2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
高校生の時に、だれもがそうするように、おれも詩を書いたり、読んだりした。自作のものはぜんぜんだめだったので、プロの詩人の作品をあれこれ読んだ。好みがはっきりしたときには、西脇順三郎と田村隆一の二人が気に入った。気に入ると、自作のはますます…
著者のことはほとんど知らない。高校生の時に唯一の小説「雲は天才である」を読んだが、ピンと来なかった。 石川啄木「雲は天才である」(角川文庫) それ以外は読んでこなかった。それは短歌をどのように読めばよいのかわからないから。もちろんいくつかの…
ジャック・プレヴェールは1900年生まれ。10代に第1次大戦で動員され、20代にシュールリアリズム運動にかかわり、30代に映画界にはいって脚本をかいたり挿入歌の歌詞を書いたり、40代にレジスタンスにかかわったり、そのあとも映画にかかわり詩を作った。マル…
解説を読んでなるほどと思ったのは、ルナールはビュフォンの「博物誌」を読んでいたのだったってこと。ビュフォンの博物誌L'Histoire Naturelleは当時の博物学研究の総覧(1749-1788ころまで)。数十巻に及ぶ大著で、世界の動物を枚挙しようとする大著。厳密…
御多分にもれず、自分がビートルズを知ったのは、中学生の時に悪ガキがクラスに持ち込んだラジカセからだった。そこで聞いた「She Loves You」のメロディとビートにびっくりした。さっそく、若いみのもんたのDJで、ビートルズの曲を片端からかけるというラジ…
この国の敗戦がもたらしたもののひとつは、外国の音楽がどっと入ってきて、新たなファンを獲得したこと。15年戦争中に禁止されていたジャズほかが演奏できるようになった、占領軍の軍隊向けラジオ放送をこの国の人が聞いて魅了された、戦地の収容所でひがな…
エルネスト・アンセルメ(1883-1969)はスイスの指揮者。ディアギレフ・バレエ団の専属指揮者となったり、スイス・ロマンド管弦楽団を組織したり、Deccaで膨大なレコーディングをしたりと、20世紀を代表する指揮者の一人。若い時からお世話になったが、これ…
1924年にラジオで放送された連続講演会をまとめた。内容は和声学・対位法などの音楽学までおよぶ。たしかヤスパース「哲学入門」も時期は異なるとはいえ、ラジオの連続講演をまとめたもので、ヤスパースは自分の考えをぞんぶんに語った。ベッカーやヤスパー…
著者は1906年生まれの音楽学者、評論家。いくつかの楽譜の校訂や解説で彼の名前をみることがある。この本は1950年初版で、1976年に改訂された。 さて音楽の美に入門するための本であるが、音楽の美はどうもはっきりしない。とりあえず著者のいうことを聞き取…
当時50代前半の作曲家と40代後半の音楽学者による対談(1976年)。この国は明治政府ができてから音楽教育に力を入れるようになった。その一部は堀内敬三「音楽五十年史 上下」(講談社学術文庫)に詳しいが、ようするにヨーロッパ音楽を規範としたが、一方で…
この国では明治維新のあと、西洋音楽を普通教育に取り入れた(堀内敬三「音楽五十年史 上・下」講談社学術文庫に詳しい)。 odd-hatch.hatenablog.jp odd-hatch.hatenablog.jpそれによって、軍歌や唱歌、童謡などの合唱運動がおこり、国民が一緒に歌えるよう…
中国の音楽を鳥瞰する新書。なにしろ3000年の歴史を持ち、長江と黄河があって、現在では10億人以上も住んでいる場所だから、こんな新書一冊に収めるのはたいへん。そこで、3つのパートに分ける。 ・第1部は、古代。文献、考古学資料などから音楽の盛んであっ…
武満徹は作曲家、1930年生まれ。川田順造氏は文化人類学者で1934年生まれ。二人が1978年から翌年にかけて雑誌「世界」に往復書簡を公開した。それをまとめたのがこの本(1980年)で、文庫版の出たのは1992年。二人とも40代で、とても行動的。武満は世界各地…
1980年代の後半のいわゆる「バブル」の時代に、この国では「ワールド・ミュージック」のブームがあった。六本木や池袋のWAVEというCDショップに専門コーナーがあったり、世界の音楽を現地録音したCDシリーズが出たり、ブルガリアやバリ島やその他の演奏家が…
「音楽は世界の共通言語」という主張を聴くことがあるが、半分くらいしかあたっていなくて、世界の多くの人が音楽とみなしている語法で書いた音楽を演奏すると、世界の多くの人はそれを音楽とみなしてくれる、ということだ。知っている語法から外れた音楽は…
作家の小説に一時期はまっていて、著者名に「Jr」がついているころから、ずっと追いかけていた。その当時、翻訳されていたものは全部読んでいたのではないかな。どうやって知ったのかというと、たぶん大江健三郎のエッセイで。「坑内カナリア理論」で知った…
2014/04/10 ウラジミール・ナボコフ「賜物 上」(福武文庫) 2014/04/11 ウラジミール・ナボコフ「賜物 下」(福武文庫) 2014/04/14 ウラジミール・ナボコフ「ベンドシニスター」(サンリオSF文庫) 2014/04/15 ウラジミール・ナボコフ「ナボコフの一ダース…
550ページの長い小説を読み終えた後に、充実感ではなくて、読み込み不足を感じて、即座に最初のページに戻り、もう一度読み直さなければならないと読者に思わせる小説。今度は、作者の仕掛けをきちんと読み取ろうと思って読んでいても、たぶんまだ見落としが…
2016/10/07 ウラジミール・ナボコフ「ロリータ」(新潮文庫)-1 の続き。 ハンバートの主張によると、女は子供と成人の間に、<少女>と呼ぶべき特別な一瞬があるという。それをニンフェットと呼ぶ。年齢は9歳から14歳の間。すべての女がニンフェットになる…
ひとところには住めない風来坊がいる。とりあえずの名は「イシュマエル」としよう(日本語訳には下記のように揺らぎあり)。商船に何度も載ってきたが、今度は捕鯨船に乗り込むことにする。一度航海に出ると数年は帰れないかもしれない長距離の航海だ。そこ…
ハーマン・メルヴィル「白鯨 上」(新潮文庫)-1 の続き そうした引用先でも最も重要なのは「ヨナ書」。旧約聖書の中では最も短いもの(だと思う)なので、リンク先などで読むことを推奨。 口語訳聖書 - ヨナ書 冒頭付近でマップル神父がヨナ書に基づく説教…
という具合に、イシュマエルみたいにどうでもいいことを書くしかないが、もはやネタは尽きた。なので、あとはこれからハーマン・メルヴィル「白鯨」を読む人のための資料を提供することにする。 まずは登場人物表。だいたい登場順。イシュマエル ・・・ 語り…