差別者、レイシストは外国人生活保護の廃止を要求する。それに対抗するために、連中が言っていることを調べて、デマばかりであることを明らかにしたことがある。
メディアの報道など断片的な知識は入っても全体の知識がないので、生活保護行政の問題解決にあたるNPOが書いた啓蒙書を読む。初出の2013年は、片山さつき・世耕弘成などの議員のデマ発言、芸能人の生活保護バッシングなどがあり、生活保護法改正の審議があった年。
不正受給問題を巡り、生活保護への「バッシング」が高まっている。バッシングは政治問題にまで発展し、いまや取り締まりの強化や支給額の削減へと議論は進んでいる。しかし、私たちは生活保護の実態を知っているのだろうか?自殺・餓死・孤立死―。そこには追いつめられ、専厳を踏みにじられ、果ては命さえも奪われる現実がある。本書は、受給者をとりまく現実が、日本社会になにをもたらすのかを解き明かす。「最後のセーフティネット」の抱える本当の問題をあぶりだす、生活保護問題の決定版!
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480067289/
第1章 生活保護の現場で何が起きているか ・・・ 政治家やマスコミの生活保護バッシングによって、違法な対応を取る自治体が増えている。もともと申請にあたり財産処分やプライバシーの侵害が行われやすいうえに、上級官庁の指示を無視する。
第2章 命を奪う生活保護行政 ・・・ 違法行政のやり方は、1.水際作戦と称される申請拒否(20%という低捕捉率)、2.受給後のパワーハラスメント(とくに就労指導と辞退届提出の強要)、3.制裁と追い出し。各地で貧困死(餓死、孤立死共)が発生している。
第3章 保護開始後の違法行政のパターン ・・・ ケースワーカーの問題。法律と官庁のケースワーカー依存(人手不足、専門性不足)、ケースワーカーの不良化(マニュアル対応と差別意識)。貧困ビジネスの横行。おおもとは生活保護の予算削減圧力。戦後のセイフティネット行政がその場しのぎで、十分な予算がない。マスコミや政治家の生活保護バッシングを行政やケースワーカーが利用している。
第4章 違法行政が生保費を増大させる ・・・ 生活保護制度の逸脱は、日本社会全体の貧困化、労働環境の悪化をまねく。その結果、自立できず、難民化させる。原因の一つは雇用形態。労働者が多いので企業が選別と使い捨てを推進。うつ発症→働けない→生保申請→制裁の循環で人間を破壊していく。政治家(片山さつき、世耕弘成など)のプロパガンダとメディアのバッシングが状況を悪化させる。貧困ビジネスが典型であるは生活保護者を自立させないことで、余計なコストを国民が負担させられている。日本人のコスト意識が短期的なので、高コストを自ら招いている。
第5章 生活保護問題の構造と対策 ・・・ 生活保護をワーキングプアと比べると収入が多く見えるような「優遇」であるとみなす。日本の福祉は企業が担ってきた(大日本帝国は福祉をほとんど行わなかった)が、企業が福祉を行わないようになり、もともと生活コストの高い日本では低所得ではほとんど福祉やセイフティネットが機能していない。生活保護バッシングに対しては日本の雇用形態や福祉行政まで批判する必要がある。また行政担当やケースワーカーの質を上げること(ここも低賃金で不安定な職種)、自立支援の制度化も進めるべき。
終章 法改正でどうなるのか ・・・ 2013年生活保護法改正の問題点
2011年の東日本大震災、2020年からのコロナパンデミックによって生活基盤を奪われ生活保護申請をする国民が増えた。しかし、彼らに対して国民は冷淡(どころかハラスメントを加える)であり、行政は予算削減を続けた。多くの人が貧困死(自殺、病死、餓死など)に至っている。
具体的な改善策について、素人の俺はどうこういうことができない。現場で苦闘している人たちの支援をする仕方で行こうと思う。それとは別に、差別者・レイシストのヘイトデマに対抗することを優先しますが。
ここでは日本人の「精神」について。生活保護を「優遇」とみなすような人権無視や公権力追随をどうみるか。ワーキングプアよりも収入が多く見えるということだけで、バッシングする。弱いものに対してとてつもなくサディスティックになる。目先のコスト削減(この場合は生活保護支給抑制)がよりコストを増やすこ徒になることを理解しない。自分と同じような貧困に全員が陥ることを望むマゾヒスティックな感情。社会とケースワーカーが生活保護者に向けて激しい差別意識をもっている。ことにケースワーカーが起こす拒否や暴言、制裁はヘイトクライムというべき事案になっている。ときには女性の生活保護者(ことに離婚後のシングルマザーが生活に行き詰った場合)には女性差別が加わる。
「生活保護がまったく機能しない社会を想像してみればよい。それは貧困にストッパーがなく、人々は生きるために「どんな手」でも使わなければならない社会である。犯罪が増え、病気になっても医療が受けられずに、尊厳もなく人が道端で死んでいく。」(今野晴貴『生活保護』ちくま新書、P6) pic.twitter.com/2xizyl2ZX8
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) 2022年5月21日
「一言でいって、企業に所属していなければ、福祉を受けることができないのが、日本社会なのである。そして、福祉不在のために、通常の生活を営むためにかかる費用が高すぎるのが、日本社会の特徴だと言える。」(今野晴貴『生活保護』ちくま新書、P200)https://t.co/UfeZ3N6e28
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) 2022年5月21日