡司泰史「シラクのフランス」(岩波新書)

清水弟「フランスの憂鬱」(岩波新書)の続き。1995年にシラクが大統領になってからのおよそ10年。 ミッテランの社会党政権末期には汚職が横行していて議員や大臣にもあったのがわかった。またミッテランの14年の統治に飽きがあった。そこで、ドゴール派のシ…

アガサ・クリスティ INDEX

2020/09/24 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-12020/09/22 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-22020/09/21 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-32012/03/16 アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪…

早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-1

1978年12月。通常だと、クリスマスにクリスティの新作が発売されるが(英語圏)、1976年に亡くなったのでもう新作はない(「カーテン」「スリーピング・マーダー」は発売済)。そこで、書肆は追悼の評論集を出した。 クリスティ、人と作品簡潔さの女王(エド…

早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-2

評論ノスタルジーの王国(コリン・ワトソン) ・・・ 1920年代のイギリスの庶民は貸本屋で本を借りて読んでいた(いわれてみれば! ペーパーバックが出て本が消耗品になったのはWW2以降。(尾崎俊介「紙表紙の誘惑」(研究社))。庶民が求めたのは「逃避」…

早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-3

物語作者としての魅力(小林信彦、石川喬司、稲葉明雄、小鷹信光) ・・・ 1972年「世界ミステリー全集 第1巻」の付録についた座談会。全集は50巻くらいで、世界の探偵小説(ポー以来)の名作を集めたもの。ひとつの巻に長編を3-4冊分収録するというぜいた…

アガサ・クリスティ「ゴルフ場の殺人」(創元推理文庫)

講談社文庫(絶版)とハヤカワ文庫が「ゴルフ場殺人事件」、創元推理文庫が「ゴルフ場の殺人」。著者の長編第3作だが、ひとつまえが「秘密機関」というエスピオナージュなので、本格推理としては2作品目(1923年初出)。この小説からこの国の「新本格」の書…

アガサ・クリスティ「ポアロの事件簿 1」(創元推理文庫)

ポアロの、クリスティの初期短編。1924年に「Poirot Investigates」のタイトルで出版。創元推理文庫版はオリジナルのアンソロジーより収録は少ないようだ。ポアロとヘイスティングスがあったばかりで、同居生活を始めたばかり。ポアロのあとをヘイスティング…

アガサ・クリスティ「ポワロの事件簿 2」(創元推理文庫)

ポアロの、クリスティの初期短編。1923-30年にかけて書かれたもので、1974年に出版された「Poirot's Early Cases」に基づく。「戦勝舞踏会事件」が短編デビュー作。 創元推理文庫の「ポアロの事件簿 1,2」はハヤカワ文庫の「ポアロ登場」と「教会で死んだ…

アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」(新潮文庫)-2

村の未亡人が自殺した。一年前に夫を毒殺したといううわさがたてられていて、ようやくそれも消えようというころ。その翌日、村の財産家ロジャー・アクロイド氏が夜分になにものかに刺殺された。ロジャーの家にはその夜、たくさんの訪問者がいて、下がってい…

アガサ・クリスティ「ブルートレイン殺人事件」(新潮文庫)「青列車の秘密」とも

アメリカの富豪ヴァン・オールディン氏は娘の結婚に不満だった。夫がいい加減な遊び人で金をせびってばかりなのに、別の女(ダンサー)にうつつを抜かしている。離婚しろといいだすと、娘は娘でフランスの侯爵に入れあげていた。「ハート・オブ・ファイア」…

アガサ・クリスティ「おしどり探偵」(ハヤカワ文庫)「二人で探偵を」とも

ハヤカワ文庫のタイトルは「おしどり探偵」、創元推理文庫は「二人で探偵を」。 【今日の一冊】本日(11月22日)は「いい夫婦の日」です。『おしどり探偵』好奇心旺盛な妻・タペンスとやさしい夫・トミー。夫婦はひょんなことから国際探偵事務所を開設。素人…

アガサ・クリスティ「ミス・マープル最初の事件」(創元推理文庫)「牧師館の殺人」とも

原題「The Murder at the Vicarage」1930年はハヤカワ文庫で「牧師館の殺人」、新潮文庫で「牧師館殺人事件」、創元推理文庫で「ミス・マープル最初の事件」。ミス・マープルの長編初登場は本作だが、そのまえに「ミス・マープルと13の謎」に収録された短…

アガサ・クリスティ「シタフォードの秘密」(ハヤカワ文庫)

ハヤカワ文庫は「シタフォードの秘密」で、創元推理文庫は「シタフォードの謎」。違いはないです。 なるほど19世紀末からオカルトが流行り、大衆に広く膾炙した。帝政ロシアのラスプーチンなどをいう怪僧が政権に口を出すくらいになり、ブラヴァツキー夫人と…

アガサ・クリスティ「ミス・マープルと13の謎」(創元推理文庫)

作家レイモンド・ウェストの家には、警視総監、女性画家、弁護士、牧師が毎週火曜に集まる。一人しか結末を知らない話をして謎解きをする。いつも真相を当てるのは、セント・メアリー・ミード村から一歩も出たことのない老婦人ミス・マープル! 関係なさそう…

アガサ・クリスティ「エンド・ハウス殺人事件」((新潮文庫)「邪悪の家」とも

原題「Peril at End House」を新潮文庫はこのように名付け、創元推理文庫は「エンド・ハウスの怪事件」、ハヤカワ文庫は「邪悪の家」とする。1932年初出の長編第12作。 イギリスの南海岸で休暇中のポワロとヘイスティングスは、3日に3度殺されかけたという若…

アガサ・クリスティ「晩餐会の13人」(創元推理文庫)「エッジウェア卿の死」とも

創元推理文庫では「晩餐会の13人」で、ハヤカワ文庫では「エッジウェア卿の死」、新潮文庫では「エッジウェア卿殺人事件」。イギリス版とアメリカ版でタイトルが異なっていて(クリスティにはよくある)、翻訳者の判断でこのようになったらしい。書誌情報…

アガサ・クリスティ「なぜ、エヴァンズに頼まなかったか」(ハヤカワ文庫)

視力が落ちて退役することになったボビー青年は牧師館に間借りしている。ゴルフをしていたらとんでもないミスショット。ボールを探しに行くと瀕死の男性が倒れている。いまわのきわに語ったのはタイトルの言葉。転落事故で一件落着したが、事件の話を周囲に…

アガサ・クリスティ「ひらいたトランプ」(ハヤカワ文庫)

奇妙な大金持ちのシャイタナ氏はポアロに「生きた犯罪コレクションをみせましょう」と、自宅の(コントラクト・)ブリッジのパーティに招待した。二組(一組4人)のチームで徹夜でブリッジを遊ぶ。シャイタナ氏はゲームに加わらないで、ブランデーをたしな…

アガサ・クリスティ「殺人は癖になる」(創元推理文庫)「メソポタミアの殺人」「メソポタミア殺人事件」とも

原題「Murder in Mesopotamia」1936年はハヤカワ文庫で「メソポタミアの殺人」、新潮文庫で「メソポタミア殺人事件」、創元推理文庫で「殺人は癖になる」。創元推理文庫は中盤で事件を担当することになったポワロの口に出した言葉から。そのときには予想され…

アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」(ハヤカワポケットミステリ)-2

15年振りの再読。楽しんだ。前回の感想は、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」(ハヤカワポケットミステリ) 8人の老若男女がインディアン島に招かれる。屋敷があり、執事とコックの夫妻がいる。合計10人が島にいる。最初のディナーのあと、な…

アガサ・クリスティ「オリエント急行の殺人」(創元推理文庫)

西洋各国の鉄道路線を連結してヨーロッパを横断できる長距離列車にしようという構想で作られたのが、オリエント急行。就業は1883年にさかのぼるというからとても古い。最盛期はこの小説の書かれた1930年代だそうで、カレーないしパリからイスタンブールまで…

アガサ・クリスティ「マダム・ジゼル殺人事件」(新潮文庫)「大空の死」「雲をつかむ死」とも

原題「Death in the Clouds」は、創元推理文庫では「大空の死」、ハヤカワ文庫では「雲をつかむ死」、新潮文庫は「~~殺人事件」でまとめようとしたのかこのようなタイトル。cloudのダブルミーニングをどう汲むかがタイトルをつけるときのポイントになるが…

アガサ・クリスティ「三幕殺人事件」(新潮文庫)-2

前回読んだとき(アガサ・クリスティ「三幕の悲劇」(創元推理文庫))、どうもよくわからない話だなあと思った。そこで、翻訳を変えて読むことにする。新潮文庫版を選ぶ。 だめだった。3分の2の直前の210ページあたりでギブアップ。サー・チャールズ(俳優…

アガサ・クリスティ「愛国殺人」(ハヤカワ文庫)

歯医者に行くのは憂鬱だ(と自分は思わないのだが。最近の歯科治療では痛みを感じることは少ないよ)と、ポワロは年二回の検診を受ける。愛想よく話をした歯科医師は、翌日自殺しているのが見つかった。当時(1941年初出)のイギリスではピストルの個人所有…

アガサ・クリスティ「NかMか」(ハヤカワ文庫)

トミーとタペンス物を読むのははこれが最初なので、過去の経歴や仕事はまるで知らない。スパイ・サスペンスは好みのジャンルではないので敬遠してきたが、ある評論家が全長編を読んでこれが最上等の傑作だといっているのを知ったので、入手した。 1940年。英…

アガサ・クリスティ「白昼の悪魔」(ハヤカワ文庫)

西イングランドのスマグラース島。ここのジョリー・ロジャー・ホテルは有名ではないが、名ホテルとして知られている。満潮には孤立するので、海水浴場や海岸などに一日限りの観光客が来ることもあるが、ふだんはホテルの宿泊者だけしかこの島にはいない。193…

アガサ・クリスティ「ゼロ時間へ」(ハヤカワ文庫)

Toward Zero(原題。最初の邦訳タイトルは「殺人準備完了」だった。1950年代の探偵小説エッセイにはこの名で出てくる)の解説は福永武彦の「ソルトクリークの方へ@深夜の散歩」に尽きているので、それを読むのがよい。本書に収録されている(改版されたクリ…

アガサ・クリスティ「ヘラクレスの冒険」(ハヤカワ文庫)-1

とても懐かしいのは、ハヤカワミステリー文庫が創刊されたとき、とても初期に刊行された一冊だということ。そのときはクイーンやカーに目が向いていたので、手が回らなかった(金がなかった)が気になっていた。40年たってようやく読む。 ことの起こり - For…