odd_hatchの読書ノート

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堀田善衛

堀田善衛 INDEX

2016/04/23 堀田善衛「インドで考えたこと」(岩波新書) 1957年 2016/04/22 堀田善衛「上海にて」(筑摩書房) 1959年 2016/04/21 堀田善衛「キューバ紀行」(集英社文庫) 1966年 2016/04/20 堀田善衛「美しきもの見し人は」(新潮文庫)-1 1969年 2016/04…

堀田善衛「インドで考えたこと」(岩波新書)

1957年9月の第1回アジア作家会議が開かれることになり、作家が事務局員として選ばれた。渡航費は自腹であり、いくつかの団体の支援をえてようやく出国することができた。開催地はインド。ここにエジプトから北朝鮮、日本までの40国近い作家が集まる。背景に…

堀田善衛「上海にて」(筑摩書房)

作家は1945年3月の東京大空襲(と直後の天皇行幸)のあと(ここは「方丈記私記」に詳しい)、上海に移動する。あわよくば欧州に行ければという無謀な妄想を持って。現地の文化協会だかの嘱託みたいなことをして、武田泰淳らと上海を歩き回る。8月10日、上海…

堀田善衛「キューバ紀行」(集英社文庫)

キューバ(地元の人はクーバと呼ぶらしい)は突然視界に入ってきた。1959年カストロがバチスタ軍事政権をおいだし(このときには共産主義革命とはいっていない)、1962年に米ソの間に「キューバ危機」が生じる。そして、1965年、作家はキューバに招かれる。そ…

堀田善衛「美しきもの見し人は」(新潮文庫)-1

ヨーロッパの美に近づこうとするには、「ギリシャ・キリスト教・科学精神」を我々のものにしないといけないが、自然に入ってきてくれるものではない。なので無理と努力がいることになるが、それが精神のどの部分かをねじまげることになる。でもここではなる…

堀田善衛「美しきもの見し人は」(新潮文庫)-2

2016/04/20 堀田善衛「美しきもの見し人は」(新潮文庫)-1 の続き。 「愛するものについて語り出せば、やはり尽きせぬ思いがある(P224)」という作家が古今東西の芸術作品を眺め歩き、語る随筆。その後半。 海老原喜之助の作品を見て、「手応えのある人生を…

堀田善衛「方丈記私記」(新潮文庫、ちくま文庫)

作家が学生時代(戦時中)から読み続けてきた「方丈記」。戦後25年目に、中世の勉強の成果を含めて読み直す。長明の時代は平安末期から鎌倉幕府成立ごろで、住んでいた京都は荒れに荒れていた。政治と経済がだめになって末世を肌で感じている。戦争末期も同…

堀田善衛「定家明月記私抄」(ちくま学芸文庫)

藤原定家が19歳から晩年まで書いた日記「明月記」。漢文で書かれた日記を研究書や注釈書を頼りに読み進める。宮廷貴族であり歌人であることから、日記のほとんどは宮廷のできごと、儀式の備忘録。そこから荘園制から地頭制に移る権力の動きやほぼ400年続いた…

堀田善衛「定家明月記私抄 続編」(ちくま学芸文庫)

続編再開。中断の間は、「路上の人」を書いていたとの由。13世紀初頭の西洋と日本の中世におおよそのところで相似、共通性を感じる。宗教、政治、文芸など。 さて、定家の時代には、平家滅亡、鎌倉幕府成立、承久の乱が立て続けに起きた。そのうえ飢饉、自然…

堀田善衛「スペインの沈黙」(ちくま文庫)

あの長大な「ゴヤ」を書き終えて(朝日ジャーナルに長期連載)、スペインに移住することにした1977年から79年にかけてのエッセイ、インタビューなど。ちょうどスペインのフランコ総統が死去したときに現地にいたので、そこでのてんやわんやが面白かった。と…

堀田善衛「スペイン断章〈上〉歴史の感興 」(岩波新書)

18世紀から19世紀の画家ゴヤの評伝を書くという途方もない計画に取り掛かり、めったに公開されない自筆画を見ることを目的のひとつにスペインに移住する。そして奥さんの運転する自動車に乗って、スペイン各地を移動し、見物し、本を読み、歴史をひもとく。…

堀田善衛「スペイン断章〈下〉情熱の行方」(岩波新書)

「スペイン断章〈上〉歴史の感興 」(岩波新書)では主題は「歴史」であって、どこにいっても歴史がものとしてあらわれ、そこに茫然自失する。それから5年たった1982年に出たこちらの本では、前著に書かなかったところを書く。すなわち、スペイン市民戦争と…

堀田善衛「歴史の長い影」(ちくま文庫)

1980年代頭に書かれたエッセーや往復書簡などを収録して、1986年に出版。 まず注目は、「歴史・宗教・国家」という長いエッセイ。書き方を見ると、講演の書き起こし。ここには、ヨーロッパ中世を研究して見出したことを網羅的に語っている。内容は、「ヨーロ…

堀田善衛/加藤周一「ヨーロッパ二つの窓」(朝日文庫)

堀田善衛は1918年、加藤周一は1919年生まれで同世代。共通するのは、戦後いち早く外国を周遊し、あるいは生活拠点にしてきたこと。そのうえ、勉強家で博識。彼らが1986年にヨーロッパについて語り合う。当時は、ソ連ほかの社会主義国があって渡航制限があっ…

堀田善衛「誰も不思議に思わない」(ちくま文庫)

自分らが住んでいる場所で、日常を見ているとどれもありふれていて、おかしなことや奇妙なこととは思わない。誰かに指摘されたり、よその土地にいって振り返ったりするときに、おかしなことや奇妙なことだと気付くことがある、たとえば恵方巻という食べ物を…

堀田善衛「バルセローナにて」(集英社文庫)

「狂女王フアナの境涯に思いを寄せ、いまも残るスペイン内戦の残酷な傷痕を目の当たりにする。スペインに移り住んで10年、人間の尊厳と狂気、歴史の愚行を見据えつづけた著者の魂の遍歴の書。」 「アンドリン村にて」 ・・・ 小さな村の生活風景。ここに住む…

堀田善衛/司馬遼太郎/宮崎駿「時代の風音」(朝日文庫)

宮崎駿が敬愛する作家の堀田善衛と司馬遼太郎を招いて、鼎談を行った。その記録。1992年夏ごろの座談かな。半分くらいは司馬遼太郎がしゃべっていて、その博学なことに驚く。ここでは、自分の趣味にあわせて、堀田善衛の発言にフォーカスを当ててまとめてみ…

堀田善衛「めぐりあいし人びと」(集英社文庫)

1918年生まれの著者が出版社の編集者たちを集めた座談会で、1991-92年にかけて語ったことのまとめ。タイトルからすると交遊録のようであるが、実際は彼の生涯の振り返りと世界各地の知人友人たちと会ったことの挿話と世界の歴史。話題は、それこそ千変万化、…