odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

アーサー・C・クラーク

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-4 「存在の大いなる連鎖」の文芸化と映像化で大ヒット。ディスカバリー号は〈狂った神〉が人間を襲う幽霊屋敷になった。

2023年5月20日放送の「クラシックの迷宮▽2023年リゲティの旅 ~リゲティ生誕100年~」(NHK-FM)を聴いたら、映画の「2001年宇宙の旅」が話題になっていたので再読した。 上記の番組でMCの片山杜秀さんがいうには、このストーリーは宇宙的には人類より先に高…

アーサー・クラーク「都市と星」(ハヤカワ文庫) アノマリーが世界の謎を簡単に解く物語は男の子の自尊心をくすぐるが、全体主義運動と女性軽視のイデオロギーに気づかないとダメ。

19歳でこれとコリン・ウィルソン「賢者の石」を立て続けに読んで、ひどく高揚した気分になったことを覚えている。「大人」が知らない世界の秘密をあばいてしまい、「俺」だけが世界変革の担い手であると思い込んでいる感じ。そう思えば、1950年代のSFには特…

アーサー・クラーク「幼年期の終わり」(ハヤカワ文庫) 西洋の形而上学と宗教の完全否定。ユートピアにいるかのような現在は最悪だし、人類に未来はない。心も凍る。

半世紀前から名が知られている傑作。語りたいことが多いので、ストーリーは出版社のものを引用。 異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があっ…

アーサー・C・クラーク「2061年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫) 2001年の旅で意気消沈した人類が50年後にはフロンティアに飛び出す。宇宙空間の事故はビジネススクールのケーススタディにふさわしい。

「2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-3 主体を拘束する共同体から離脱したHAL9000は殺人を許さない人の掟から自由になる。

笠井潔「オイディプス症候群」(光文社)を読んでいたら面白い議論があった。 「人が人を殺すことは許されるのか。この設問は、僕たちが生きている近代社会では契約に応じた者が他の契約者を殺すことは許されるか、という命題に変換される。むろん許されない…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-2 ディスコミュニケーションなディスカバリー号は心地よいおたくのユートピア。

もう何度も繰り返し見ているのだが、どうしてこの小説と映画はかくもわれわれを魅了するのだろうか。そんなことを考えていたら、繰り返し読む/見るとはいってもそれは物語やフィルムの最初から最後までをきっちりとスクロールするようなやり方ではないことに…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-1 宇宙的な視点にたつと人類の未来はペシミスティック。

自分が購入したのはあとがき(文庫旧版)にある1978年の映画再公開にあわせて出版されたとき。「スターウォーズ」にあわせてのリバイバルと思うが、この映画を見るために苦労したなあ。新宿の武蔵野館まででかけたが満員で入館できず、午後の模擬試験のために…

アーサー・クラーク「都市と星」(ハヤカワ文庫) 〈この私〉が永遠にあることの恐怖。意識を保ったまま熱的死を迎えることは幸せか。

19歳のときに読んだはずで、あまりに鮮烈な印象を残しているので、思わず取り上げた。 舞台は、未来の地球(?)。自然は荒廃し、人類はドーム型の都市を作ってこもっている。機械が人生のすべてを管理する世界。安定しているが停滞から退廃に向かおうとして…