odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

グスタフ・マーラー

柴田南雄「グスタフ・マーラー」(岩波新書)-2 マーラーは普遍的な人間の物語として英雄の死と新しい人間の再生を交響曲で描く。

とうにマーラーの没年齢を超えた年齢になった。マーラーの音楽は老年で聞くにはきついものになったが、彼の音楽は気になる。そこで10年ぶりに再読。前回の感想はリンク。 odd-hatch.hatenablog.jp 作曲家で音楽学者である柴田は本書の副題に「現代音楽への…

金聖響「マーラーの交響曲」(講談社現代新書) 音楽への強い一体化を求めながら、パロディ・諧謔・冷笑で突き放す語るにめんどくさい〈現代音楽家〉。

玉木正之(1952年生)が指揮者・金聖響(1970年生)にインタビューして交響曲の魅力を語るという企画第3弾。真打はマーラー。指揮者は神奈川フィルの常任指揮者だったころに、マーラーの作品を積極的に取り上げていたという。 戦前のマーラー演奏を知ってい…

笠原潔「西洋音楽の諸問題」(放送大学教材)-2 マニアには面白いテーマが並ぶが、大学講義となるとトリビアにすぎるのじゃない?

2025/07/23 笠原潔「西洋音楽の諸問題」(放送大学教材)-1 ベートーヴェンの交響曲は性格交響曲。英雄のテーマを完結させるためにくどいほどに繰り返される。 の続き ベートーヴェンの交響曲のことで熱くなりすぎたので、エントリーを分割することにする。 …

アルマ・マーラー「グスタフ・マーラー」(中公文庫) 20歳年上の有名人に嫁いだ才媛の回想。どちらにもストレスフルだった不幸な結婚生活。

アルマは画家の娘として1879年に生まれ、1902年にマーラーと結婚。2人の娘を授かったものの一人は死別し、1911年に夫とも死別する。その後はグロピウス、ココシュカその他と華麗な恋愛を繰り返す。1964年にアメリカで死去。この本は、1939年にナチスによるマ…

ド・ラ・グランジェ「グスタフ・マーラー 失われた無限を求めて」(草思社) マーラー-アルマ-グロピウスの三角関係は「トリスタンとイゾルデ」そのもの。

1993年10月に書いた感想文。 - 「グスタフ・マーラー 失われた無限を求めて」を読んでいます。前評判とおりに、とてもinterestedでinterestingな本ですね。未読の本の山を少しでも低くするべく新刊から遠ざかっていたのですが、ひさびさの音楽の本はとても新…

宮田光雄「キリスト教と笑い」(岩波新書) カール・バルトはゲシュタポに捕らえられたとき「塔の中の囚人の歌」を歌った。

1992年5月に書いた感想文。 - 宮田光雄「キリスト教と笑い」(岩波新書)を読んでいたところ、次のような一節をみつけました。今回はカール・バルト(1886〜1968)の話です。 1935年、ヒトラー政権下のドイツで神学者のバルトはヒトラー式敬礼とヒトラーへの…

柴田南雄「グスタフ・マーラー」(岩波新書) マーラーの音楽の特長は歌の復権と、メタミュージックであること。1980年代マーラーブームの記録。

1984年10月に販売されて即座に買い、翌日には読み終わり、そのあと数年間は繰り返し読んで内容をすっかり覚えてしまった。マーラーの作品や生涯のみならず、ここには著者の50年間に経験したこの国のマーラー受容史も書かれていて、録音のない物故者の名前を…

チャールズ・ローゼン「シェーンベルク」(岩波現代選書) 聞かれるよりも語られるほうが多い作曲家。

シェーンベルクは聞かれるよりも語られるほうが多い作曲家、になるのかな。彼の生涯を概観すると、1)神童、2)ウィーンでの無視、3)ベルリンからの追放、4)ハリウッドの疎外、みたいなストーリーを描ける。彼の作品を概観すると、1)表現主義、2)…

ドナルド・ミッチェル「マーラー 角笛交響曲の時代」(音楽之友社) 研究者による作曲家30代の作品分析。マニア向け。

1980年代後半に、マーラーの作品が「ブーム」と呼ばれる現象になった。CM(ウィスキー)の音楽に使われ、ある年の同じ月に3つの外国オーケストラが交響曲第5番を東京で演奏し、TVで特集番組が持たれた。その頂点が、シノーポリとフィルハーモニア管によ…