2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧
著者は新日本プロレスの元レフェリー。退職後に、「プロレス、至近距離の真実」1998年、本書2001年、「マッチメーカー」2002年を出版した。他にも著書は多数あるが、プロレスの内幕を書いたということでは、この3冊が重要。 中身を見る前に、背景を確認して…
林達夫の本は「歴史の暮方」(中央文庫) と「共産主義的人間」(中央文庫)しか読んでいない。なるほど、書かれた時代のわりにとても先鋭なこと(しかし20世紀後半以降になると陳腐)をいっていた。一方で、この国の哲学者や思想家は林達夫をえらい、すごい…
小説には、珍しい職業をテーマにしたものがあって、例えば最近作(でもないか)では有川浩「空飛ぶ広報室」(幻冬舎文庫) あたり。この中編もそのひとつ。ここでは漫才師の世界。読者は成果をテレビなどで見ることはあるが、その裏側でやっていることは知ら…
10代後半から20代前半の作曲となると、モーツァルトはもとより、ロッシーニ、シューベルト、ショパン、メンデルスゾーン、ビゼー、ブラームス、グリーグ、カリンニコフ、プロコフィエフ、ショスタコービッチなどそうそうたる名前と作品がすぐに浮かぶ。…
1949-52年にかけて連載されて1952年に単行本にまとめられた著者の60代半ばの長編。個人的な体験を思い出すと、中学一年生の時に旺文社文庫版を購入して読んだ。11歳の早熟な生徒が背伸びして(あるいは早期に厨二病に罹患して)、「真理」の探究を目指したの…
イソップ、ギリシャ名アイソポスは紀元前6世紀ころに実在した人物らしい。奴隷で、しかし機知に富み話術に巧み。理由不明であるがデルポイ(という都市)で殺害されたという。醜男でがに股で太鼓腹で…というのは後世のつくり話らしい。そのアイソポスが語っ…
1859年5月にペテルブルグの大学に通う学生が夏休み(?)で実家に帰ってきた。都会の雰囲気をぷんぷんと匂わせる医学生の友人といっしょ。やることがないし、とくに気を引くことがないので、学生二人はぶらぶらすごす。その田舎には貴族の未亡人がいて話をし…
工場所有者のグルムバッハ氏とその妻ヴィオレット(元女優)の家に招待されるのは、ダゴベルト氏。ソクラテスに似た風貌で、音楽と犯罪捜査の道楽者。ヴィオレットの誘いに乗って、晩餐のあとに犯罪捜査を物語る。時代は19世紀末ウィーン。マーラーとリヒャ…
説明にドイツ・ミステリーとあったので、即座に購入。自分が読んできたドイツ文学は1945年までだった(エンデの童話を除く)。19世紀ドイツのことは多少は知っているのに、現代ドイツをほとんど知らない。そこにフォーカスした読書になった。 笠井潔の矢吹駆…
2017/12/12 アンネ・シャプレ「カルーソーという悲劇」(創元推理文庫)-1 1998年 フランクフルトに自動車で一時間先にある田舎町。広告代理店に勤めていた男パウル・ブルーマーが妻と離婚し、田舎暮らしを始めた。業界暴露本を準備しているが、昼間は自転車…
2017/12/08 筒井康隆「全集1」(新潮社)-1960年代前半の短編「お助け」「やぶれかぶれのオロ氏」 1960年 2017/12/07 筒井康隆「幻想の未来」((角川文庫)-1960年代の短編2「トーチカ」「しゃっくり」「東海道戦争」 1964年 2017/12/06 筒井康隆「全集4…
作家は若いころのことをあまり書いていない。全集の月報には評論家による評伝が載っているが読んでいない。子供向け小説や漫画に熱中→映画に熱中→演劇に熱中→SFに開眼→兄弟で同人誌を発行。その同人誌が江戸川乱歩の目に留まり、商業誌に転載された。それか…
続いて1960年代前半の中短編。模索の時代。下の世界 1963.05 ・・・ 肉体階級と精神階級に分離した社会。肉体階級から「上」に上がるためにトレーニングに励むトオル。いま-ここから脱出したい人の物語(「脱走と追跡のサンバ」「虚人たち」)ブルドッグ 196…
戦後から昭和が終わるころまで、旺文社の「中一時代」、学研の「中一コース」などティーン向けの学習雑誌があった。1960年代のマンガ雑誌には小説の欄もあった。そのような雑誌に掲載・連載したものを集めた。ほかに小学生低学年向けに書いたものも収録。こ…
書かれた時代の日本によく似ているが、ひどく違った世界。大きくは、国民の住居そのたにカメラ・アイがあまた設置されていて、24時間撮影されている。統括するのは民間の「カメラ・アイ・センター」。そこにはテレビ局員が常駐し、面白い映像があれば瞬時に…
1965年と1966年の短編。堕地獄仏法 1965.08 ・・・ 戦後の好景気を背景に総花学会と恍瞑党が躍進。天皇も法華経に帰依して、伊勢神宮他各地の神社が破壊。独裁体制に移行したが、衣食が足りているので国民は満足。「政治的な価値基準が宗教の聖邪基準とごっ…
1967年と1968年前半の短編。中間雑誌やティーン向け学習雑誌などに発表した短編を収録。産気 1966.07 ・・・ 男性課長の正田が妊娠した。会社勤務中に産気ついて。ここで終わらずさらに続ければ傑作。昭和40年代だと書けるのはここまでか。サチコちゃん/ユリ…