2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧
著者が1906年に英語で書いた。没後の1929年に村岡博が翻訳して岩波文庫に入り今に至る。勝手に背景を考えれば、日露戦争の「勝利」によって欧米で日本への注目が集まった。軍事的には注目されるが、経済と文化ではほぼ存在感のない国の文化を紹介する目的が…
新渡戸稲造は、1862年生まれで、物心ついたときには明治政府が樹立していた。東京女子大学の総長になったり、国際連盟の事務局次長のひとりになったり、ユネスコのもとになる機関の設立に尽力したりの活動を行う。1932年は軍部批判を発表してさまざまな圧力…
井上勝生「幕末・維新」(岩波新書)で1840-70年ころまでの日本をみてきた。このときに攘夷運動に基づく帝国主義国家が成立した、というのが自分の見立て。その後、この国はほぼ10年おきに対外戦争を繰り返した。兵員と軍事費の増加は国の経済を成長するおお…
2023/01/27 加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社)-1 2009年の続き 日本の「国防」思想は、恐らく孝明天皇の攘夷と焦土を辞さない戦争の意志から始まる。外国からの危機が迫っているという恐怖がもとにあるのだ。なので、政策は彼ら…
2023/01/27 加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社)-1 2009年2023/01/26 加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社)-2 2009年の続き 20世紀前半の朝鮮と満蒙をめぐる国際関係が奇々怪々なのは、同盟と敵の関係が…
昭和の歴史を振り返る1980年代の企画。第1巻は昭和の前の1918-1925年。今井清一「日本の歴史23 大正デモクラシー」(中公文庫)-1今井清一「日本の歴史23 大正デモクラシー」(中公文庫)-2 「改造」の時代 ・・・ WW1の終了後。西洋の貿易が止まったので、…
2023/01/23 金原左門「昭和への胎動 昭和の歴史1」(小学館文庫)-1 1988年の続き 大きなトピックは関東大震災。日本の流れをかえた。 関東大震災と天譴(てんけん)論 ・・・ 1922年9月1日の関東大震災と朝鮮人虐殺はリンク先を参照。社会主義者のリンチ虐…
1927年から1931年にかけての時代。テーマは大不況・軍縮・金解禁。不況に対して国債発行で乗り切ろうとしたが、赤字財政が増大することを恐れ公債発行を漸減しようとする。これが軍事費削減になる軍部が反発する。 昭和の開幕~はじめに~ ・・・ 大正天皇の…
2023/01/19 中村政則「昭和の恐慌 昭和の歴史2」(小学館文庫)-1 1988年の続き 1920年からの日本の不況をいかにして克服するか。他国の不況対策と比較すると日本の対策の特長はどういうものか。その問いに答えるために、金解禁とアメリカのニューディール…
著者は陸軍士官学校第60期生。最後の士官候補生で敗戦時の肩書もそうだった。なので、知り合いのなかには8/14のクーデターに参加したものがいる。そのような経歴があるためか、本書の記述は軍隊の中から昭和史を見たものになっている。軍事史研究としては重…
1931年の柳条湖事件から1936年の226事件までの5年間を扱う。1920年代の不況が慢性化し、さまざまな政策が打ち出されるが、はかばかしくない。後付けでいえば、多額の軍事費と植民地経営が負担になっていた。しかし軍を縮小する政府の運動は、軍ととりわけ国…
2023/01/13 江口圭一「十五年戦争の開幕 昭和の歴史4」(小学館文庫)-1 1988年の続き 加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社)-3を意識して読む。軍は政治的に先走っていく。戦略的な動きをするが、軍の思惑とは別に世界の列強は日…
中国との15年戦争はおもに日本人側の記録を読むことになるのであるが、そうすると被害者がどのような人であり、どのような生活を送り、どのような生涯であったのかがすっぽりと抜けてしまう。兵士や記者、あるいは一旗揚げようといった者たちは中国の生活…
2023/01/10 莫言「赤い高粱」(岩波現代文庫)-1 1987年の続き 第2部 高粱の酒 1939年8月10日の鬼子待ち伏せは凄惨な結果になる。祖父と父だけが生き残り、ほかのパルチザンは全員が死亡した。呆然とする祖父を励まし、村に帰る。 途中で思い出すのは、祖母…