odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

アメリカ文学_エンタメ

エドワード・D・ホック「怪盗ニックを盗め」(ハヤカワ文庫) 大衆が夢見るような現実のすこし上の世界を描いた高級雑誌向けエンターテインメント。

価値のあるものは盗まない泥棒ニック・ヴェルヴェットの短編集第2巻。第1巻は、ハヤカワポケットミステリ初発のとき(1976か1977年)に購入して、面白く呼んだ記憶がある。空っぽの部屋から盗め、というような依頼の話が一番良く覚えているな。 個々の話がど…

エドワード・D・ホック「夜はわが友」(創元推理文庫) デビューから10年以内に書かれた短編。ドライな視線は作者の持ち味とは違った。

この作者は、レギュラー登場人物の連作短編によって有名。これまでのところ怪盗ニック・ヴェルベットとサム・ホーソーンのシリーズしか紹介されていないので、このような評価というのは揺るがない状態になっている。追加するとなると、「長い墜落」(「密室…

エドワード・D・ホック「大鴉殺人事件」(ハヤカワポケットミステリ) 実名の作家・編集者が登場し作者の想像した人物が動き回って現実と物語の境目をあいまいにしたミステリ

アメリカ探偵作家クラブ(MWA)は、この本を読むと、作家の親睦団体で、会費を取って事務員を雇い、地区ごとの定例会に年会を開催しているのだな。そこで優秀作品その他の賞を選定している。1945年に始まって現在に至るから、この国でも「MWA賞受賞作品!」と…

ジョン・スラデック「見えないグリーン」(ハヤカワ文庫) アメリカ版西村京太郎の「名探偵」シリーズ。マニアやオタクやすれっからしほど楽しめる。

作者の名前は亡きサンリオ文庫の「言語遊戯短編集」で知っていた。「言語遊戯」? ジェームズ・ジョイスかナボコフ、マラルメあたりを連想して敬して遠ざけていた。で、この本を古本屋の100円棚で発見。ありがたや。中身の言語遊戯というのは頭韻、押韻、ア…

ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人」(ハヤカワ文庫) クリスティとクィーンの主題によるネロ・ウルフ風変奏曲。

「雪に閉ざされたスパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。どんな状況でも確実に獲物をとらえ、事故や自殺を偽装した上で声明文をよこす。署名はHOG−−この難事件に、天才犯罪研究家ベネデッティ教授が…

エリエット・アベカシス「クムラン」(角川文庫) 死海文書をネタにしたミステリー。それより音楽やダンスによるトランス状態が重要であるユダヤ教に「異」なるものを見る。

イスラエル建国前夜、クムラン洞窟で二千年の封印を解かれ発見された死海文書――。そして半世紀後、この謎に満ちた古文書の盗難を発端に恐怖の殺人事件が始まる。古文書捜索を依頼された考古学者ダビットと息子アリーは真相を突き止めるため旅立つが、接近を…

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」(角川文庫) 中心的な興味は歴史の謎。それを除くと、あんまりうまくない巻き込まれ型サスペンス。

自分の半生はこの本を読むためにあったのだ(笑)。なにしろ、 福音書 使徒のはたらき ヨハネ黙示録 「新約聖書外伝」(講談社学芸文庫) 高橋保行「ギリシャ正教」(講談社学術文庫) エドマンド・ウィルソン「死海写本」(みすず書房) 高橋正男「死海文書…