odd_hatchの読書ノート

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三田誠広「天才科学者たちの奇跡」(PHP文庫)

隠された原理を見出したい」「もっと深く真理を探究したい」……。科学者たちのそうした願いが、ときに信じられないような奇跡を呼び起こした。「何かがおかしい」という直感を得て、何時間も揺れるシャンデリアを見続けたガリレオ。リンゴは落下するのに、なぜ月は落下しないのかという問いを、真剣に考え続けたニュートン。静電気というよくわからないものを、カエルの脚を使ってその存在を証明したガルバーニ。エンドウマメの遺伝には細かい法則があるのではないかという仮説を立て、それに挑み続けたメンデルなど、神秘の扉を押し開いた男たちは信じがたい努力と驚くべき執念でもって偉大な発見をなしえた。本書はそうした偉大な科学者たちが、小さな気づきをどのようにして独創的な着想に変え、世紀の大発見に結びつけたかを描いたヒューマンドラマである。世紀の発見の裏側に隠された、天才科学者たちの意外な素顔が見えてくる本。
天才科学者たちの奇跡 | 三田誠広著 | 書籍 | PHP研究所

 小説家が書いた科学者たちの肖像。ガリレオからアインシュタインまでの12人が登場。彼らの生涯、研究内容、および当時の状況、さらにはその後の発展までを詳述。あわせて簡単な科学理論の説明をしてくれているので、自分には再確認に都合がよかった(というより、ほとんどを忘れていた)。
 問題点をいくつか。
・科学者ひとりで1章になっているのだが、伝記・発見の物語・説明・後世の影響など節がわかれていない。短編小説のような書き方になっている。そのため検索して必要な情報を見つけるのが難しい。ところどころに節や見出しを立てたほうがよい。
・図表が少ない。視覚化された映像イメージのほうが理解しやすいのだが、その種の配慮がなくて、文章で理解してもらおうとしている。
・同時に、年表があればよかった。登場人物が物理学、化学、天文学生物学者はメンデルのみ)。彼らの研究は相互に影響を及ぼしているし、かつ理論の関連も深いので、これもまた図式化してほしかった。
 となると、この本のターゲットは誰だったのか疑問になる。内容は高校生のものだが、彼らの勉強の参考書にはならない。社会人が復習のために使うにも、上記のようなところがあるので理解が進むとは思えない。
 小説家の書いた作品で科学を理解する一助にするのは、「文系」と言われている人には取っ付きやすいだろうが、そのあとのフォローが足りない。ここは編集者がもっとアイデアを盛り込んだほうがいいだろう。