odd_hatchの読書ノート

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トーヴェ・ヤンソン

INDEX トーヴェ・ヤンソン

2013/03/29 トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の彗星」(講談社文庫) 2013/03/28 トーヴェ・ヤンソン「たのしいムーミン一家」(講談社文庫) 2013/03/27 トーヴェ・ヤンソン「ムーミンパパの思い出」(講談社文庫) 2013/03/26 トーヴェ・ヤンソン「ムーミン…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の彗星」(講談社文庫) 突然訪れるカタストロフィに対して日常を守ることの意味と価値。

小学生のころ、読書は好きだったが、貧しい家だったので本を買ってもらうことはあまりなかった。あるとき、母が移動図書館で借りてきたものを読んでいっぺんに好きになってしまった。小学4年生から卒業するまでに、「ムーミン」「ドリトル先生」「ツバメ号…

トーヴェ・ヤンソン「たのしいムーミン一家」(講談社文庫) テーマは所有。物欲はどこまであればよいのか、それは人生にどうかかわっているのか。

第2作。彗星事件(事件の詳細は「ムーミン谷の彗星」を参照)の翌年、冬眠から覚めたムーミン谷のお話。彗星事件でムーミン谷に逃れたヘムレンさんやじゃこうねずみもいるし、スナフキンも旅には出ていない(途中で出立するが)。お話は、ムーミンが遊びに出…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミンパパの思い出」(講談社文庫) パパは波乱万丈の英雄譚を生きる。息子のムーミンは凡庸な市民生活を送る。

第3作目で1950年の作。 風邪を引いてすっかり弱気になってしまったパパ。ベッドに引きこもっているのをママが心配して、自分の思い出を書いたらと勧めた。パパの思い出と、それを読み聞かせられた子供たちの会話が交互に現れる。 よく知られるように、パパは…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の夏まつり」(講談社文庫) ばらばらになったムーミン一家はいかに孤独を克服するか。もっとも自由なスナフキンが子どもを束縛する教師になるという逆説。

その年の夏のムーミン谷はとても暑く、しかも休火山が活動を開始していた。ムーミントロールはスナフキンが帰ってこないので不満気味。スノークのお嬢さんはムーミンの気を引こうとするが失敗してしまう。ある蒸し暑い夜、不気味な地鳴りと地割れが起こり、…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の冬」(講談社文庫) 暗闇が続く冬に目覚めた少年はひとりぼっちに耐えて自立しなければならない。

1957年初出の第5作。 冬になると、スナフキンはバックパックを背負って南に行き、ムーミン一家は松葉を腹いっぱい食べて11月から4月まで冬眠してすごす。その冬もそうやって過ごすはずだったが、ムーミントロールは真冬のあるとき目を覚ましてもう眠れなくな…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の仲間たち」(講談社文庫) 1963年に発表された短編集。モチーフは「海に行く」「十一月」の次の長編に使われた。

1963年に発表された短編集。ムーミン一家が主人公になることはめったになくて、新しいキャラクターのほうに描写の力を入れる。 春のしらべ ・・・ スナフキンは春の調べが生まれてくるのを待っていた。彼の歌は孤独の時でないと生まれない。そのきざしはあっ…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミンパパ海に行く」(講談社文庫) 個人主義を徹底すると他人に弱みを見せられない。

憂鬱が募ったムーミンパパは、家族の賛同を得ないで、灯台守になることにした。付き添うのは、ママにムーミントロールにちびのメイ(いつのまにかムーミン家の養子になっていた)の3人。島には灯台はあるものの無人で放置され、無口で人嫌いの漁師がいるだ…

トーヴェ・ヤンソン「ムーミン谷の十一月」(講談社文庫) ムーミン一家を待つ人々。ムーミンシリーズで何かの問題が解決されたことなどないし、それはそれでよいのだろう。なにがよいのかよくわからないけど。

秋がムーミン谷に近づく。そろそろ雪に閉ざされ、みんな家に閉じこもることになるのだ。そのようなある日、谷の人々が突然、人恋しくなった。 スナフキンは旅の途中、「雨の曲」を作ろうとしたが、どうしてもメロディが生まれてこなかった。雨にふさわしい五…