odd_hatchの読書ノート

エントリーは3200を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2024/11/5

ウィルキー・コリンズ

ウィルキー・コリンズ「白衣の女 上」(岩波文庫) 純情で世間知らずのウォルター・ハートライトくんと可憐な美女ローラ・フェアリーちゃんの恋愛は互いの一目ぼれで始まる。でも結婚するには障害ばかり。

初出1860年というと、この国はまだ封建時代にいて、このような近代的自我を描く小説はなかった。汽車と馬車と徒歩で移動し、郵便で情報交換するしかない時代の物語は悠揚迫らず、心地よい陶酔(睡魔ともいう)に読者を誘う。筋立てや謎はゴシック・ロマンス…

ウィルキー・コリンズ「白衣の女 中」(岩波文庫) 病弱で身の回りの世話をできない上流階級の女性がいじめられ、ハートライトくんは真実の愛を発見する。

2018/02/27 ウィルキー・コリンズ「白衣の女 上」(岩波文庫) 1860年 小説はさまざまな登場人物による手記や日記、手紙など。事件を鳥瞰できるものはいないし、神のようにすべてを見通す視点も存在しない。それぞれの人物による制約や偏見がある文書を読む…

ウィルキー・コリンズ「白衣の女 下」(岩波文庫) パーシヴァル卿とフォスコ伯爵の陰謀。それは二人の女性を苦痛にまきこみ、青二才の青年を自立させた。

2018/02/27 ウィルキー・コリンズ「白衣の女 上」(岩波文庫) 1860年 2018/02/26 ウィルキー・コリンズ「白衣の女 中」(岩波文庫) 1860年 第2部の終わりに、ウォルター・ハートライトが帰還。期待通りにたくましい男になって、ハルカムとローラのまえに…

ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-1 インドから強奪した宝石は植民地経営によって富を得た一家に禍いをもたらす。イギリスの凋落を予感させるできごと。

1868年発表の長編。大長編。活字が小さくて行間の狭い創元推理文庫版で770ページもある。このごろのゆったりしたレイアウトにしたら1200ページを超えるのではないかしら。 プロローグ セリンガパタムの襲撃(一七九九年) ある家の記録よりの抜粋 ・・・ バ…

ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-2 この小説には「探偵」がいないが、手記を集め編集した者こそ「探偵」と呼べるかもしれない。

2018/02/22 ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-1 1868年 この長編は事件にかかわったフランクリン・ブレークが関係者に手記を書くように手配し、ほとんど手を加えないで、つなげたという趣向になっている。事件全部にかかわる「探偵」はいない…

ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-3 大きな謎解きは終わり小さな謎を追いかけるが、読者も作者も青二才の若者が結婚できるかどうかのほうが気がかり。

2018/02/22 ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-1 1868年 2018/02/20 ウィルキー・コリンズ「月長石」(創元推理文庫)-2 1868年 もっとも大きな謎は解けたとはいえ、まだまだ未解明な点が多々あり、捜査と冒険はこのあとも続く。 第四話 エズ…