哲学思想
12世紀ルネサンスのあとの15世紀ルネサンス。中心はイタリア。通常は人文学や美術の成果をみたり、中世都市とは異なる商業都市に注目する。でも著者はこの時期のイタリア思想、なかでも神秘思想に傾倒する。 神秘主義や異端思想に傾倒する人は「木を見て森を…
今度は山形浩生訳で読んだ。英訳からの重訳。ネットで公開されている。リンク先。俺はこのテキストをword文書にコピペしてKINDLEスクライブで拡大して読んだ。 www.genpaku.org フランス語原文からの翻訳ではないが、文芸作品のような微妙なニュアンスを読み…
2026/01/16 ルネ・デカルト「方法序説」(山形浩生訳)-2 デカルトくんが隣で話しかけているような翻訳がよい。自分で考える、自分を判断基準にするというのは当時の危険思想。 1637年の続き 前半は21世紀に読むと「あたりまえ」しか書かれていないように思…
デカルトの「省察」で、16~17世紀の西洋の知識体系がいかに危機にあったか、その危機を克服するためにどんな努力をしたかがわかる。15世紀のイタリアルネサンスでギリシャ古典の翻訳が進み、それを取り入れて西洋の知はとても強固なものになった。でも次の…
2026/01/14 ルネ・デカルト「省察 (懐疑主義の系譜)」(KINDLE版)-1 ヨーロッパ諸学の危機と方法的懐疑。デカルトは「存在の大いなる連鎖」を検討する。 1641年の続き デカルトが、人間の認識は疑わしいと思って、あらゆる知識を疑ってかかった。そんな意…
2026/01/14 ルネ・デカルト「省察 (懐疑主義の系譜)」(KINDLE版)-1 ヨーロッパ諸学の危機と方法的懐疑。デカルトは「存在の大いなる連鎖」を検討する。 1641年2026/01/13 ルネ・デカルト「省察 (懐疑主義の系譜)」(KINDLE版)-2 神は完全なのに、宇宙…
本書を単体で読んでも何を言っているのかよくわからないと思う。「方法序説」「省察」を読んでから本書を読もう。そうすると、デカルトの自然学の功績はまず数学で結実したのがよくわかる。幸い俺はこの順に読んだし、かつ放送大学で「数学の歴史」と「初歩…
デカルトの「方法序説」と「省察」を自分勝手に読んだので、まっとうな解釈の解説書を読むことにする。(個人的な述懐。40年前に野田又男「デカルト」岩波新書を読んだ。通勤に使った京王線で、満員の車内でつり革と新書を持ち、揺れながら読んだのだった。…
高校生の時に読んだ。懐かしい。松浪先生は70歳の前後で脳卒中にかかり、以後老眼と合わせて本を読めなくなった。そのことの苦渋が晩年の「哲学以前の哲学」1988に書いてある。文字が大きい孫の絵本しか読めないという述懐に戦慄したものだ。今は電子書籍で…
ニーチェを含む哲学はずっとまえに離れたのだが、ヨーロッパやドイツや西洋音楽などを知るにつれて、ニーチェが気になってきた。長大な著作を読む気にはなれないので、自作を自注自解した「この人を見よ」を読む。40年前の読書では難解。こんどはずっとわ…
2025/07/16 フリードリヒ・ニーチェ「この人を見よ」(岩波文庫)-1 遅れてきた強国ドイツの病理を分析。哲学と心理学と詩と文学は同じ意義をもっている。 1888年の続き ではニーチェはどういう処方箋を書いたのか。 近代的人間はルサンチマンと誤った道徳で…
40年ぶりにニーチェを再読して、大言壮語の割にたいしたことを言ってないな、時代の制約もあるが差別思想があって鵜呑みにするのは危険、という感想になった。たぶんニーチェの哲学の解説書を読んでも、「この人を見よ」の感想エントリーにまとめた以上の理…
ニーチェは学生時代からワーグナーの音楽を好んでいて、ニーチェ24歳の1868年に最初に会う。1876年の第1回バイロイト音楽祭で初演された「ニーベルンゲンの指輪」に失望。その後はワーグナーの批判にまわる。1883年にワーグナー死去。44歳の1888年に「ワー…
2025/07/11 フリードリヒ・ニーチェ「ワーグネルの場合」「ニーチェ對ワーグネル」(角川文庫)-1 20世紀以降のワーグナー論の基礎になった重要論文。 1888年の続き 「ニーチェ對ワーグネル」の「貞潔の使徒ワーグネル」という章で、ワーグナーの「パルジフ…
「自由」概念は多義的であり定義しがたいものとされているので、人間の重要な問題であるとは考えにくくなってきた。 誰もが自由に生きているはずの時代にあって、私たちはなかなかその実感を持つことができない。自由など本当は存在しないのか?自由より優先…
2025/05/13 苫野一徳「『自由』はいかに可能か 社会構想のための哲学」( NHKブックス)-1 ヘーゲルの社会原理論を援用して「自由」を説明。自由は我欲する(欲望)と我なしうる(能力)が一致していると感じられること。 2014年の続き ここまでに以下の…
現代正義論にはさまざまなバリエーションがある。6つの傾向に分けて概略を説明する。通常、正義論や道徳論で扱われるホッブスやベンサム、カントなどは登場しない。というのは現代正義論は、それ以前の正義や道徳を説明する功利主義や格率主義の批判から生…
NHK「100分de名著」のローティ「偶然性・アイロニー・連帯」の回がおもしろかった。そこでローティに関心を持った。でも原著を読んでもちんぷんかんぷんになると思ったので、解説書を読む。予想通りほとんどわからなかった。 著者の渡辺氏はローティをロ…
これまでの経済学では市場・企業・家庭を一人格に扱い、中にいる個人を取りあげることはなかった。また自然を無限とみなして収奪してきたが(同時に農村の「余剰」人口を労働者に吸収し続けてきた)、再生産も無限とみなして対価をはらわずに再生産の場であ…
2024/04/19 上野千鶴子「家父長制と資本制」(岩波現代文庫)-1 家父長制と資本制は市場とそれ以外の空間を支配する構造としてできている 1990年の続き 1の理論編は家父長制と資本制の二元論を共時的にみた。2の分析篇は二元論を通時的にみる。大賞は日本…
自分が感じる生きにくさは、不安定で暴力的な社会に理由はあるが、同時に「男らしく」を深く内面化している自分自身にあるのではないか。そういう問いが老年になって生まれたので、勉強する。まず「ジェンダー」を理解することから。 ジェンダーは「社会的に…
2024/04/16 伊藤公雄「ジェンダーの社会学〔新訂〕」(放送大学教材)-1 「社会的に作られた性別」であるジェンダーの刷り込みは個人の生きにくさになり、差別や貧困などの原因になる。 2008年の続き 個人の問題からシーン別のジェンダーや「女性問題」につ…
この古典をそのまま読むのは危険。なにしろ1895年の著書。今と同じ前提で書かれていると思うと誤りになる。まず、19世紀末の心理学は20世紀後半の実験や観察、アンケートなどを使った実証的なものではなく、哲学の一分野だった。ニーチェがいう「心理学」み…
イギリス・オックスフォード大学所属の研究者が2003年に書いた政治哲学の入門書。章立てを見ればわかるように、政治哲学の大問題をわかりやすく解説したもの。日本で政治哲学の入門書を書くと、ソクラテス、プラトン、アリストテレスからカントやヘーゲ…
「正しさ」を考えるやり方について。2004年刊行。 第1章 「正しさ」は必要か ・・・ 「正しい」を説明する際に、本書では、「絶対」に依拠しない、内面の問題にしない、約束事を作り上げるというやり方で考える。なお「正しさ」は具体的に語る(あるいは具…
「14歳」は教育学や発達心理学などでは重要な年齢だ。伸びるし、不安定だし。そこで大人が適切に手を差し伸べよう。かつてのような教養主義でも、父権主義でもなく、彼らを人間として対等の立場で助言やアドバイスを行おう。命令するのではなく、自分で考え…
20世紀末の倫理学が何を考えているかを網羅する講義の記録(1997年)。おもには功利主義をめぐる議論になっている。概況はまえがきに書かれているので、まずはそのまとめから。 20世紀末の社会倫理の特長は、脱宗教的な世俗性(功利主義)、市場経済(自由主…
2023/08/09 加藤尚武「現代倫理学入門」(講談社学術文庫)-1 カントの内面の格率による規範意識も、ベンサムの最大多数の最大幸福も、ミルの自由主義も、道徳や倫理の形式化にはうまくいかない。 1997年の続き 以後は功利主義の限界を明らかにすることと、…
「最近の大学生は本を読まない」「大学生の学力が落ちている」「大学がレジャーランド化している」という言説はよく聞こえてくる。それは、過去の大学生は本をたくさん読んで、勉強をしていて、遊ぶ者は少数だったということを前提にしている。この前提は正…
2023/08/07 竹内洋「教養主義の没落」(中公新書)-1 戦前日本の教養主義:デカンショは外国への憧れで、反学歴社会運動だった 2003年の続き 本書の記述にそって、ある教養主義者を仮構してみよう。 彼は1900年から1910年の間に、田舎の中産階層に生まれた。…