odd_hatchの読書ノート

エントリーは2800を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2022/10/06

ハードボイルド

ジェイムズ・ケイン「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(ハヤカワ文庫)

24歳の若者フランクは、各地を渡り歩き、小銭を稼いだり、警察や土地の者に追い出されたりしながら暮らしていた(こういうのをホーボーというのだっけ。かつては1960年代のヒッピーと比較された)。ふらっと立ち寄った安レストランで亭主に声をかけられ、住…

ハドリー・チェイス「ある晴れた朝突然に」(創元推理文庫)

ジャン・ポール・ベルモンド主演の映画も作られているのだね。本書は現在(2008/06/30)、絶賛絶版中。まあ、仕方がない。簡単に梗概を書くことにしよう。 引退した元ギャングのもとに、弁護士の自殺の連絡が入る。弁護士は元ギャングの資産管理をしていたが…

ジョナサン・ラティマー「処刑六日前」(創元推理文庫)

ラティ―マーの長編第1作。冬のシカゴを探偵たちが歩き回り、ジン、マティーニ、バーボンを飲みまくる。一度は飲みすぎで倒れているというのに、まったくタフな連中だ。 株式仲買人が死刑執行を待っている。別居して離婚する予定だった妻が、半年前のある深夜…

ジョナサン・ラティマー「モルグの女」(ハヤカワポケットミステリ)

「夜中の死体置場。卓上の寒暖計は既に91度に達している……。気狂いじみた暑さと死体の異臭に満ちたシカゴの死体置場には、安ホテルで自殺した若い女の死体が収容されていた。そして、この女の身許を確かめようと三人の男が押しかけていた。二人の新聞記者と…

ウィリアム・マッギヴァーン「ビッグ・ヒート」(創元推理文庫)

原題を日本語訳すると「大いなる怒り」になる。1953年刊になる前にチャンドラーが「大いなる眠り」を出しているので、混同を避けたのだろう。1940−50年代は「big」が最大級の強調語だったのだ(のちには「great」「dynamites」などに変わる)。 警官を主…

ウィリアム・マッギヴァーン「悪徳警官」(創元推理文庫)

主人公は警官。長年、市を牛耳るギャングと関係を持ち、彼らから利権を得ていた。しかし、彼の弟がギャングの犯罪の現場に居合わせ、告発する。ギャングは主人公を通じて、弟を工作しようとするが、正義漢である弟は撤回しない。そのため弟は殺される。怒り…

ウィリアム・マッギヴァーン「緊急深夜版」(ハヤカワポケットミステリ)

「緊急深夜版(Night Extra)」はたぶん朝刊の号外みたいなこと。朝刊の一面を作り終えたころに、事件が入ってくると至急作り返さないといけなくなって、新聞社の全員(記者から写真の現像担当から活字ひろいまで)を緊急招集してことに当たらないといけない…