odd_hatchの読書ノート

エントリーは3200を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2024/11/5

サルトル

サルトル/ボーヴォワール「知識人の擁護」(人文書院) サルトルがいた時代のフランスの社会の仕組みは近代化した日本と違うので、サルトルの議論をそのまま使用することができない。

1966年秋にサルトルはボーヴォワールと一緒に来日し、講演や対話を行った。公的な発言はすべて収録され雑誌に掲載されたり本になったという。そのひとつの「知識人の擁護」と名付けられた本書は、3つの講演を収録。 サルトル/ボーヴォワール「サルトルとの…

サルトル/ボーヴォワール「サルトルとの対話」(人文書院) 日本とフランスでは知識人・教養主義の担い手が違うことに気づかないので、質疑はとんちんかんになった。

サルトル/ボーヴォワール「知識人の擁護」(人文書院)にあるように、1966年にサルトルとボーヴォワールは来日して、講演会や対話集会などに参加した。そのうち、ここでは雑誌「世界」に収録された日本の「知識人」との対話をおさめる。 知識人・核問題をめ…

サルトル/ボーヴォワール「文学は何ができるか」(河出書房)

1964年、サルトルが「言葉」を発表した際、スキャンダルが起きた。すなわち、 「『ル・モンド』紙は、女流記者ジャクリーヌ・ピァチエによるサルトルとのインターヴィュの記事を発表したが、このときサルトルは、「飢えて死ぬ子供を前にしては『嘔吐』は無力…

ジャン・ポール・サルトル「嘔吐」(人文書院) 不意に世界との違和感を感じた若者があらかじめ失敗が予測されている〈冒険〉に出ようとしていつまでも出発できない。

歴史学を学んでいる、たぶん30代の独身者がいる。彼は不意に、世界との違和感を感じてしまった。その違和感というのは事物をみたときの<吐き気>であり、自分と事物との遠い距離。それは理由をつけようとも説明できることではなく、たんに不安とか気分の悪…

ジャン・ポール・サルトル「壁」(人文書院)「水いらず」「部屋」 壁は銃殺される直前に背中に感じるもの、他者の内部に行くことを拒んでいるもの。

水いらず1938 ・・・ 頭のいい学生が、物語(ストーリー)はないけど小説(ノヴェル)を書いてみたというのかな。リュリュとアンリの若い夫婦。アンリは不能でリュリュは憐憫とも嫌悪ともいえる感情を持っている(本当に?)。で、リュリュは友人リレットと…