odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

加茂利男/大西仁/石田徹/伊藤恭彦「現代政治学 新版」(有斐閣アルマ)-2 2012年版。この国の政治があまりにだめで、本書は現実の分析というよりユートピアの紹介のよう。

2020/11/2 加茂利男/大西仁/石田徹/伊藤恭彦「現代政治学 新版」(有斐閣アルマ)-1 2003年の続き 20世紀に政治の中心にあると考えられている立法、行政(司法)の分析。前のエントリーでもいったように2010年代のこの国に政治があまりにダメになっていて、…

川崎修/杉田敦編「現代政治理論(新版)」(有斐閣アルマ)-1 大学の政治学ではリベラルデモクラシーが教えられるが、日本の実生活ではリベラルデモクラシーは少数派。

北山俊哉/真渕勝/久米郁男「はじめて出会う政治学 -- フリー・ライダーを超えて 新版」(有斐閣アルマ)、加茂利男/大西仁/石田徹/伊藤恭彦「現代政治学 新版」(有斐閣アルマ)を読んだので、さらにその先を勉強。 第1章 政治--権力と公共性 ・・・ 政治…

川崎修/杉田敦編「現代政治理論(新版)」(有斐閣アルマ)-2 ナショナリズム、フェミニズム、公共性、環境問題、グローバル化などの新しい政治問題と理論を紹介。

2020/10/29 川崎修/杉田敦編「現代政治理論(新版)」(有斐閣アルマ)-1 2012年 自分が学生だった1980年前後を思い出すと、おそらく政治学の教科書にはマルクスとウェーバーにページが割かれていたのではないか。第7章以降は章そのものがなかったので…

藤田弘夫/西原和久編「権力から読みとく現代人の社会学・入門(増補版)」(有斐閣アルマ)-1 社会学のおもなテーマは「権力とは何か」。どこにでもある権力を分析。

社会学の大学教養課程の参考書を読む。社会学のおもなテーマは「権力とは何か」だそうで、さまざまな権力の分析をまとめている。本書は1996年初版で、2000年に増補版が出た。読んだのは増補版。 第I部 人間に潜む権力第1章 権力と社会=藤田弘夫 ・…

藤田弘夫/西原和久編「権力から読みとく現代人の社会学・入門(増補版)」(有斐閣アルマ)-2 メディア、教育、民族と宗教等に見られる権力と差別について。

2020/10/26 藤田弘夫/西原和久編「権力から読みとく現代人の社会学・入門(増補版)」(有斐閣アルマ)-1 2000年の続き 大学の参考書であれば、講義内容と合わせてもっと詳しいメモを取るべきであろうが、学生ではないのでエッセンスだけにした。勉強してい…

斉藤貴男「安心のファシズム」(岩波新書) 日本にファシズムが起こりつつあるとみた、2004年の論集。自己責任論と自由からの逃走をファシズム団体は利用する。

日本にファシズムが起こりつつあるとみた、2004年の論集。これを2020年から振り返るように読む。 第1章 イラク人質事件と銃後の思想 ・・・ イランで起きた日本人人質事件。このとき、政府は自己責任論で放置し、民衆は人質と被害者家族をバッシングした。…

伊藤真「憲法問題」(PHP新書) 憲法は国家を縛るルールであり、天皇・国務大臣・裁判官・公務員に憲法尊重と擁護義務を負わせている。国務大臣が改憲案を発議すること自体が憲法違反である。

世の中にはそれを聞いていると吐き気がするほど不快なことがいくつかある。ひとつはヘイトスピーチ。在特会などのレイシストの街宣やデモのネット中継を見ていて、彼らの発するヘイトスピーチに気持ちが悪くなったことはなんどもある(これはマジョリティだ…

樋口陽一「リベラル・デモクラシーの現在」(岩波新書) リベラルデモクラシーは公共社会の構成原理で身分制からの解放思想。

憲法学の泰斗による講演を編集加筆したもの。リベラルデモクラシーは公共社会の構成原理。でもリベラルの権利からの自由(議会制)と、デモクラシーの人民による意思(民主主義)は相いれないところがあるが、身分制からの解放思想ということで両立させる原…

堀江則雄「ユーラシア胎動」(岩波新書) ロシア、中国、中央アジア各国(旧ソ連圏)、インド、パキスタン、イランなどの参加でユーラシア経済共同体が2000年に成立。

ユーラシアという概念は1970年代ころかと思っていたら、1920年代ロシア知識人からでたそう。スターリン時代に弾圧されて封印されたが、1990年以降に具体的な経済圏構想として誕生した。2000年にユーラシア経済共同体がロシア、中国、中央アジア各国(旧ソ連…

渡辺靖編「現代アメリカ」(有斐閣)-1 20世紀以降のアメリカの政治と経済と社会・文化。

現代のアメリカ(と20世紀の歴史)をさまざまな切り口で説明する。歴史、政治、思想、経済、文化など。初出が2010年。初の黒人大統領バラク・オバマが就任した翌年。久しぶりの民主党の大統領なので、論調は民主主義や共和主義が復活するかどうかとい…

渡辺靖編「現代アメリカ」(有斐閣)-2 本書と同じ問題設定で「現代ニッポン」をレポートしたら、きわめてお寒い内容になりそう。

2020/10/15 渡辺靖編「現代アメリカ」(有斐閣)-1 2010年の続き 後半になると、取り上げられた問題は、まさにいま起きていることになる。本書でも、サマリーでも、20世紀までのことしか書いていないが、それぞれの問題はいまのできごととしてメディアやSN…

有賀夏紀「アメリカの20世紀 上」(中公新書) 19世紀の共和主義が20世紀初頭に革新主義になり、半ばには世界システムの覇者を目指す。

アーレント「革命について」でアメリカ革命(独立戦争)を知ったが、その後のできごとを知らないので、この本を読んで勉強。前史ののちはだいたい10年ごとに時代を区切る。西暦は恣意的な指標だが、人間や社会の変化とほぼ同期しているという驚き(これは20…

有賀夏紀「アメリカの20世紀 下」(中公新書) WW2以後。世界システムの覇権国が戦争介入と不況で没落していく。

2020/10/12 有賀夏紀「アメリカの20世紀 上」(中公新書) 2002年の続き 下巻はWW2の後をまとめる。自分のライフタイムに重なる時代になるので、これまで通史を読んでいなかった。なので新鮮。 第6章 冷戦下の「黄金時代」 ・・・ 1945年から1960年。WW2終…

梶田孝道「統合と分裂のヨーロッパ」(岩波新書)-1 1993年現在のようす。西は統合に向かい、東は統合の枠組みがなくなり民族国家に分裂する。

欧州連合の成立を目前に控えたヨーロッパ。国・民族単位で社会を見るやりかたができなくなるできごとであって、現状と行く末を注視する。初出は1993年。それからおよそ30年がたった2020年の視点で当時を読み直す。民族を考えるときに、ホームランドをもつ民…

梶田孝道「統合と分裂のヨーロッパ」(岩波新書)-2 1993年現在のようす。多文化主義と移民受入れ。極右と排外主義の台頭。

2020/10/08 梶田孝道「統合と分裂のヨーロッパ」(岩波新書)-1 1993年の続き 後半は、ホームランドをもたない外国人である移民や難民。EUにアイデンティティをもつのは、ヨーロッパの文化や言語などと同質性を持つ人には抵抗がないが、域外から移民難民は必…

田中素香「ユーロ」(岩波新書) 移行期間をへて2002年に運用開始された統一通貨ユーロの歴史。

長年の準備期間を経て導入されたユーロの歴史と現状をまとめる。それまでは西ドイツのマルクが基軸通貨になっていたが、ドイツはそのように使われるのを拒み、フランスなどはドイツがヨーロッパ経済に中心になることに抵抗していた。 1章 ユーロの歩みー一…

三島憲一「現代ドイツ 統一後の知的軌跡」(岩波新書)-1 1989年から15年の振り返り。東独統一のきしみ、国民と移民の確執、極右の台頭。

思えば、1989年のベルリンの壁崩壊と東西ドイツ統一(本書によると「併合」)からあとのドイツを知らない。そこで本書を参考にする。2006年初出なので、直近15年がもれてしまうが、しかたがない。 重要なできごとは上に加えると、ユーゴ内戦、イラク戦争。EU…

三島憲一「現代ドイツ 統一後の知的軌跡」(岩波新書)-2 1989年から15年の振り返り。周辺の戦争への介入、ナチスと東独の国家犯罪の謝罪と賠償、歴史修正主義との対決。

2020/10/02 三島憲一「現代ドイツ 統一後の知的軌跡」(岩波新書)-1 2006年の続き 前半が広義の国内問題であり、後半は国際問題や外交問題。 第5章 新たな国際情勢の中で ・・・ 90年代にヨーロッパの周辺で戦争や内戦があった。アメリカとイランの湾岸戦…