odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

山口昌男

山口昌男「道化の宇宙」(講談社文庫) 秩序と安定に逆らい挑発する道化・放浪者・亡命者・マイノリティ。

山口昌男の文章を読むと、元気が湧いてくる。大量の引用、大量の書肆、たくさんの人名、たくさんの作品、幾多の地名。自分の知らないことはたくさんある、それを知ることは楽しい、それがつながることは楽しい。こんな気分になって、知的エネルギーがわいて…

山口昌男「歴史・祝祭・神話」(中公文庫) 「中心と周縁」理論の説明と実例。「トロツキー」が罵倒語だった時代に民族学・神話学の用語でトロツキーを描く戦略的な論文。

1973年初出で、雑誌「歴史」に一挙掲載されたとか。たぶん著者の基本的な考えがまとめられている。「中心と周縁」理論は以下の引用で概要を理解できるので、とても長くなるが引用しておく。自分の備忘をかねて。 「政治権力の究極的なよりどころは生賛を神に…

山口昌男「本の神話学」(中公文庫) 知を狭い領域の閉鎖された学問の中で捉えるのではなく、他の学問分野とかある観念でもって集結すると、新しいことが見えてくるんじゃね。

1970年代前半の論文が収録。哲学・思想系の「オカタイ」雑誌に掲載されたものだと思うけど、高校の世界史と倫理社会(今はなんて学科名だい?)の知識を持っていればだいたい理解できる。面白いのは、いくつかのキーワードを元にそこにリンクするほかの本・著…

山口昌男「流行論」(朝日出版社) 共同体は変化がないと停滞するから王(アイドル)と祭が必要。

週刊本の第1冊。ここから始まったが1年もたたずに終えた。この本では最初の章が語りおろしで、残りは雑誌に掲載された論文なのだろう。論文のテーマが雑獏なので、最初の語りでまとめを付け加えたといえる。 流行論 ・・・ 共同体に流行が生まれるのは、差…