2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧
カドモスはギリシャ神話にでてくる英雄で、エラリーによると、シドンの国王で、テーベの都の創設者でギリシャに16文字のアルファベットを取り入れた人物で、探検にでかけてさまざまな困難や危険な目にあったが、そのばかげたことのひとつにドラゴンの歯を蒔…
クイーンの執筆方法は長らく謎(自分の知識は1975年くらいで止まっている)だったが、次第に資料が出てきて、わかるようになってきた。簡単にまとめると、 1.オリジナルの「エラリー・クイーン」は、フレデリック・ダネイ(Frederic Dannay、1905年10月20…
エラリーはニューヨークの喧騒をさけて(戦争がはじまったので)、列車で2時間くらいのところにある田舎町ライツヴィルに向かう。そこで小説を書くつもりで、町の創設者ライト家の「災厄の家」に下宿することにする。ホテルやアパートが満杯になっていたため…
ニューヨークのまんなかに奇妙な館と一家がいる。女主人は一代で靴の大企業を作ったやり手。心臓をわずらってそろそろ跡継ぎを考える時期にきていた。さて、この女主人コーネリアはとてもユニークで二人の気弱な男を夫にして、6人の子供をもうけた。前夫の…
ニューヨークでエラリーは戦前のパリで出会った彫刻家志望の青年ハワードと再会する。彼は記憶喪失になったので、その間に犯罪を犯してたのではないかと恐れている。エラリーの執筆がはかどらないことをきいて、仕事がてら自分を監視するように頼む。行き先…
ニューヨークで連続殺人が起こる。深夜、人が寝静まった夜に事件が起こる。被害者は決まって絹紐で絞殺されている。犯人の遺留品や手掛かりはない。初夏に始まった事件で、盛夏までにすでに5人もの被害者がでていた。被害者を結びつける関連性は見当たらない…
初出は1952年。もとはラジオドラマのシナリオで、のちに小説に改作されてEQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジンの略)に連載された。カレンダーとあるのは、アメリカの毎月のできごとを舞台にしているから。 1 双面神クラブの秘密 (The Inner C…
続いて下半期。こういう小説の面白いのは作者の無意識に書いた世相。これを読むと、1952年にはグリニッジヴィレッジはすでに芸術家のたむろする一画で、プロレスのTV中継が評判になっていた(ニューヨークだとゴージャス・ジョージとアントニオ・ロッカが人…
エラリー・クイーンは作家のほかに2つの顔をもっている。ひとつは探偵小説の書籍収集狂(この本の中で狂気の程度でいくつかに分類)、もうひとつは編集者。後者の顔の結果、おおくの短編集が編まれていて(いくつか創元推理文庫などで出版)、EQMMという雑誌…
作者はジャーナリスト、ニュースキャスターで、1960年代に「天声人語」を書いていたこともある(へえ)。文庫にまとめられたのは1961年だが、1952年から断続的に描かれていたみたい。なるほど、明神礁がでてきたり(1952年のできごと)、戦争孤児の行く末が書…
表紙は左から吉田茂、美空ひばり、マッカーサー元帥、マリリン・モンロー、力道山。この時代を象徴する人物としては欠かせない人たちですな。漏れているのは・・・思いつかない。 1985年にシリーズ3部作がほぼ一気に発売。戦後40年ということで、昭和をふり…
下巻は昭和23年から24年にかけて。このころから占領政策が変わってくる。民政局とGIIの確執が起こるとか、民政局の大立者が辞任してその力を失うとか、もともと仲のよいわけではないトルーマン大統領がマッカーサーを解任したがったとか、アメリカ本国の外交…
1945年から1952年までこの国はアメリカに占領されていた。外国の軍隊が駐留し、軍票が通貨として使えるところがあった(ドルの持ち込み制限があり、兵士は買い物にドルを使うことが難しかった)。この国の人々の活動が制限されることがあり、公職から追放さ…
初出は1992年。2002年に改訂。1945-1952年の占領時代をまとめる記述。ここでは占領統治を担ったGHQは主題から外れている。なので、民生局と参謀部の確執とか、マッカーサーのパーソナリティとか、経済政策など興味あることがたくさんあるが、一切割愛。それ…
2015/04/07 大岡昇平「俘虜記」(新潮文庫)-1 2015/04/08 大岡昇平「俘虜記」(新潮文庫)-2 敗戦が決まり、山中などに潜伏していた日本軍兵士が俘虜になる。新旧の俘虜は微妙な違いを見せ、反目する。米軍は豊富な物資と給与を俘虜に与え、衣食住が提供さ…
2015/04/07 大岡昇平「俘虜記」(新潮文庫)-1 アメリカ軍の捕虜となり、マラリアの治療が進むと、息切れと立ちくらみで動けない。診断は弁膜症。2か月の療養ののちに、病院棟をでて一般収容所に移動する。昔習った英語が、せっぱつまって口からほとばしる…
1948年に発表した連作小説。断続的に発表されて、のちに一冊にまとめられた。 戦前に帝国大学仏文科を卒業した男がいる。翻訳の腕を買われていくつかの会社で棒給生活者をしながら、スタンダールの研究をしていた。状況が一変するのは、1944年3月に36歳の高…
昭和21から23年にかけて連載された「童話」。童話としてはもとより市川昆監督の映画でも有名。作者の童話/小説はこれだけで、むしろ社会評論で名が知られている。自分はニーチェの翻訳者として知っていた。 15年戦争末期のビルマ戦線。孤立した小隊は部隊長…
これは半藤一利「日本の一番長い日」とあわせて読むのがよいな。「日本の…」では、8月14日から15日までのクーデター未遂が主に下級士官視点で書かれているが、こちらは開戦から終戦までの政府首脳の動きが書かれている。その資料は、「木戸日記」「杉山メモ…
昭和25年6月。広島県神石郡小畠村の閑間(シズマ)重松は憂鬱だった。彼は5年まえに被爆し、ここにきて高線量被曝の後遺症が出て、農作業ができない。とうに勤めを退職し(というか戦後に勤務先が無くなった)、田舎で養生するしかないが、散歩をしていると…
昭和19年夏ごろから本土上陸阻止のために、周辺地域の軍配備を強化した。対象になったのは、フィリピン・台湾・沖縄。大本営などは沖縄上陸は当面あとと考えたので、沖縄駐留師団をフィリピンに移動する。本土からは、指揮官・参謀などの少数チームが派遣さ…