odd_hatchの読書ノート

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福永武彦

福永武彦「加田伶太郎全集」(新潮文庫)

純文学作家が探偵小説を書いた、というときには、昭和40年代までなら坂口安吾と福永武彦の二人が挙げられた。もう少し時期をずらすと、筒井康隆・奥泉光を加えられるのかしら。詳しくないからここまでにしておこう。 完全犯罪1956.03 ・・・ インド洋航行中…

福永武彦「廃市・飛ぶ男」(新潮文庫)

夜の寂しい顔 ・・・ 田舎の漁村に高等学校受験勉強に来た15歳の少年の心象風景。父は死に、母は彼を邪険にし、姉も死んでいる。家庭で孤独で、漁村においては生産活動に参加できないことでも孤独。夢見るのは母性への憧れと女性へのサディスティックな感情…

福永武彦「夢みる少年の昼と夜」(新潮文庫)

1950年代後半に書かれた短編をまとめたもの。作品名の後の数字は初出年。 夢みる少年の昼と夜1954 ・・・ 母をなくし、父は遅くまで帰らない一人っ子。ギリシャ神話が好きで、体操は苦手な内向的な少年。夏休みの直前で、彼は神戸に引っ越すことになっている…

福永武彦「風のかたみ」(新潮文庫)

時は平安も末のころか。信濃を旅立った若者・次郎信親は、母の妹を訪ねて京の都にでる。願いは田舎でくすぶるのではなく、都で己の運を試すこと。途中、奇怪な陰陽師とであい、あわせて稀代の笛作りから名品を強引に譲り受けたところから事態が変わる。陰陽…

福永武彦「告別」(講談社学芸文庫)

1962年初出。 中年のおとこ。大学教授で小説家も兼任にしている。彼の友人、上條慎吾は肝臓がんで死のうとしていた。主人公の小説家は上条のことをよく知らないが、彼の介護のために奔走する。上條は戦争中、学生結婚をしてそのまま召集。帰還すると娘が生ま…

福永武彦「夜の時間」(河出書房)

伯父が購入したと思われる昭和30年刊の河出書房版。のちの講談社文庫版ではない。この河出書房版は新書サイズの叢書で、一連の刊行物には伊藤整「典子の生きかた」、三島由紀夫「夏子の冒険」、リルケ詩集、大岡昇平「武蔵野夫人」、石坂洋次郎「丘は花ざかり…