2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
2012/06/08 レイ・ブラッドベリ「たんぽぽのお酒」(晶文社) 2012/06/09 レイ・ブラッドベリ「ハロウィーンがやって来た」(晶文社) 2012/06/11 レイ・ブラッドベリ「火星の笛吹き」(徳間文庫) 2013/04/26 レイ・ブラッドベリ「何かが道をやってくる」(…
ホームズは事件の依頼人を一瞥しただけで、住んでいる土地から職業から秘密までを解き明かすのである。シュロックもその力を持っているのだが、常に間違ってしまう。依頼人もワトニイも(生)暖かくホームズの推理に感嘆するのであって、まことに優雅で美し…
名探偵シュロック・ホームズはベイグル街221B番地のアパートにワトニイ博士と同居している。今日も、依頼人の持ち込む事件を迷宮入りさせるのに余念がない。それでいて、底抜けの善人たちはシュロックの推理にやんやの喝さいを送る。 いわずとしれたホームズ…
続けて「歌おう、感電するほどの喜びを!」収録分から。 吾は歌う、この身の充電するまで! ・・・ 母を亡くしたあと、子供たちはある広告を見つける。「電子お祖母ちゃん」! 13歳のトムと11歳のティモシーはすぐにお祖母さんになつくが、末っ子のアガサはど…
原題は「I Sing The Body Electriv!」。初出は1980年代初め。サンリオ文庫は520ページもあるぶっとい文庫で、ハヤカワ文庫で再販されたときは「キリマンジャロ・マシーン」と「歌おう、感電するほどの喜びを!」の2冊に分けられた模様。ハヤカワ文庫版はもっ…
1984年出版の短編集。1920年生まれのブラッドベリ雌伏の時代で、片端から書き飛ばしたもの。ここでは犯罪、サスペンス、ホラー小説を収録。作者24-28歳の若書き。この時代、作家は年長の女性SF作家リー・ブラケットの指導を受けて、たくさんの短編をパルプ・…
サブタイトルが「いうことをきかせる原理・きく原理」となっていて、もしかしたらこちらのほうが主題をよくあらわしている。「権威と権力」というタイトルであっても、予想するような権威と権力の定義を明らかにすることはしていない。むしろ、われわれはい…
トマス・フラナガンはこの解説(1961年初出)によると、謎の作家。EQMMに短編をこれだけ発表しただけ(当時)。このあと1970年代から長編を書いて高評価を得たらしい。あいにく邦訳されていない。 さて、テナント少佐シリーズは舞台設定が尋常でない。地中海…
ロストロポーヴィチとヴィシネフスカヤの夫妻のインタビュー。はっきりかいていないが、1978-81年にかけて行われた複数のインタビュ―のまとめと思う。1983年初出で、翻訳は1987年。これらの年は重要なので、あとで振り返る。 ロストロポーヴィチは1927年アゼ…
2013/11/18 アレクサンドル・ソルジェニーツィン「ガン病棟 上」(新潮文庫) もうひとつの読み方は、スーザン・ソンタグ「隠喩としての病」(みすず書房)のサンプルとして読む方法。 作者の書き方は、20世紀の小説には珍しいポリフォニックなもの。気にな…
ソルジェニーツィンは1918年コーカサス地方の都市で生まれる。学生時代から短編を書いていたというが、1939年に召集され砲兵隊に入隊。以後、各地を転戦。1945年ベルリン侵攻中に、逮捕され、モスクワに戻される。以後8年間の収容所(ラーゲリ)生活を送る。…
シューホフはマローズ(厳寒)のなか、目を覚ます。考えているのはこのまま毛布に包まっていること、食料をたくさん手に入れること、昨日残したパンをいつ食べるかどうやって盗まれないようにするか、などなど。班長の起床の合図でバラックを抜け、朝の点呼(…
著者は「極光のかげに」の著者で、シベリア抑留体験をもっている。いくつかの記述は「極光のかげに」と重複。 たしかに、心理的な外傷をもっていて、それを心に秘めていることは苦しいことだ。我々だって、失恋・事故・親しいものの死などを経験したとき、し…
著者はドイツ政治思想史を専攻するが、一方でキリスト者としての活動も行っている。自分には岩波新書ででた「キリスト教と笑い」が、映画や翻訳のでたエーコ「薔薇の名前」の主題と共鳴していて楽しく(?)読んだ。福音書に書かれたイエスの言行から笑いを見…
この絶滅収容所の記録を前にすると、おののき、恐怖し、震撼し、その記述が際限なく続くことに絶句し、沈黙するしかないところにいってしまう。これほどの惨劇をよくも人間が・・・とか、これほどの虐待をよくも人間が・・・とか、これほどの勇気をよくも人…
ユリウス・フチーク「絞首台からのレポート」は出版にいたる状況が感動的だ。一九四〇年代、チェコスロヴァキア(当時)の文芸評論家にして共産党党員である著者は、ナチス政権支配下のチェコで逮捕される。拘禁された収容所(拘置所かは不明)で、彼の状況…
1932年初出のディストピア小説。ディストピアであると思えるのは読者だけであって、登場人物たちは幸福そうに見える。失業がなく、娯楽が十分に提供されている世界では生活も精神も自足するようだからね。 冒頭で、人間が人工授精されて容器で発育するという…
1890年から1920年までのドイツの学生はどのような生活をしていたのかを俯瞰する資料。内容に触れる前に前史を確認しておかないといけない。もともと「ドイツ」には放浪学生の習慣があった。ようするによい教師を求めて、自由に大学を移動する権利をもってい…
神々は何に乾いているのか。人間の血、とりわけ「革命」に関与した人たち(賛成、反対、協賛、拒否いずれにかかわらず)のそれ。「革命」の熱狂はすさまじいのであるが、そのあとに興奮を冷ますための人身御供を要求するのであって、フランスで起きたものに限…
「カラマーゾフの兄弟」は米川正夫訳のを、古い河出書房版全集で、たしか5日間で読んだのではなかったかな。療養中だったもので、それこそ一日に10時間くらい読んでいたのだ。こういう読書だと飽きてくる(小説の内容にも読書という行為にも)のだが、そこは…
「罪と罰」を読んだのは中学3年生の2月。高校受験の直前。もちろんミステリないしサスペンスとしてしか読んでいない。その主題の豊富さや深さなど気づいているはずもない。そろそろ再読しようと考えているので、解説書を読む。 1.精巧なからくり装置 ・・・…
2012/11/28 みすず編集部「逆説としての現代」(みすず書房) 2012/11/29 諸井三郎「ベートーベン」(新潮文庫) 2012/11/26 エリーザベト・フルトヴェングラー「回想のフルトヴェングラー」(白水社) 2012/11/24 志鳥栄三郎「人間フルトヴェングラー」(音…
タイトルの「ストーカー」はここでは密猟者の意。原題は「路傍のピクニック」らしいが、タルコフスキーの映画に合わせてタイトルを変えた。映画は見たような、見たことがないようなあいまいな記憶。なので、このストーリーは初めて出会うようなものだった。 …