2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧
1960年の映画「日本の夜と霧」(大島渚監督)では、戸浦六宏の演じる役がトップ屋であった。とすると、この時代には「トップ屋」という職業ができていたことになる。トップ屋を始めた、というよりそれで生計を立て、かつ人口に膾炙するまでの存在になった最…
どこから話をしようか。作者についても、主人公についてもいろいろ記しておきたいが、やはりチリのことから。 1970年に選挙によってチリでは共産主義政権が樹立した。サルバドール・アジェンデが大統領に就任。若いころから民衆といっしょに仕事をしてきて、…
内容と著者をめぐって問題があるらしい。2003年になって著者が明らかにされ、著述方法がわかった。著者自身は韓国に入国することがかなわないので、知人その他を通じて韓国の情報を伝えてもらう。それを編集して文章にまとめた。当時の韓国は新聞その他のメ…
2013/07/29 T・K生「韓国からの通信」(岩波新書) 引き続き1974年7月から1975年6月までのレポート。田中角栄がロッキード疑獄で退陣し、三木に総理大臣が変わった。アメリカの大統領もニクソンが失脚し、ジョンソンに代わっていた。大きな出来事はベトナム…
2013/07/29 T・K生「韓国からの通信」(岩波新書) 2013/07/26 T・K生「続・韓国からの通信」(岩波新書) 引き続き、1975年5月から1977年8月にかけてのレポート。 主な主題は「3.1民主救国宣言」裁判。1976年3月に思想・良心の自由がないこと、韓国の経済が…
2013/07/29 T・K生「韓国からの通信」(岩波新書) 2013/07/26 T・K生「続・韓国からの通信」(岩波新書) 2013/07/25 T・K生「第3 韓国からの通信」(岩波新書) 引き続き、1977年11月から1980年7月にかけてのレポート。 おさらいすると朴正煕(パク・チョ…
大江健三郎が「世界の40年」で、「韓国からの通信」の感想としてあれほど感情的でなくても、ということを述べていた。そこで、この本を読んでみる。著者は25歳のときに、建国大学の日本語講師としてソウルにいき、半年をそこで過ごした。途中、大統領の暗殺…
この国の言説で自分が納得いかないのがふたつほどあって、ひとつは「この国は単一の民族、千五百年の伝統」みたいなこと。民俗学や歴史学を勉強するとそうではないよな、とわかる。これは下記のマイノリティを持ち出さずとも、説明されている。もうひとつは…
元刑事の父親に現職刑事が手がけている事件の話をする。話を聞いているだけで、事件の奇妙なところや現職刑事の見落としているところを見つけて、事件を解決してしまう。この国では珍しい安楽椅子(いや安楽ざぶとん)探偵。 1973年から雑誌連載が開始され、…
1976年初出のシリーズ第2作。その後、版元を変えては再販され、未だに入手が可能。退職した刑事が息子の現役警官を訪れ、進行中の事件の話を聞いて、推理すると言う趣向。 「遺書の意匠」(1975) ・・・ 翌日の歌舞伎の一等席のチケットを買った若い実業家が…
1982年初出のシリーズ第3作。 「大魔術の死体」(1982) ・・・ 抗争中のやくざが拳銃密売をしている。そういうちくりがあったので、売人を刑事が尾行していると、突然銃声。すると、電話ボックス(この20年でほぼ駆逐。写真を見せないとわからない人がいる)…
1986年初出。シリーズは徳間書店で出版されていたが、この刊だけ潮出版社ででて、タイトルに数字がなくなった。徳間文庫はそれを踏襲しているが、創元推理文庫では「4」にしたので、あとの番号がずれている。入手の際には注意すること。 「連想試験」(1985)…
初版の版元がもう一度徳間書店にもどり、通番が復活。創元推理文庫で復刻された時には、「5」が付けられた。ややこしいので注意すること。1990年初出。 徳間文庫の解説には長編がでるという予告があったが、これは実現しなかった。 「落葉の墓」(1987) ・・…
初出は1996年。このあと急激に創作が減るから、晩年様式をもった短編集といっていいのだろうな。創元推理文庫では「退職刑事6」なので注意してください。あとがきによると、「退職刑事4」(創元推理文庫「退職刑事5」と同じ、ああややこしい)で計画してい…
とても平明な小説であるが、ここにはいくつかの物語がある。大状況にあたるのが、数論とそこから見出される数への愛情と思想。これがミステリーの書き手であれば、数学史まで持ち出して、事件への伏線にするような、意図的で恣意的な博学を持ち出すのであろ…
プロ野球球団ロッテに村田兆治というピッチャーがいて、めっぽう速球が早かった。先発して9回になっても時速150kmの速球を投げられるのが自慢だった。彼とか、山田久志とか東尾修とか鈴木啓示とか1970年代のパシフィック・リーグにはよい投手がいてもTV放送…
1977年に刊行されているので、初出はその2-3年前の「諸君!」の連載。著者はこの本以外にも、多くの食に関するエッセイを書いている。とりわけ世界中で釣りをするという旅行兼スポーツ実践記では、当地の食べ物のことがでていた。そういえば、作家専業になる…
1987年あたりに週刊プレイボーイに連載されたエッセー。この雑誌は軽薄でありながら、ときに知的エンターテイメントを登用することがあり、著者とか小田実とかそういう進歩的知識人(死語だな)の連載があったのだった。 一回せいぜい5から8枚と見える短い作…
昭和30年1月23日生まれの山本太郎くんは、高校生。大学教授の父と翻訳家の母を持つ一人っ子。でもって、成績はそれなりに優秀(勉強している描写はなくてもどうやら上位にいる模様)、個人でするスポーツ好きで陸上部に所属し県の大会で11秒3を出して2位。…
1968年8月8日にこの国の最初の心臓移植手術が行われた。その日は、東海村の実験用原子炉が稼働を開始した日だった。ガキだったので、これらの出来事は未来を明るくすると信じていた。のちに、いずれもそう単純ではない、多くの人の批判にさらされた忌まわし…
これは学生時代に読んだな。記録を見ると、購入したのは1979年の学園祭の前日だ。うーん、何を感じて購入したのだろうか。個人的な追憶で甘さと苦さを感じてしまう。 それはさておき、なるほど25歳で亡くなったこともあり、詩作活動がごく若いうちに行われて…
高校時代に読んだときはもっとも難解な詩集だったな。そのころは詩集を読むと、気に入った(というより不遜であるが「ぼくが考えたさいきょうの」)詩にチェックを入れていた。たいてい3分の1くらいにチェックが入ることになるのだが、この詩人の場合最初…