odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

アーサー・C・クラーク

アーサー・C・クラーク「2061年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫) 2001年の旅で意気消沈した人類が50年後にはフロンティアに飛び出す。宇宙空間の事故はビジネススクールのケーススタディにふさわしい。

「2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-3 主体を拘束する共同体から離脱したHAL9000は殺人を許さない人の掟から自由になる。

笠井潔「オイディプス症候群」(光文社)を読んでいたら面白い議論があった。 「人が人を殺すことは許されるのか。この設問は、僕たちが生きている近代社会では契約に応じた者が他の契約者を殺すことは許されるか、という命題に変換される。むろん許されない…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-2 ディスコミュニケーションなディスカバリー号は心地よいおたくのユートピア。

もう何度も繰り返し見ているのだが、どうしてこの小説と映画はかくもわれわれを魅了するのだろうか。そんなことを考えていたら、繰り返し読む/見るとはいってもそれは物語やフィルムの最初から最後までをきっちりとスクロールするようなやり方ではないことに…

アーサー・クラーク「2001年宇宙の旅」(ハヤカワ文庫)-1 宇宙的な視点にたつと人類の未来はペシミスティック。

自分が購入したのはあとがき(文庫旧版)にある1978年の映画再公開にあわせて出版されたとき。「スターウォーズ」にあわせてのリバイバルと思うが、この映画を見るために苦労したなあ。新宿の武蔵野館まででかけたが満員で入館できず、午後の模擬試験のために…

アーサー・クラーク「都市と星」(ハヤカワ文庫) 〈この私〉が永遠にあることの恐怖。意識を保ったまま熱的死を迎えることは幸せか。

19歳のときに読んだはずで、あまりに鮮烈な印象を残しているので、思わず取り上げた。 舞台は、未来の地球(?)。自然は荒廃し、人類はドーム型の都市を作ってこもっている。機械が人生のすべてを管理する世界。安定しているが停滞から退廃に向かおうとして…