odd_hatchの読書ノート

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ジョン・ディクスン・カー

ジョン・ディクスン・カー INDEX

2010/11/27 ジョン・ディクスン・カー「夜歩く」(ハヤカワ文庫) 1930 2010/11/26 ジョン・ディクスン・カー「髑髏城」(創元推理文庫) 1931 2010/11/30 ジョン・ディクスン・カー「絞首台の謎」(創元推理文庫) 1931 2010/11/14 ジョン・ディクスン・カ…

ジョン・ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」(ハヤカワポケットミステリ)-2

バンコランがレストランである男を監視している(1930年代にタキシードで、フロックコートで、金ぴかの杖だぜ)。そこにショーモン大尉がやってきて、フィアンセであるオデットが失踪してしまったと肩を落とした。聞くと、蝋人形館(マダム・タッソーのを思…

ジョン・ディクスン・カー「毒のたわむれ」(ハヤカワポケットミステリ)

「蝋人形館の殺人」のあと、ジェフ・マールは小説を書くために、バンコランと別れ、アメリカ、ペンシルバニア州の田舎町を訪れる。そこには開拓時代から続く名家があり、懇意にしていたのだ。その家はすでに築150年(1932年当時)を過ぎていて、古いイギリス…

カーター・ディクスン「プレーグコートの殺人」(ハヤカワ文庫)

1710年、ロンドンでペスト(黒死病、プレーグ)が蔓延していたころ、この邸の放埓な弟は平気で街中に出かけていた。特殊な魔術のおかげで病にかからないと信じていたのだ。しかし、願いはあえなく潰え、彼は病気の症状を呈して邸に駆けこんできた。厳格な兄…

カーター・ディクスン「白い僧院の殺人」(創元推理文庫)

<白い僧院>というが修道院のことではなく、ロンドンの郊外にある館の名前。そこの別館で事件が起きる。 発端は有名女優に毒入りチョコレートが送られたこと。それを食べた女優のエージェントが中毒になるが、一命を取り留める。それから1か月ほどして、彼…

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-2

ここでは密室講義についての感想。 「密室」の分類が困難なのは、最初には「密室」の定義があいまいなため。通常は、物理的に密閉された部屋の室内で被害者いて、犯人が消失。出入りは通常は不可能。あたりになり、まあ窓、ドア、天井、床などの部屋を構成す…

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-1

専門のわからないグリモー教授は無給で博物館などの仕事をしていて、とくに吸血鬼伝説に造詣が深い。愛好家の友人らを酒場でその話をしていると、ピエール・フレイなる奇術師がおかしな話で割り込む。それを聞くとグリモー教授は顔色を変え、そこにいた新聞…

ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」(創元推理文庫)

タイトルのアラビアン・ナイトはダブルミーニング。ひとつめは、アラビアの収蔵品を集めた博物館が舞台で、アラビア学者がいたり、アラビアの小物がでてきたりというところ。小物に付け髭のあごひげがあるが、これはアラビアの成人に必須。もうひとつは、同…

ジョン・ディクスン・カー「火刑法廷」(ハヤカワ文庫)

昔、ブランヴィリエ侯爵夫人という悪女がいて、周囲の人を毒殺してまわった。結局ばれて死刑。それが1676年。そののち、1861年にマリー・ドープリーという同じく悪女がヒ素で毒殺して、ギロチンにかけられている。その末裔はフランスをのがれ、アメリカ・ペ…

ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」(ハヤカワポケットミステリ)

ローザ・クロネックは高級娼婦(そういうのが珍しくない時代)。財閥、政府高官、外国の外交官などと短期間の同棲をしては縁を切り、金を稼いでいた。そろそろ年増に入るというとき、パリ在住のイギリス人金持ちラルフ・ダグラスと1年間過ごした。ラルフは別…

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」(創元推理文庫)

ロンドンから一時間ほどの田舎ノースフィルドにある由緒ある館。当主が飲んだくれのため逼迫し、売りに出した。買い取ったのは、政治家ゲイ卿。引退したので友人の若い政治家や実業家を呼んではたのしんでいる。ある夜、そういう連中が宿泊したさい、何者か…

カーター・ディクスン「ユダの窓」(ハヤカワポケットミステリ)

ユダの窓とは「監房の扉についておって、看守などが、中の囚人にさとられないようにのぞきこんだり調べたりするための、蓋のついた小さな四角いのぞき窓のこと」(P259)だそうだ。ポイントは、中の囚人にさとられないということ。ということは、看守(この小…

カーター・ディクスン「五つの箱の死」(ハヤカワポケットミステリ)

医学者のジョン・サンダースが深夜に帰宅しようとすると、若い美女に声をかけられる。父親の有名外科医がビルの一室にいるのだが、不安でならない。出かける前に遺書をしたためていったという。一人で行けないので、付き添ってほしいと。御年28歳で独身の博…

カーター・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」(ハヤカワポケットミステリ)

なんとも挑発的なタイトルの一冊。なぜか探偵小説マニアはこういう挑発に弱く、本を手に取るのである。しかも、主題がテレフォース(思念放射)による殺人という現代的なオカルトなのが、さらにそそらせる。 さて、女流作家マイナ・コンスタブル家には奇妙な…

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」(ハヤカワ文庫)

時は1945年。戦争の傷跡深く、交通インフラその他が復旧していないが、生きる意欲の高い時期。元歴史学者で傷病兵(薬害で長期間入院していた)のマイルズ・ハモンドは遺産を受け取り、古い屋敷の古文書を引き取る。司書を雇ったところ、絶世の、しかも薄幸…

カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」(ハヤカワ文庫)

青ひげ公は、中世の王様で何人も花嫁をもらってはその都度殺して城のさまざまなところに埋めて隠していたとの伝説上の人物。ジル・ド・レーがモデルになっているとか。ベラ・バラージュ脚本ベラ・バルトーク作曲で「青ひげ公の城」がある。 さて、イギリスの…

ジョン・ディクスン・カー「眠れるスフィンクス」(ハヤカワ文庫)

中年男性ドナルド・ホールデンは帰国したとき自分が死んだことになっているのを知った。MI5で諜報活動をすることになったので、戸籍から抹消されていたのだ。モーム/ヒッチコックの「アシェンデン(第3逃亡者)」だね。酸いも甘いも経験して、帰国したら、…

カーター・ディクスン「墓場貸します」(ハヤカワ文庫)

H・M卿アメリカに行く。ある実業家の招きでニューヨークについたその日、さっそく地下鉄(NYっ子はサブウェイで、H・Mはアンダーグラウンドで、まず言葉使いでいさかい)でやらかす。すなわち、切符なしで改札を通り抜けてみせ、その結果、見物人をパニック…

ジョン・ディクスン・カー「ニューゲイトの花嫁」(ハヤカワ文庫)

1815年のロンドン。ニューゲイトの監獄には、あるフェンシング教師が囚われ、今日にも死刑が執行されるはずであった。彼は数か月前の夜、なにものかに襲われ、貴族にして高利貸しが殺された現場に軟禁されていたのであった。あらゆる申し立ては平民の罪を軽…

ジョン・ディクスン・カー「九つの答」(ハヤカワポケットミステリ)

1952年。バトル・オブ・ブリテンに参加しBBCにコネのある青年(32歳だけど)のビル・ドーソンはアメリカで行き詰まっていた。フィアンセには振られ、勉学したものの職はなく、文無しだった。ある弁護士の呼び出しをうけると、前の客の話が聞こえる。なぜか、…

カーター・ディクスン「騎士の盃」(ハヤカワ文庫)

イングランドの近郊にあるデルフォード館。17世紀にさかのぼる古い貴族のもので、幸い戦禍にあわずに1953年の現在までよく保存されている。イギリスの貴族はこの種の建物を保存しなければならず、みかけほど資産をもっているわけではないそうな。現在はトム…

ジョン・ディクスン・カー「喉切り隊長」(ハヤカワポケットミステリ)

ときは1805年。フランスの皇帝になったナポレオン・ボナパルトは宿敵イギリスを征服するべく準備を開始していた。パリから馬車で二日かかるブーローニュに軍隊を集め、最新鋭兵器である軽気球100台の訓練にいそしんでいた。しかし、ナポレオンはイギリスとの…

ジョン・ディクスン・カー「火よ! 燃えろ」(ハヤカワ文庫)

1957年初出。その時代にタクシーに乗っていたロンドン警視庁の警視が物思いにふけっていたら、タクシーは馬車に、街灯はガス灯に、変化していた。なんと1829年にタイムスリップしていた(というハイカラなことばをカーは使っていないが)。この国に当てはめて…

ジョン・ディクスン・カー「ビロードの悪魔」(ハヤカワポケットミステリ)

1959年の歴史もの。カーの著作ではもっとも売れたという。なるほど、ベストセラーになる条件のひとつは分厚いことだが、それはまずクリア。ポケミス版で430ページ(厚さ2cm超え)。では、それ以外の条件はなんだろうという視点でまとめる。 ・1950年代の…

ジョン・ディクスン・カー「ハイチムニー荘の醜聞」(ハヤカワ文庫)

時代は1865年。ディケンズやコリンズの同時代。この国に住むものでは、この年代は明治維新のころなので、時代小説や捕り物帳を読むようなものだが、イギリスではちょっとふるい現代小説という趣かな。テクノロジーはもちろんないに等しいにしても、社会の構…

ジョン・ディクスン・カー「疑惑の影」(ハヤカワ文庫)

弁護士パトリック・バトラーはテイラー夫人殺害の容疑で捕われた娘ジョイスの弁護を引き受けた。夫人はジョイスと二人きりの邸内で毒殺されたのだ。絶対不利な状況にもかかわらず、バトラーは見事に無罪判決を勝ち取る。だがその直後、今度は夫人の甥が毒殺…

ジョン・ディクスン・カー「盲目の理髪師」(創元推理文庫)

大西洋をイギリスに向かう豪華客船クィーン・ヴィクトリア号で発生した、二つの盗難事件と殺人事件。すれ違いと酔っぱらいのどんちゃん騒ぎのうちに、消えたはずの宝石は現われ、死体は忽然と消え失せる。笑いとサスペンスが同居する怪事件の真相やいかに? …

カーター・ディクスン「爬虫類館の殺人」(創元推理文庫)

第二次大戦下のロンドン、熱帯産の爬虫類、大蛇、毒蛇、蜘蛛などを集めた爬虫類館に、不可思議な密室殺人が発生する。厚いゴム引きの紙で目張りした大部屋の中に死体があり、そのかたわらにはボルネオ産の大蛇が運命をともにしていた。そして殺人手段にはキ…

ジョン・ディクスン・カー「死時計」(創元推理文庫)

月光が大ロンドンの街を淡く照らしている。数百年の風雨に黒ずんだ赤煉瓦の時計師の家、その屋根の上にうごめく人影。天窓の下の部屋では、完全殺人の計画が無気味に進行している……。死体のそばに、ピストルを手にした男が立っていたが……。奇想天外の凶器! …

ジョン・ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」(創元推理文庫)

向かいの家で、婚約者の父親が殺されるのを寝室の窓から目撃した女性。だが、彼女の部屋には前夫が忍びこんでいたので、容疑者にされた彼女は身の証を立てることができなかった。物理的には完全な状況証拠がそろってしまっているのだ。「このトリックには、…