西村京太郎
1965年の乱歩生受賞作。このとき作者西村京太郎は35歳。エンタメ作家としては遅いデビューだが、この15年後から屈指のベストセラー作家になって、毎年の高額納税者(文芸部門)で赤川次郎とトップを分け合っていた。すでに税務庁が発表しなくなったので…
西村京太郎デビュー直後の1966年に発表した長編。時代は1944年で、舞台はスイスの有名都市。日本人が主人公だが、ほとんどのキャラは現地及び周辺国の人たちだ。高度経済成長中、日本人が海外出張しているのと同期した小説として読んでみたい。 第二次大戦末…
この小説の来歴は少し変わっている。1967年に総務省が「二十一世紀の日本」をテーマにした懸賞小説を募集した。これに当時新進作家だった西村京太郎が応募して、賞金500万円を手に入れた。すでに乱歩賞も受賞していたが、ヒットに恵まれていたわけではない作…
冒頭で作者はこの推理小説は双生児トリックを使っていると明記している。奇術ではよくある趣向(入れ替わりや瞬間移動など)だが、ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則でも、双生児を登場してはならないという一項があった。19世紀末の短編探偵小説全盛…
1960-70年代のこの作家の仕事はとても力が入っている。ミステリや推理小説には入らない作品だし、サスペンスというにはいささか浮世離れした荒唐無稽さがあるのだが、それでもこの作品を書きたいという意欲がとても強く伝わってくる。 1977年、アマ無線のマ…
西村京太郎は「名探偵」シリーズをかいたように、ミステリマニアなのであって、1970年代の長編には「本格推理」を少しひねった趣向で書いたものがあるのだ。この「七人の証人」はノーマークだったが、カバー裏表紙のサマリーを見て読むことを決めた。 十津川…
1976年の初出の名探偵シリーズ第4作。 名探偵はいかに老後を過ごすべきかに悩む明智小五郎。小林少年も腹の出た中年になり、美泳子という20歳過ぎの娘がいるくらい。おりしもポアロ死去の報がとどき(「カーテン」1975年)、憂鬱は深まる。そこで、ポアロ招…
1973年初出の名探偵シリーズ第3作。 冒頭に名探偵待望論というのが書かれていて、実際に当時の探偵小説作家の間で論争があったのではなかったかな。都筑道夫のエッセイでその模様を書いていたのがあるが、どの本にあったのかもタイトルもわからない。まあ、…
明智小五郎が世界の名探偵(クイーン、ポアロ、メグレ夫妻)を別府温泉に招待した。神戸から別府に行く夜間フェリーに乗っていると、アルセーヌ・ルパンが乗船しているのがわかる。彼は世界の名探偵に挑戦するというのだ。運の悪いことに宝石商が時価一億円…
1971年初出の名探偵シリーズ第1作。 大富豪の佐藤大造氏が、世界の名探偵4名を自宅に招待した。アメリカのエラリー・クイーン、イギリスのエルキュール・ポアロ、フランスのメグレ警部、日本の明智小五郎(当時、江戸川乱歩以外は存命)。府中で起きた三億円…