odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

ゲルハルト・ハウプトマン

ゲルハルト・ハウプトマン「沈鐘」(岩波文庫) 芸術家肌の職人に一目ぼれした山の妖精の悲劇。労働規範を遵守する勤勉な職業人はゲルマンのロマンには誘惑されない。

これまでの自然主義的な作風、社会の矛盾の摘出を目指していた劇がここで一変する。「織工」から2年後の1894年、作者36歳の作品。 登場するのは、鐘の鋳造家。よい音を作ることに執着した芸術家肌の職人ハインリッヒだ。かれが制作に絶望したとき、出会うの…

ゲルハルト・ハウプトマン「織工」(岩波文庫) 1844年に起きた機械破戒運動を元にした。植民地を持たないドイツは国内労働者を搾取した。

1844年に起きた機械破戒運動を参照して1892年にハウプトマンが作った戯曲。この国では1933年に築地小劇場で上演された(訳者久保栄はこの劇場の関係者)。 簡単に背景のおさらい。西欧の綿織物はインドの綿花をオランダ・ベルギーあたりが輸入し綿糸に加工。…

ゲルハルト・ハウプトマン「日の出前」(岩波文庫) 19世紀後半の遅れたドイツの社会悪の摘発を目指した文学運動。トンデモ科学で差別助長になった呪われた書物通して封印されるべき。

ごく簡単に紹介すると、1862年生まれの劇作家。デビュー当時は、自然主義的作風で社会批判を行うものであったが、次第にロマン主義や象徴主義が作品に反映されていく。とりあえず「日の出前」「織工」が前期の自然主義を代表するもので、「沈鐘」が象徴主義…