2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
この本は、1983年夏に、今西錦司と柴谷篤弘が「今西進化論」について談論した記録。米本昌平の発案をリブロポートという出版社が企画して実現した。その背景になったのは、柴谷篤弘が「今西進化論批判試論」という本を出版していたから。もう少し背景を説明す…
2008年11月5日に、大分市と別府市の境にある高崎山モンキーセンターを観光した。昭和30年代初期に、ニホンザルの被害にあっていたころ、当時の大分市の市長の発案で山中の寺でニホンザルの餌付けを行う。数年したら複数のグループが毎日定期的に通うようにな…
Filemakerのバージョン9.0をインストールして、しばらく経つとブラウズ画面でフィールドが表示されず、レイアウトでフィールドの枠線が出ないことがあった。OSはXP。 サポートセンターで教わった対応方法。0.ファイルメーカーを閉じる。1.デスクトップを…
ここでの主題は、生命探究の還元主義批判で、すべてをDNAとその発現機構だけで説明するのはおかしいというもの。こういう機械論の考えでは説明つかないものがたくさんあるよ、そして科学のもっている手段では発見することのできないシステムが生物にはあ…
これは名著。著者40代に書かれていて、文章は清冽かつ意気に溢れ、慎重でありながら、ときには学問の領域を逸脱し的確なところで矛を収めている。見事。 内容の検討の前に、気をつけなければならないことをいくつか。主題は動物の社会であって、「社会」と…
とても久しぶりに、生物学関連の本を購入。主題は、生命の誕生に関する最新知見の紹介。 1980年代初頭では、生命の誕生はミラーの実験(1950年代)までしか紹介されていない。その前の10年間、生物学者は遺伝子組換実験の可能性を検討し弱点を克服することに…
サブタイトルは「分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか」。これはいささか風呂敷を広げすぎている。利根川進にはそこまでの意図はない。免疫系の複雑さが脳神経系の複雑さに似ているのではないか、という直観を語ったのみ。立花隆の勇み足。(1990年初出)…
昭和17年に「子供の科学」に連載されたエッセー集。自分の知っている「子供の科学」は誠文堂新光社から出版されていたが、当時はどうだったのか。 タイトルから連想されるのは、生物学の発展の話であって、たしかにレーヴェンフックが顕微鏡の発明と細胞の発…
隠された原理を見出したい」「もっと深く真理を探究したい」……。科学者たちのそうした願いが、ときに信じられないような奇跡を呼び起こした。「何かがおかしい」という直感を得て、何時間も揺れるシャンデリアを見続けたガリレオ。リンゴは落下するのに、な…
バミューダ・トライアングルについての与太話を楽しもうと思ったら、これは個々の事例についての調査報告。およそ100例の事件について当時の新聞記事にあたるなどして、ほとんど疑問のない事故なんだよ、真相は不明とはいえ理由は推測可能な範囲(ハリケーン…
中身は新たな「ヘルメス学」。ヘルメス・トリメギウスの書いた古い書物に世界の謎が記載されていたが、それは失われてしまった。だから、現在の問題(なぞ)の答えは古代に埋もれている、ということらしい。 十字軍遠征のあと、アラビア語に翻訳されていたプ…
1970年代のユリ・ゲラーと映画「エクソシスト」に代表される一連のオカルト・ブームに合わせて角川文庫が大量に「超自然の謎」シリーズを出版した。1978年の「スター・ウォーズ」上映で一気にブームが去り、その後再販されていない(一部は別の文庫で再刊さ…
コナン・ドイルが晩年に心霊術に凝ったことは有名。少女が撮影した妖精写真を見て、妖精実在を論証したという論文を書いたり(1980年代になってから本人が偽造であることを証言したので、ドイルには気の毒)、西洋・アメリカで心霊術に関する講演旅行を行っ…
1985年に「VHSコミュニケーション」という深夜番組があった。最初の放送が、浅田彰がプロデュースした「ビデオ進化論」。その第1部が、アートとサイエンスの中間領域に関する話題だった。そこで初めて、「セルオートマトン」「ライフゲーム」「メンガースポ…
フェルマーが当時の数学の教科書の余白に書いたメモ(それが知られるようになったのは、息子が書き込み付の本を出版したこと、および1908年にとある財団が証明に懸賞をだしたこと)で、350年間数学者が頭を悩ました問題の最終解決を独力で行った物語。証明の…
高校1年に入学したてのとき、学校図書館に通って昼食時に読む本を借りていた。ひとつは谷崎精二訳の「ポー小説全集」(たしか6巻。全巻制覇)。もうひとつが中谷宇吉郎の随筆集。後者はたしか3巻だったが、途中で挫折したと思う。それにしてもなぜこの随…
死の問題にとりつかれた一人の青年が永生を夢みて不老長寿の研究を始める。研究は前頭前部葉の秘密に逢着し、彼は意識をほとんど無限に拡大し、過去を透視できるようになる。パラドックスを伴わない真の時間旅行がここに初めて実現する。だが意外な妨害が………
こちらでは「現在」の話を書こう。主要登場人物は、語り手である「私」=カゾボン。1943年生まれ?の大学紛争当事者。とはいえ若者の直接行動には懐疑的で、政治にも斜に構えたところのあるニヒリスト(というか優柔不断だが、知的優位に立とうとする臆病も…
ベルボが消えた。フロッピーディスクを残して。カゾボンがピラデという店で、ベルボと知り合ったのは 学生時代。カゾボンはテンプル騎士団について研究する学生、ベルボはガラモン社という出版社で働いて いた。ガラモン社にアルデンティ大佐という怪しげな…
世界中に衝撃を与えた「ユダの福音書」。その発見から修復、解読にいたる全プロセスのエッセンスを映像にしたDVDと解説書を組み合わせたDVDブック。DVDは、「ユダの福音書」解読までのドキュメントはもちろんのこと、プロジェクト関係者、ならびに識者のコメ…
イスラエル建国前夜、クムラン洞窟で二千年の封印を解かれ発見された死海文書――。そして半世紀後、この謎に満ちた古文書の盗難を発端に恐怖の殺人事件が始まる。古文書捜索を依頼された考古学者ダビットと息子アリーは真相を突き止めるため旅立つが、接近を…
宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた―…
相対性理論から超ひも理論までの物理学詩の平易な解説。ここでのポイントは「統合」かな。アインシュタインは時間と空間を統合した。マクスウェルは電力と磁力を統合した。量子力学は電磁力と弱い力を統合した。アインシュタインは4つの力を統合する理論を…
カール・セーガンはミラーの弟子。ミラーは原始地球の大気を想定した気体に長期間の放電を行うことにより、有機物質を合成する実験をした人。セーガンは、この実験に協力していたとの由。直前に生命の起源に関する新書を読んでいたので、共時性に少し驚くこ…
昔、人々は明日を生きるための知識を得ようと空を見上げた。その後、僧侶や学者など一部の専門家だけのものだった時代を経て、宇宙は間近に捕えられた映像によって、再び我我の手に戻ってきた。途方もなく広い宇宙の神秘に魅せられた人たちの業績と夢を紹介…
自分の天文学に関する知識は1980年で止まっていたので、久しぶりに科学の本を読む。一般向けなので、深くはない。残念なのは、写真(とくにハッブル望遠鏡の写したもの)がほとんどないこと。天文学は「見る」ことの快楽を満たしてくれる学問分野なのに…
自分の半生はこの本を読むためにあったのだ(笑)。なにしろ、 福音書 使徒のはたらき ヨハネ黙示録 「新約聖書外伝」(講談社学芸文庫) 高橋保行「ギリシャ正教」(講談社学術文庫) エドマンド・ウィルソン「死海写本」(みすず書房) 高橋正男「死海文書…
2005年は一般相対性理論の論文が書かれてから100年目にあたる。とくにそのことを意識していたわけではないが、古本屋で絶賛品切れ中の文庫を入手した。収録されたのは、雑誌その他への寄稿や演説などであり、もともとひとつにまとめることを意図して書かれた…
古代から中世にかけてのキリスト教史は非常に興味深い。ごたぶんにもれず教義の解釈の相違によって分派が起こり、相対立して党派闘争があり、次第に勢力が伝播していくということが起きているからだ。おそらくイエス自身の考えがしっかりと保持されていたの…
なんとまあ、購入してから読了するまでに20年かかるということになってしまった。もともとみすず書房は上下2巻で出版していた。1985年に一冊にまとめた改訂版がでて、それを自分は購入したのだった。今はなき神田駅前の書店で仕事の移動中だったか、帰宅途中…