2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧
黒岩涙香が1891-92年にかけて「都新聞」に連載した(いや単行本化したときに1回分脱落したとのこと。旺文社文庫版(全129回)は脱落した版とのこと)。このとき涙香31歳。契約の多い月初めからの連載なのは、いかに涙香が原作にほれ込んだかの証。もとはフォ…
2022/04/29 黒岩涙香「死美人」(旺文社文庫)-1 1891年 鳥羽(トリハ)探偵は英国出身でしきりに両国を行き来するとか、英国のレビュー団がフランスを巡回巡業しているとか、英国のウィスキー会社がフランスで営業しているとか、両国の民間交流はさかん。当…
2022/04/29 黒岩涙香「死美人」(旺文社文庫)-1 1891年2022/04/28 黒岩涙香「死美人」(旺文社文庫)-2 1891年 入手が極めて困難。若い読者には難読。すでに100年以上前の出版。なのでほぼすべてのストーリーを記しておく。でも、細部にある風俗、習慣、服…
黒岩涙香の「死美人」に触発されて、吉川英治が昭和6年1931年に雑誌「キング」に一年間連載した。「死美人」もまたボアゴベの長編の翻案で、元の作があるのだが、その仔細は黒岩涙香「死美人」のエントリーを参照してください。 2022/04/29 黒岩涙香「…
黒岩涙香31歳のときに(明治25-26年1892-93年)、万朝報に全138回で連載された。二人の鉄仮面の正体はだれか、二人の後を追う波乱万丈の冒険、謎の髑髏の怪人等で興味を引き、最後に驚愕の真相が明らかになるなど大好評を博した。戦後もなんどか単行本化され…
2022/04/25 黒岩涙香「鉄仮面」(旺文社文庫)-1 1893年 1672年2月。長年のルイ14世の圧政は一部の貴族の反感を増やしていた。パリは王の配下のルーボア(涙香は日本名にしているがめったに使わない文字はカナ表記にする)が密偵を放っているので活動は制限…
2022/04/25 黒岩涙香「鉄仮面」(旺文社文庫)-1 1893年2022/04/22 黒岩涙香「鉄仮面」(旺文社文庫)-2 1893年 梅真(ばいしん)処刑の日から8年たった1681年。辺境ピネロルの監獄に、典獄・仙頭麻有(せんとうまある:サン・マール)がいた。もともとはパ…
ボアゴベ-黒岩涙香の「鉄仮面」を読んだので、その勢いでデュマの「鉄仮面」を読む。面食らったのは「三銃士」のダルタニャンが出てくること。あとがきによると、「三銃士(1844)」の続編の「二十年後(1845)」のさらに続編「ブラジュロンヌ子爵(1848)」…
大デュマ「仮面の男」がなかなか読み進まないので、こちらに手を伸ばした。デュマを読む参考にはなったと思うが、フランス史の勉強になったかというと、うーん。 デュマの小説「三銃士」「二十年後」「ブラジュロンヌ子爵(後半が「仮面の男)」で世界中にし…
ご多分にもれず、おれもウルトラシリーズを見て育ったのである。一時期はウルトラQから帰ってきたウルトラマンまでのすべての怪獣の名前を言えたのである。そうなったのは、本放送を見ていただけではなく、翌年以降、夏休みや冬休みの間、毎日テレビで再放送…
笠智衆は1904年生まれ。寺の次男坊だったが、坊主になるのが嫌で、東京に出て蒲田の映画会社で俳優になる。最初は大部屋付きで端役ばかりだったが、小津安二郎に声をかけられる。いくつか出た後30代半ばで主演を務める。以後、小津映画の常連になった。小津…
著者はヒッチコック/トリュフォー「映画術」(晶文社)の翻訳者(原著1978年、翻訳1982年)。これでこの国のヒッチコック再評価が起きたのと、家庭用ビデオデッキが入手しやすくなりあわせてビデオテープが販売されるようになってヒッチコックの映画を(それ…
淀川長治は1909年(明治42年)4月10日生まれ。幼稚園のころから親と一緒に映画館に行き、小学生にはひとりで入るようになる。彼は神戸に住んでいた。その思い出話が美しい。ちなみに同じ時代の神戸には、今東光や横溝正史が青春を過ごしていた。淀川長治「自…
日本に映画が入ってきたのは1896年、神戸。試験上映をしたら好評だったので、興行師が現れた。あたった。 最初期の映画は二種類あった。 「キネトスコープは、機械の大きさがオルガンくらいで、腹部が三つに分けられ、上部に原紙を挿入、中部に発電機、下に…
ヨーロッパとは何かの問いに本書で答えると、地中海地帯と西ヨーロッパと東ヨーロッパに分けられる大きな地域の総称であり、古典古代(ギリシャ、ローマ)とキリスト教とゲルマン民族の精神を共有している集団であるといえる。ただ、内実を詳細にみると、地…
2022/04/11 増田四郎「ヨーロッパとは何か」(岩波新書)-1 1967年の続き これまでの章では古代の終焉をそれまでの支配者であったローマの側から見てきた。以降は、新しい支配層になったゲルマン民族の側からみる。当時のゲルマン民族は無文字だったので、資…
著者は 弓削達「世界の歴史05 ローマ帝国とキリスト教」(河出文庫)を書いた人。このエッセイでは、ローマという都市でおきた約2000年のできごとをみる。 ちょっと話をずらせば、この国ではエッセイは身辺雑事の「心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく…
ヨーロッパ史を読むと、西ローマ帝国の滅亡からあと十字軍まではあまり関心を持てない時代。古代帝国が消えた後に、部族社会に後戻りした感があるから。一方、コンスタンティノープルに遷都した東ローマ帝国はというと、ほとんど記述されないで15世紀初頭の…
井上浩一「生き残った帝国ビザンチン」(講談社現代新書)1990年を最近よんだときに、 以上のサマリーはあまりにヨーロッパ中心的な見方で、これではギリシャ・ローマの伝統文化をヨーロッパに伝達する中継者という役割に限定している。それはよろしくないわ…
クシシトフ・ポミアン「ヨーロッパとは何か」(平凡社ライブラリ)を読んで(だけではないけど)、ヨーロッパという摩訶不思議な地域に関心をもった。ヨーロッパが成立するまでは増田四郎「ヨーロッパとは何か」(岩波新書)、ヨーロッパの中世は鯖田豊之「…
澤井繁男「イタリア・ルネサンス」(講談社現代新書) ルネサンス文学の記述は専門的すぎるので、政治と経済と外交の情報を読み取ろう。ルネサンスは自律した運動というより、ビザンツやイスラムの文化の咀嚼運動。
本書を読む際に、ルネサンスを大まかに知っていた方がよいので、このエントリーを参照。会田雄二「世界の歴史12 ルネサンス」(河出文庫)-1会田雄次「世界の歴史12 ルネサンス」(河出文庫)-2 ルネサンスという時代(だいたい1300年から1600年まで)をイ…