odd_hatchの読書ノート

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その他の文学

イソップ「寓話集」(岩波文庫)

イソップ、ギリシャ名アイソポスは紀元前6世紀ころに実在した人物らしい。奴隷で、しかし機知に富み話術に巧み。理由不明であるがデルポイ(という都市)で殺害されたという。醜男でがに股で太鼓腹で…というのは後世のつくり話らしい。そのアイソポスが語っ…

ウンベルト・エーコ「前日島」(文芸春秋社)

「薔薇の名前」で14世紀中欧の異端と修道院を描き、「フーコーの振り子」でテンプル十字団以来の西欧秘密結社の歴史を描いたエーコ、今度は17世紀を描くことになった。この直前には、コペルニクス、ガリレイの天文学革命が起きていて、デカルトとパスカルら…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 下」(東京創元社)-3

2016/04/04 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1 2016/04/05 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-2 2016/04/06 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-3 2016/04/07 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 下」(東…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 下」(東京創元社)-2

2016/04/04 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1 2016/04/05 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-2 2016/04/06 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-3 2016/04/07 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 下」(東…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 下」(東京創元社)-1

2016/04/04 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1 2016/04/05 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-2 2016/04/06 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-3 の続き。 表層の物語は探偵小説の枠組みを借りている…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-3

2016/04/04 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1 2016/04/05 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-2 の続き。 聖職者と知識人は文化的に統合し、各地を移動する権利を得ていたが、ほとんどすべての農民は移動の自由がなく、…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-2

2016/04/04 ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1 の続き。 この時代には文化的な統合が聖職者と知識人において果たされていた。その象徴がこの修道院で、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、北アフリカなど出世地と母語を異にする修道…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前 上」(東京創元社)-1

ヨーロッパ中世のことを書いているので、事前に、 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨーロッパ中世」(河出文庫)の以下のエントリーを読んでください。 2016/03/29 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨーロッパ中世」(河出文庫)-1 2016/03/30 鯖田豊之「世界の歴史09 ヨー…

ソポクレス「オイディプス王」(岩波文庫)

テバイの都は危機に瀕していた。疫病、飢饉、家畜の死。都市の豊饒さが失われ、民が貧困に苦しむ。このようなとき、王はすべての責任を負わねばならない。そこで、テバイの王オイディプスはデルポイの神託を聞くことにした。 プロロゴス ・・・ ここで明らか…

エイモス・チュツオーラ「ブッシュ・オブ・ゴースツ」(ちくま文庫)

「町を出た少年が迷い込んだのは、ゴーストでいっぱいのジャングルだった。耐えられぬ悪臭を放つもの、奇妙なかたちをして不思議なしぐさをするもの…。ヨルバ族に先祖から伝わる物語をふまえて、ドラム・ビートに乗せて紡ぎ出される幻想の世界。ナイジェリア…

レオナルド・ダ・ヴィンチ「手記」(岩波文庫)

「近代」というのもなかなかあいまいな言葉で、科学や哲学で見れば、ガリレオやデカルトに始まるということになっているみたい。その前には、占星術師で天文学者であるようなティコ・ブラーエ、コペルニクスという人たちもいることになる。そのような系譜の…

モルデジャイ・ロシュワルト「レベル・セブン」(サンリオSF文庫)

1959年作。 主人公の軍人「ぼく」に突然、召喚命令が下る。命令受領と同時に、地下施設に行けというのだ。身の回りのものはもちだせず、別れの挨拶もできない。関係者には失踪扱いされたということになっている。すなわち、彼は全面核戦争に対処する最終対応…

タン・ヨウ「人、中年に至るや」(中公文庫)

「−−−これはインクではなく私自身の血と涙の一滴一滴で煉り上げられた作品だ−−−中国文化革命の嵐の中で苦悩し、その抑圧から立ち直ろうとする眼科医師と技師夫婦の、すべてをすてて仕事にかける中年世代としてのよろこび・悲しみを通して、中国がかかえてい…

郭末若「抗日戦回想録」(中公文庫)

先のコリン・ロス「日中戦争見聞記」(講談社学術文庫)を補完する本。ロスは1939年に重慶に飛び、そこに首都を移動した国民党政府首領・蒋介石と会おうとしている。 こちらは、前年1938年の国共合作時代に武漢で抗日戦線宣伝に携わっていた著者の記録。有名…

郭沫若「歴史小品」(岩波文庫)

中国の歴史上のよく知られた人物を史実・史書にできるかぎり近づけて書いた短編集。 彼らの問題をわれわれの問題にからませて書く力、みごと。とりわけ「項羽の自殺」「孟子妻を出す」「賈長沙痛哭す」の3編が知識人のあり方をよく捕らえている。「人、中年…

ウンベルト・エーコ「フーコーの振り子 下」(文芸春秋社)

こちらでは「現在」の話を書こう。主要登場人物は、語り手である「私」=カゾボン。1943年生まれ?の大学紛争当事者。とはいえ若者の直接行動には懐疑的で、政治にも斜に構えたところのあるニヒリスト(というか優柔不断だが、知的優位に立とうとする臆病も…

ウンベルト・エーコ「フーコーの振り子 上」(文芸春秋社)

ベルボが消えた。フロッピーディスクを残して。カゾボンがピラデという店で、ベルボと知り合ったのは 学生時代。カゾボンはテンプル騎士団について研究する学生、ベルボはガラモン社という出版社で働いて いた。ガラモン社にアルデンティ大佐という怪しげな…

イタロ・カルヴィーノ「マルコ・ポーロの見えない都市」(河出書房新社)

昔書いた文章を発掘したので収録。2001年5月にどこかのサイトにアップしたもの。会員承認制だったと思う。検索しても見当たらないので再録します。 久しぶりのイタロ・カルヴィーノ。マルコ・ポーロがフビライ汗に過去訪問した都市の話をするというもの。物語…

ロンゴス「ダフニスとクロエ」(岩波文庫)

昨日のエントリーでロンゴスをあげたので、「ダフニスとクロエー」を取り上げます。BGMはもちろん、ラヴェルのバレエ音楽で。マルティノン指揮のが気持ちよい。 2世紀ローマでギリシャ語でかかれた大衆文学のひとつ。主要な読み手は、都市市民の有閑マダムで…

カンパネッラ「太陽の都」(岩波文庫)

昨日のエントリを読み直したら、福永武彦の「未来都市」が「太陽の都」に似ているなあと妄想が起きた。当初の予定を変更して、緊急(笑)エントリーでカンパネッラを取り上げます。 人生の三分の二を獄中で過ごしたという奇人(マルキ・ド・サドの獄中生活も…