odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

児童文学

佐々木邦「苦心の学友」(少年倶楽部文庫) 華族のお殿様の学友にされた庶民生まれの少年は、サラリーマンと同じ悲哀を味わう。

昭和2年(1927年)から少年倶楽部に連載された少年小説。 大蔵省勤めの父をもつ内藤正三少年は成績優秀、素行優良ということで、花岡伯爵家に乞われて三男・照彦のご学友になることになった。それまで家庭教師をつけて家内で教育していたが、このたび中等学…

佐々木邦「いたずら小僧日記」(新学社文庫) 19世紀末イギリス児童文学の翻案。夏目漱石「坊ちゃん」1907年の子供時代のわんぱくぶりをさらに幼少者がやっていると思いなせえ。

1883年(明治16年)生まれの作者26歳の第1作。ほぼ無名の作家でありながら、1909年に内外出版協会で出版されたという破格な扱い。「A Badboy's Diary」なる無名氏の作品を翻訳したとの由。なるほど、主人公である太郎の家では舞踏会を催し、朝はパンとバター…

シャルル・ペロー「長靴をはいたねこ」(旺文社文庫) 17世紀の絶対王政の時代に宮廷でペローはこれらの物語を朗読していた。

シャルル・ペローが書いた童話8編と韻文3編を収めた。今回は旺文社文庫で読んだが、現在絶版。訳者を変えて岩波文庫ででている。内容は同じ。 散文童話は以下の8編。 ●眠れる森の美女 ●赤ずきんちゃん ●青ひげ ●ねこ先生または長靴をはいたねこ ●仙女 サンド…

吉野源三郎「君たちはどう生きるか」(岩波文庫) 社会の分業体制を認識し生産活動に参加しろ、差別と暴力に集団で抵抗しろ

昭和10年に山本有三らといっしょに編集した「日本小国民文庫」の一冊。のちに(1960年代)、ポプラ社で復刻されている。たぶん小学生のときに読んだとおもうのだが、記憶は定かではない。しっかりと読んだのは岩波文庫に収録された1982年のとき。今回は約30…