odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

KINDLEスクライブを使う(4)コレクションの使い方と端末からドキュメントファイルを削除する方法

KINDLEスクライブを使う(3)PDFやワードなどのドキュメントファイルを読む。の続き コレクションにタイトルを追加するときは、タイトルが表示されているコレクションで「±」ボタンをタップします。 この画面で、追加するタイトルにチェックをいれ、「保存…

KINDLEスクライブを使う(3)PDFやワードなどのドキュメントファイルを読む。

KINDLEスクライブを使う(2)KINDLEストアの購入本を読むの続き KINDLEスクライブで、PDFやワードなどのドキュメントファイルを読むことができます。自炊した大量のファイルはこのためにあるといって過言ではありません。 文字の小さな昔の文庫でも、10.2イ…

KINDLEスクライブを使う(2)KINDLEストアの購入本を読む

KINDLEスクライブを使う(1)初期設定とライブラリーの使い方の続き 購入本のサムネイルをタップすると、本が開きます。 タップする場所赤の四角枠をタップすると、次のページに進みます(前進)。赤の丸枠をタップすると、前のページに戻ります(後退)。…

KINDLEスクライブを使う(1)初期設定とライブラリー(およびコレクション)の使い方

来るべき老眼に備えてKINDLEスクライブ(10.2インチ)を購入した。梱包箱の状態。 開封します。本体左側(赤枠のあたり)のボタンを押して起動します。画面は設定済のスリープ画面。メッセージにこたえて初期設定を終えます。 ※ 設定の仕方はメールで教えら…

モーリス・ルブラン「ルパンの告白」(旺文社文庫) ルブランは、デュマ、ユゴー、ガボリオに続く新聞小説の大家

前回と版と訳を変えて再読。短編は1911年から1912年にかけて雑誌に発表された。前回の感想は下記。サマリーはリンクをみてください。 odd-hatch.hatenablog.jp 「太陽のたわむれ」 ・・・ ルパンと語り手が見たのは太陽光を鏡で反射させたあいず。逃げ出そう…

黒岩涙香「紳士のゆくえ」明治24年(別冊幻影城「黒岩涙香集」から全文採録)

紳士のゆくえ 黒岩涙香 一 不思議、不思議、煙の如く消え失せて更にゆくえの知れざる一紳士あり。 甲「何処へ行った」 乙「夫が分らぬから不思議じゃないか」 甲「何処で居なくなった」 乙「夫も分らぬ」 甲「ではまるで消えて仕舞った様な者だネ」 乙「爾々…

エミール・ガボリオ「バティニョールの爺さん」(KINDLE)牟野素人訳 発端-現場調査-関係者事情聴取-行き詰まり-再検討-新たな希望-真相という探偵小説のフォーマットに則った佳品

2012年ころから牟野素人さんがエミール・ガボリオの翻訳を進めていて、AmazonKindleで読むことができる。 wikiによると、エミール・ガボリオの長編のうちルコック探偵ものは次の6編。 1.ルルージュ事件 L'Affaire Lerouge(1866年):ボードレールが仏訳し…

エミール・ガボリオ「女毒殺者の情事」(KINDLE)牟野素人訳 1665年のバスティーユ監獄を舞台にした犯罪小説。19世紀の探偵小説は脱獄トリックに関心を持つ

原題「毒殺者の恋(バスティーユの悪魔) Les Amours d'une empoisonneuse(1863年)(牟野素人の翻訳タイトルは「女毒殺者の情事」)は、ルコック探偵ものを書く前に書かれた歴史小説。1665年11月15日という日付が書かれていて、ルイ14世の時代であることが…

エミール・ガボリオ「ファイルナンバー113:ルコック氏の恋」(KINDLE)牟野素人訳-1 要塞のような大金庫からの大金盗難事件

原題Le Dossier 113は1867年に出版された。本邦では明治23年に黒岩涙香翻案で『大盗賊』の題で出て、ほかに戦前に複数の翻訳があった。戦後の翻訳はこれだけ。 186*年2月28日火曜日(日付と曜日が合うのは1860年と1864年と1869年)、両替商フォヴァル氏は仰…

エミール・ガボリオ「ファイルナンバー113:ルコック氏の恋」(KINDLE)牟野素人訳-2 20年前の三角関係が今を苦しめる

2023/07/20 エミール・ガボリオ「ファイルナンバー113:ルコック氏の恋」(KINDLE)牟野素人訳-1 要塞のような大金庫からの大金盗難事件 1867年の続き 続いて事件の前日譚が始まる。ここで「第1部」とされるのは、2巻物の下巻だからであろう。 時は1841…

エミール・ガボリオ「オルシバルの殺人事件」(KINDLE)牟野素人訳 19世紀の新聞小説は犯罪トリックより人間関係が反転するのに興味を見出す

1867年にでたルコック探偵ものの第3長編。原題 Le Crime d'Orcivalからすると「オルシヴァルの犯罪」のほうがただしそうだが、ここでは別タイトルになっている。過去には明治22年・丸亭素人訳『大疑獄』、昭和4年・田中早苗訳『河畔の悲劇』がでて、おそらく…

エミール・ガボリオ「他人の金」(KINDLE)牟野素人訳 放蕩息子も極悪おやじの悪行を見れば改心するという教訓小説、かな。

「他人の金」とは、強欲のファヴォラルが信用詐欺で一攫千金を夢見たことのいいであるが、この小説のキャラはみな金に執着している。持っている者はより多く獲得しようとし、持っていないものはなんとかして獲得しようとする。資本主義の勃興期を終えたとな…

宮田登「冠婚葬祭」(岩波新書) 祭儀を通してみる日本人の祖霊感・霊魂感

日本人の生活といっても、土地ごとの差異は大きい(それこそ近世までは蝦夷、東国、西国、九州など複数の国が列島にはあったと考えるべき)。でも、ある共通する信仰、観念があるので、日本人の特質を抽出することができるだろう。そういう目論見はいろいろ…

斎藤美奈子「冠婚葬祭のひみつ」(岩波新書) 冠婚葬祭のやりかたは20世紀に3度大転換した

古今の冠婚葬祭マニュアルを集めて比較しているから、マニアかと思ったが、以前マニュアル作成の仕事をしていたとのこと。時代の変化だけでなく、業界の事情にも詳しいと思ったが、そういう理由でしたか。それでも多数の類似本を読みこんでいるので、知識の…

正保美和子「ラボ整理コミュニケーション術」(Booko出版) ボスの無関心・押し付けに愚痴を言うより、みんなで仕組みをつくっちゃいましょう。

学生時代の実験実習で、自分の手先があまりに不器用なことがわかった。まともに試薬を調整できず、実験装置を組み立てられず、試料をきちんと入れることができず、コンダミをおこしてばかりだったので、そうそうに学者になることはあきらめた。卒業研究もフ…

網野善彦「日本社会の歴史 上」(岩波新書) 教科書に出てくる時代区分や政権の名称を使わず、社会システムの変遷として日本の歴史を見る。列島に住む人たちの生活や暮らしは重層的で多様。

「日本」概念ができて共有されるようになったのは7世紀以降。それ以前は、「日本」「日本人」はいない。アジアとの関係、人間社会にフォーカスする。 第1章 原始の列島と人類社会 ・・・ 日本列島も氷期・間氷期で姿を変える。およそ8000年前に現在とほぼ同…

網野善彦「日本社会の歴史 中」(岩波新書) 中世の日本。西の大和朝廷は中国化・グローバル化を目指し、東の武士政権は江戸時代化・鎖国化を目指す。

2023/07/07 網野善彦「日本社会の歴史 上」(岩波新書) 教科書に出てくる時代区分や政権の名称を使わず、社会システムの変遷として日本の歴史を見る。列島に住む人たちの生活や暮らしは重層的で多様。 1997年の続き 中巻では10世紀から14世紀前半までを扱う…

網野善彦「日本社会の歴史 下」(岩波新書) 貨幣経済は米本位制の封建社会を窮迫させる。諸藩の改革は重商主義やグローバル化だったが、明治政府のネトウヨ政権はそれをつぶす

2023/07/06 網野善彦「日本社会の歴史 中」(岩波新書) 中世の日本。西の大和朝廷は中国化・グローバル化を目指し、東の武士政権は江戸時代化・鎖国化を目指す。 1997年の続き 日本は「一つの国家、一民族」というのは幻想であり、誤りであって、複数の王権…

井上光貞「日本の歴史01 神話から歴史へ」(中公文庫) 列島は人が住むようになってからずっとグローバルだった

さて日本の歴史を勉強しよう。テキストに選んだのは、中央公論社の「日本の歴史」シリーズ。1960年代に当時の碩学や若手を動員して作られた。歴史学は戦前に政府や国家などの介入を受けて、学問として展開できなかった。その壁が取り払われて、資料や事物に…