2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
世界文学史年表にのっていたミラーの「北回帰線」を読んだのは高校2年のときだったが、何を読み取ったのだろうか。今回同様に最初のページから最後のページまで活字をトレースしていったことに過ぎなかったのだろう。 (脱線するが、文学に興味をもったとき、…
ヘミングウェイは最晩年に、雑誌ライフの後援を得て(かどうかはわからないが)、スペインを訪れることになった。作者は市民戦争時代の元義勇兵であるものの、その数年前にノーベル文学賞を受賞したというのであれば、軍事政権も門戸を開かぬわけにもいくま…
「「パリは移動祝祭日だ」という言葉で始まる本書を1960年に完成し,ヘミングウェイは逝った.「20年代のパリ」を背景に,スタイン,フィッツジェラルド,パウンド,ジョイスら「失われた世代」の青春を回想した不朽の名作.」 1961年に自殺した後に発表され…
「第一次世界大戦に席捲され、暴力と死の翳におおわれた「われらの時代」の行き場のない不安と焦躁、そこからの脱出の苦闘を、日常生活の断片のスケッチによって描き上げた初期傑作短篇集。ドス・パソス、F.S.フィッツジェラルド、フォークナーら「失われた…
以前読んだとき(講談社文庫)は、なんだマルクス経済学の評価が低いじゃないか、世界の不確実性とその克服のことを書いていないじゃないか、と厨房丸出しの感想だった。まだ、1989年を迎えていないし、たとえばポーランドの連帯活動や西側世界の反核運動に…
1989年の東欧革命で自由主義国家と社会主義国家の対立がなくなった。一時期は国際連合のような国家間の利害調整機能が働くかに思えたが、2001年9月11日のテロののち、アメリカが独断的に国際政治に介入し、世界を指導するという図式に変わった。このようなア…
1950年前後の占領統治下にあった日本の奇怪な事件をレポートした著作。下山事件、帝銀事件、伊藤律の除名、松山事件、朝鮮戦争の勃発など。多くの場合、GHQの陰謀があるのではないか、GHQ内のG2(参謀部)とGC(民政局)の確執に原因があるのではないか、と…
「志賀島の「漢委奴国王」の金印。福岡藩の学者亀井南冥は、明らかに異例な第二の藩校を金印発見と同じ月に開校する。発見に関わった人達が全て南冥と繋がりのある不思議。発見日の記載がない鑑定書。国宝金印は本物なのか?歴史をつくり出す者、謎を解き明か…
われわれの世界認識の方法はたいてい文書や文字によって作られて(なにしろ子供のころの体験だけでは世界の全体を把握することができず、そのような見取り図が簡単に手に入るのは書物なのだから)、たいてい理想主義的なエートスがあり、現実との葛藤におい…
「教師を辞め東京に戻って三年、街鉄の技手になっていたおれのところに山嵐が訪ねてきた。赤シャツが首をくくったという。四国の中学で赤シャツは教頭、山嵐はいかつい数学の教師の同僚だった。「あいつは本当に自殺したのか」を山嵐は殺人事件をほのめかす…
ボランティアの手によって、著作権の切れた小説をネットで読むことができる。それを携帯電話で読むことができるのだから、世の中の進化はたいしたもの。いずれ書籍という形式はなくなり、デジタルディバイスに変わるのだろう。フェティシズムからすると残念…
「若葉萌す春、緑なす夏、紅葉の秋、枯槁の冬……そして新生の春。植物学者は四時とりどりに忙しい。その生活に重ね合わせて、あるいは花占いの果てとも見える場景に犯罪を匂わせ、あるいは自殺志願者が遺体発見を遅らせたがった理由に植物学的考察を試みる。…
「雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本…
「同僚の喜多助教授の誘いで、N大学工学部の低温度実験室を尋ねた犀川助教授と、西之園萌絵の師弟の前でまたも、不可思議な殺人事件が起こった。衆人環視の実験室の中で、男女2名の院生が死体となって発見されたのだ。完全密室のなかに、殺人者はどうやって…
「和戸君一家に降って湧いた騒動を見事収拾、保住君の新学期は好調な滑り出し。歌って踊れる名探偵とばかりギター片手に謎を解き、夏休みは珊瑚礁で魚と戯れ、また上高地の涼風に吹かれつつ事件の真相を看破する。馴染みの床屋や大学祭の模擬店で推理を聞か…
飲み屋にかよう中年(厄年トリオと呼んでいる)。その中に現職の刑事がいて、行き詰った事件の愚痴をこぼす。そこには、メルフェンとたぶん精神分析を学ぶ女子大生がいて(彼女の描き方は中年男の欲望のままだ、美貌の持ち主で、聡明で、感じのよい、人づき…
物語は真珠湾攻撃準備で太平洋を渡航中の空母から始まる。第1次攻撃に向かった艦爆機が帰還すると操縦手が服毒死している。その直前には機体整備の兵士が理由なく失踪している。また潜水艦では決死の小型潜水艦による真珠湾攻撃準備中、潜水中の艦内で重要書…
「田舎町の旧家・天知家で遺言が公開された夜、事件は起こった!一人、また一人と凶行に倒れる相続人たち―。遺言の内容は決して殺人を引き起こすようなものとは思えなかったのだが…。弁護士・森江春策が、連続殺人事件の深層に切り込んでゆく!屋敷を埋め尽く…
「美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その名探偵だ。優れた人間観察から生まれる名推理、それに勝るとも劣らない、美味しそうな手料理の数数。随…
「1781年、ウィーンで作曲家モーツァルトが死ぬ。1809年6月、作曲家ベートーヴェンは訪れた楽譜屋で、モーツァルトの娘と噂されるシレーネと出会う。彼女は、自分の父が作曲した子守唄を、モーツァルトの作品として出版した楽譜屋に、抗議しに来ていた。とこ…
収録されているのは4編。 1.ピアニストを台所へ入れるな・・・ベートーヴェンの部屋でピアニストが死んだ。彼の断末魔の叫びはアパート中に響き渡った。「よくもやったな!ベートーヴェン!」。状況証拠から冤罪を被るベートーヴェン。そこへ死んだピアニ…
「警視庁捜査一課の烏丸ひろみに届いた招待状。差出人は《トリック卿》。招かれたのはひろみを除いて、すべて大ウソつきの男と女。場所は雪深い山奥の《うそつき荘》。そこで出されるクイズをすべて解くと賞金はなんと6億円。しかし、ゲームに参加した7人…
「栗谷村の村おこしマラソン大会の最中、忽然とランナー十三人が消えた!戦国時代の山城・十三曲坂を使った十キロのコースは、途中で抜け出ることのできない、いわば大密室…。後日、消えたランナーの一人が、木に突き刺さった無惨な姿で発見された。奇妙なこ…
これで3度目か4度目かの再読。 この迷宮めいた小説を少し変わった観点からサマリーをかいてみよう。すなわち、序章はたぶん一般的な小説であるとして、ミステリー愛好家の大学生とその周辺の仲間(計12人)のひとりが7月14日の盛夏に密室で刺殺された、とい…
季節の変わり目のせいか体調不良で集中力が切れていて、読書が進まない。気軽に読めると思って購入。 「会津地方一の名家・四条家で惨劇が起きた。―17歳で史上最年少の囲碁・本因坊となった牧場智久たちが、四条家に招かれた翌朝だった。蔵の白壁に首なしの…
「とある温泉町で列車に乗った7人が忽然と姿を消すと言う事件が起きた。宇野警部は休暇も兼ねて捜査に赴いた温泉で、女子大生の夕子に出会う。事件に興味を持った夕子は、宇野の姪と言う事で一緒に捜査に乗り出す。非協力的な村人達の中で、唯一協力的な健吉…
「1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。五人の娼婦たちは頸動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、百年後のベルリンに甦ったのか?世界犯罪史上最大の謎「…
「米国ボルティモア市郊外で日系人兄妹の住むアシヤ屋敷が爆破された。直前にかかった予告電話どおり、『アッシャー家の崩壊』そのままに幕を開けた事件は、つづく『ベレニス』『黒猫』に見立てた死体の発見を受けていよいよ混沌とするが……。デュパンの直系…