2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
雑誌「思想の科学」が創刊されて20年くらいたつ1967年に、多田道太郎の企画で雑誌に関係の深い人との対談をすることになった。聞き手は鶴見俊輔で、3年ほどで30人以上の対談が集まった。この第1巻では、「思想の科学」創刊に関わったひとたちを集めた。あと民科…
哲学素人の自分が、「論理実証主義」が云々、「言語ゲーム」が云々、「日常言語」が云々をいっても間違いだらけになるので、その種のことは書かない。1970年代の高校倫理の教科書や参考書にはウィトゲンシュタインは載っていなかった。でも1980年代には大学…
黒木玄先生のツィートを引用。これは便利だ。 黒木玄 Gen Kuroki on Twitter: "提出物を学籍番号順に並べるときに、紙束の山を10個作るスペースがあるなら基数ソート http://t.co/f5evnpC3 が便利。全学授業の教員控室に行くと大抵の場合誰かが紙束のソート…
「1920年代ドイツのワイマル文化は短くも閃光のように輝き,今日もその残像は消えない.その瞠目すべき思想・芸術の多産性は,20世紀の問題のほとんどを提起し,「現代思想のるつぼ」となって沸騰した.そこに行き交うさまざまな人間像を具体的なエピソード…
高校の春休みに購入したのだが、どういうきっかけだったのか思い出せない。直前に三木清「読書と人生」を購入・読了しているので、この本か国語の教科書に載っている文学史あたりをみて興味をもったのだろう。しかし当時は現象学のことをぜんぜん知らなかった…
本人と思しき「問う人」が「日本人」と対話するという形式の本。この「日本人」のモデルは手塚富雄である、九鬼周造である、などなどいろいろ言われている。1920年代のドイツのハイパーインフレ時期には、おおくの学生がドイツに留学し、何人かの学生がハイ…
当時(20代前半)、哲学に興味を持ちだして、このような概観書をいろいろ読んだ。この新書もそのひとつだが、なかなか理解できなかった。たぶん別冊宝島の現代思想入門(1984年)をてがかりにして読んだのだろう。 さて、四半世紀振りに読み直して、自分の興…
2003年に増補改訂して岩波現代文庫で再販された。自分が読んだのは古いほう。 西田幾多郎の本は高校生のときに「善の研究」岩波文庫を購入したが、旧字旧かなであることもあって挫折。今は新かなに変わっていて、もう少し読みやすくなっているのかな。彼の弟…
ニーチェという人は、著書は読まれるのであるが、その割りに人生についてはあまり知られていないのではないか。古い映画に「ルー・サロメ」(タイトルはうろ覚え)があって、ドミニク・サンダ演じるルー・サロメが一時期の愛人としてニーチェと同棲しているとこ…
19歳のときに読んだはずで、あまりに鮮烈な印象を残しているので、思わず取り上げた。 舞台は、未来の地球(?)。自然は荒廃し、人類はドーム型の都市を作ってこもっている。機械が人生のすべてを管理する世界。安定しているが停滞から退廃に向かおうとして…
1971年に出版された。自殺した大学生の日記をあとでまとめたもの。 この年齢になるともう読めないなあ。もともと公開を前提にかかれたものではないので、若い女性の心を覗きをしているみたい。さらに、この年齢のころにある潔癖主義とか理想主義と、その一方…
感想を書く気が重い。この時期(2008年)では、イスラム過激派のテロに重ねて考えることになるだろうし、ドスト氏の「悪霊」に重ねた政治テロの系譜も興味深いし、なにより自分の命を捨てて他数の命を救うために権力者を殺害することの是非(ないし自分の態…
「戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? どんな倫理的真空がこのような残…
たしかにその日に何が起きたのか、その後の世界をどのように生きたのか、町がどのように復興したかは知識として知っている。それでも、その場所にいた人の体験を聞かされるとなると、そのすさまじさに圧倒され、頭を下げることになってしまう。 ここに書かれ…
サイパン島などを陥落したのち、アメリカ海軍は空爆の指揮官をルメイ将軍に変えた。その結果、軍事施設をピンポイントで狙う作戦が変更され、無差別爆撃になった。東京への昭和20年1月と2月のテスト空襲で十分な成果を得られると判断したため、3月10日、14日…
知名人がどのように亡くなったかをまとめた本としては、山田風太郎の作(「人間臨終図鑑」)のほうが有名だろうか。彼は数歳で亡くなった人から、90歳を越える高齢の人まで1000人近くの事例を集めたのではなかったか。あいにくあまりに大きな本だったので、…
学習院大学理学部の著者がwebで公開した「本」。まだ出版されてもいない*1。しかも公開されて2日目くらいかな。通常、このblogでは古本ばかりを扱うのだが、今回は取り上げることにする。というのは、福島原子力発電所の事故と放射線漏れについて、たくさん…
1988年ころに本屋で「人間臨終図鑑」という大部の本を見た。上下2巻で、一歳から90歳くらいまでの有名人の死にざまを書いたもの。国籍、性別、職業に関係なくともあれ有名人であれば、とにかく死にざまを収録しようとするもの。配列の基準は単純に死亡時の年…
ブラッドベリ・ファンの仁賀克雄さんがパルプマガジンから集めた本邦未訳の短編を独自に編んだ。1920年生まれのブラッドベリ雌伏の時代で、片端から書き飛ばしたもの。 火星の足跡1949 ・・・ 火星で二人だけ取り残され、地球に帰るあてもない。あるとき女の…
ハロウィンの朝、12歳のトムは友人7人と連れ立って、もっとも少年らしい少年ピプキン(パンプキンなんだろうな)を迎えに行く。いつもは元気溌剌のピプキンは調子が悪い。後から来るというので、町外れの古めかしい館で肝試しをしようとする。「Trick or tre…
【ロサンゼルス=西島太郎】AP通信によると、米国を代表する作家、レイ・ブラッドベリさんが5日、カリフォルニア州ロサンゼルスで死去した。 91歳だった。死因は明らかにされていない。 1920年イリノイ州生まれ。SF、怪奇、幻想小説など幅広い作…
初版は1989年。日本版は1990年。今から思い返すと「エイズ」の危険性、破滅性が最も喧伝されている時期であった。毎月、エイズ感染者・発症者の推移が発表され、他の国との比較がなされてきた。この本にはアメリカでのエイズによる差別例(退職強制とか配置…
著者は1933年生まれで、1970年代前半にがん治療を行った。その体験から書いたものがこの本。たぶん相当に急いで書かれたものであり、同じ思考の繰り返し、同じ引用の再掲などが頻出する。その意味では整理は不十分であり、とりとめのないものではあるが、こ…
初出は1972年だったと記憶する。それから35年の時をへて、医療制度の変更が行われたのちとなると、この告発の対象がだれになるのかわからなくなる。当時の疫学その他の研究水準などもあって、主張の裏付けの信ぴょう性にも疑問があり、今回は文章を飛ばしな…
各論文のキーになるセンテンスを集めた。必ずしも原文とおりではない。ほとんどの論文は1980年代後半に書かれた。 1.日本人と死 ・・・ 日本人は儀式を通じて死を考える。思想的、観念的に死を考えることは少ない。日本人は遺体にこだわるが、死を確認する…
「人の一生の折り目や自然とのかかわりの中で出会う種種の災厄に対応して、さまざまな神仏が生み出される。産神、山ノ神信仰、厄払いのお参り、さらには合格や商売繁盛の祈願、道祖神の祭り等等。日本人の日常生活の中で生きつづけてきた民俗信仰の多様な姿…
バブル経済の破綻によって、建築業界はダメージを受けたのか、現在ある家を作り直すリフォーム番組をたくさん作るようになった。たしかに一軒の家を作るよりは安上がりであり、最近の建築技法を駆使し、多くの建築家のデザインにより新築と見まがうばかりの…