2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧
若い時に海兵隊員で硫黄島の戦闘に参加していたサミュエル・ライアン。ニンジュツに興味があって日本に修行にきていた(!)。父の友人という老人から、ニンジュツのマキモノが盗難にあったので、おまえ調べてみないか、どうせ暇だろうと手付金をもらう。イ…
2021/07/30 都筑道夫「三重露出」(光文社文庫)-1 1964年の続き サミュエル・ライマンのスパイアクションの物語を中断するかのように、滝口正雄(都筑道夫が使っていたペンネームのひとつ)の楽屋話が挿入される。滝口はS・B・クランストンが書いた「三重露…
「TULIP (「チューリップ」、The Undercover Line of International Police) はニューヨークに本部を置き、世界各地に支部を持つ腕利きの対謀略組織である。そこで働くエージェントは、スパイキャッチャーと呼ばれている。国際謀略叛乱グループ TIGER (「タ…
光文社文庫の都筑道夫コレクション「青春篇」に収録されている版で読んだ。併録は「猫の舌に釘をうて」。 初出がかいていないので、このサイトに載っている年月をいれた。単行本になったのは1974年。都筑道夫 短篇リスト(一段落版) www7b.biglobe.ne.jp 娼…
光文社文庫の「魔海風雲録」に収録された短編。 善亭武升なぞ解き控 以下の短編のまえに「湯もじ千両(1984)」があるが、収録された「悪夢録画機」を未入手なので内容はわからない。以下の三篇は本書が初書籍化らしい。柳剛流(実在する剣法なんだって!)…
杉田玄白プロジェクトによって、ヤコブセンの「サボテンの花ひらく」が翻訳されているので読む。ここには、シェーンベルクの「グレの歌」の歌詞が収録されているので前から気になっていた。 blaalig.a.la9.jp 訳者の解説によると、「サボテンの花ひらく」は1…
カテリーナは、クルスク育ちの貧乏人、器量よしだったのでムツェンスクのイズマイロフ家に嫁いだ。不幸なのはカテリーナは20代前半なのに相手は50代のジノーヴィ。そのうえボリス爺さんという好色な舅がいる。ムツェンスクは小都市とはいえ、大きな商家にひ…
今回は角川文庫の小沼文彦訳。昭和33年1958年初版なので、前回読んだ米川正夫訳よりも新しい。たとえば以下の言葉が注釈なしに使われる。「デート」「ランデブー」「ハート」「(好きな人の)タイプ」など。これらは当時の若者言葉。昭和30年代の日本の青春…
2021/07/12 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)ガイド 1946年 2021/07/09 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「序」 1948年2021/07/08 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「第一章 癲狂院にて」 1948年2021/07/06 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文…
この小説は、敗戦直後の1946年に雑誌「近代文学」に連載された。第4章まで書かれて1948年に中断。それから約20年の時を経て、第5章が1975年に突然発表(このとき、「完本」のタイトルで第5章までの分厚く黒い本が出た。中学生だった俺は卒業直前に都会に出て…
2021/07/12 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)ガイド 1946年の続き 「序」で、「死霊」の方法と物語の構想が語られる。 序(1948.10) ・・・ 一つの形而上学でもある観念小説。方法は「極端化と暖昧化と神秘化」「als obの濫用、反覆の濫用、或る期間…
2021/07/09 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「序」 1948年の続き 第一章 癲狂院にて (第一日午前) とても暑かった夏の終わりの午前、永久運動で動く時計台をもっている「✖✖風癲病院」に、黙りがちで長身の三輪与志が、兄・高志の依頼で、高志の友人…
2021/07/08 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「第一章 癲狂院にて」 1948年の続き 第二章 《死の理論》 (第一日午後) その日の午後は、三輪家の祖母の葬儀が予定されている。「風癲病院」を抜け出した首が向かったのは津田家。彼は出かける前の津田…
2021/07/06 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「第二章 《死の理論》」-1 1948年の続き 三輪家と津田家は300年間の付き合いがある古い家。 最近になっての出来事で重要なのは、高志や与志の父である広志と津田康造が子供時代からの知り合いであること。…
2021/07/05 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「第二章 《死の理論》」-2 1948年の続き 首猛夫は自分の作った喩え話において、墓地をへて平安な場所にいけるのは津田夫人のみであるという。自分のことに思い煩うことがなく、他人の魂のことばかり背負い…
2021/07/02 埴谷雄高「死霊 I」(講談社文芸文庫)「第二章 《死の理論》」-3 1948年の続き 第三章 屋根裏部屋(第一日の夕方から日没) 語り手は、この時代を酷しき「紛糾と錯乱の支配する」鉄の時代であるとする。それ以前の金や青銅の時代から衰退・退廃…